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向かった先には大きな屋敷があった
そこは領主の屋敷だった
どのように通ったか覚えていない程に奥の部屋
その広い部屋に複数人の大人がいた
この街、リッシュラウドの
ゼネラル、傭兵、紡績、大工、塗装、精肉のギルド長
そしてこの屋敷の主である領主
これらのギルドとこの街はエクセラと関りが強いのだという
一通り自己紹介を終えたら聞かれたことに答えるだけ
疲れはするが苦労はしない
嘘を吐かなければいいんだし
嘘を吐く理由も無い
「なるほど、ではこれで今聞きたいことは終わりだ。外でラングルが待っているはずだから後のことは彼に聞きなさい」
「はい、失礼します」
少し時間はかかったが夕方になる前に解放された
屋敷から出てすぐ先にラングルが待って…
「待ってたよ美少女ちゃん!」
ラングルを押し退けて私に抱き着いてくる女性
年齢は25から30といったところか?
「初対面の人に抱き着かれる趣味は無いのですが?あと私は男です」
「え、本当に?いやでも確かに抱き着いた感触と香りは男の子特有のものだったけど…キミ、女物の服着てみない?」
「ラングルさん、なんですかこの変な人?」
ラングルに助けを乞う
しかしラングルは諦めたような表情でその場から動かない
「悪いなシシールト、街に入る前にソイツがお前の手足を見ちまったんだよ」
つまりパワードスーツに目をつけたわけだ
分かってる女じゃないか
「いやーそのゴーレムの手足の関節、ヒンジ機構だよね?誰が作ったんだい?」
さて、誰が作ったのだろうか?
リンハウなのかな?
「エクセラの街でリンハウさんに訓練用として見せてもらったゴーレムです。詳しいことは分かりません」
「なるほど、おそらくリンハウが作ったゴーレムだね違いない、流石マエストロ」
「マエストロ、ですか?」
「おや、知らないのかい?ゴーレム使いのリンハウといえば{五つ指のマエストロ}なんて呼ばれてるくらいアルバス王国では有名なんだよ」
そうだったのか
リンハウってすごい人だったんだな
「ねぇねぇそのゴーレムの手足まだ持ってるんだよね?」
「えっと…」
荷物は商隊に預けてしまったのでどうなったのか
ラングルの方に目を向ける
「そう不安そうな目を向けるな、運送ギルドの方で預かってるはずだ」
「そーかそーかそーかそーか!!じゃあ早速見に行こう!さぁさぁさぁ!」
女が私の手を掴み引っ張る
「まさかヒンジ機構を完成させているなんて流石マエストロだよああなんでこんなにワタシが興奮しているのかというとね既存のゴーレムの関節というのは吊り関節という機構が使われているのさこれは言ってしまえば関節部分を魔力導体だけで繋いだ物でねこれにより360度あらゆる方向に自由自在に動かせるものなんだけどやはり強度面で問題が出ていてね対処法として現在では魔力導体の左右に鎖を繋ぐことで導体の消耗を抑えるようにしているんだけどこれをしてしまうと関節に指向性が生まれてしまうんだそのくせ耐摩耗性はそこまで改善しないから困っていてねだったらどうしようかと考えていたら扉の開閉に着想を得たわけなんだつまり蝶番ヒンジの事だねだから私が生まれる前からずっと研究されてることなんだけどほらやっぱりゴーレムって平民が使う技術だからどこの国でも貴族からお金が降りなくてね研究が進んでないんだそんなわけでゴーレム開発者っていうのはいつでもどこでも卓上の空論で終わらせるしか無くてそれでもやっぱり実践はしてみたいからなけなしの私財で作って来たわけなんだよ因みにゴーレムの起源は錬金術でね元々は戦場や病気や怪我で失った身体を補うために考えられていたんだ一番古いのだと古代北インベタスブルグ王朝の研究なんだけどまだ人体学も未熟だったこともあって2000人以上の戦争捕虜を生きたまま切り刻んでたらしいねわかった?」
「いいえまったく」
「そうかいじゃあ最初からもう一度説明しようヒンジ機構というのはね…」
選択を失敗した
なんだこの女
今日限りで今後関わらないようにしよう




