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「おい、止まれ、止まれ!」
ルガート街道を商隊が進む
20台もの馬車が列をなす大規模なものだ
今回、我々傭兵はその護衛を請け負った
「なんだこりゃあ…」
イーストアルバスからサウスアルバスに向けて数週間かけて進み続けた
だがサウス領土に入ってすぐに
「街道が無くなってるぞ!」
街道に敷き詰められた石材は吹き飛ばされている
それは到底馬車で進める状況ではない
「お頭ぁ!」
部下が丘を指差すとそこには大勢の魔獣がいた
「ゴブリンだ、戦闘用意!」
目的は間違いなく我々であり
粗末な木の棒を握って向かってくる
「推定60匹!」
「孤立するなよ、囲まれて殴り殺されるぞ!」
「弓だ弓!数を減らせ!」
即座に弓兵20人がゴブリンに向けて矢を放つ
だがゴブリンはそんなことを気にせずに一直線にこちらに向かってくる
「槍、構えぇ!」
ゴブリンは全身に矢を受けて
それでも進むことを止めずに
自分から槍に刺さりに来る
『ゲギャギャギャ!』
槍が腹を貫通し血を吐きながら
それでも進む
そして進んだ先で粗末な武器を振り下ろす
「押し返せぇ!」
傭兵は弓兵20、槍兵20で構成されていた
数は圧倒的に不利であった
だが我々が負けることはない
今回の商隊には貴族が3人同行している
「貴族様、魔法を撃ってくれ!」
そう叫ぶが貴族からの返事はない
「何してるんだ、早く!」
代わりに商隊の筆頭が叫ぶ
「居ない!」
「なんだって!」
「貴族様が3人ともいないんだ!」
いつの間にか逃げてやがった
「これだから戦い慣れてない魔導士って奴は!」
そもそも今回の移動は「この人数では危険」と傭兵ギルドが判断した案件だ
それを同行する貴族3人が
「魔導士3人の我々が同行する」
そう言って貴族特権で無理やり押し通した
「クッソがぁぁぁぁ!」
槍兵の数人が囲まれ、あっという間に殴り殺される
「後退、後退!」
「商人共は本当に大事なもんだけ持って逃げろ!」
自分で言っといて、逃げるったってどこにだよ
既に逃げ道も塞がれつつある
いや?
何故逃げ道がわずかに残ってる?
そう疑問に思った瞬間に複数のゴブリンが空に吹き飛ぶ
どれもこれも四肢をバラバラに吹き飛ばしながら
その中心には子供が1人
「誰だ?」
「いや、子供が何故あんなところに!」
子供の姿は異形、そういう表現が正しいだろう
子供の四肢にゴーレムの四肢を巻きつけてある
そして何よりその風貌
まるで悪魔のようだ
そう表現したくなるほどに全身が血と泥に塗れている
その姿は食人鬼ですら目を覆うに違いない




