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ゴーレムに魔力を流し込み全速力で走る
4体もの魔獣を相手になどできるはずがない
「どうしたこっちだ!全速力で追ってこぉぉい!」
魔獣には個体差があった
走る速さが違った
「こぉん…のぉ!」
突出して追い付いてきた魔獣が1体
さっき殺した雄山羊の魔獣と違いその脚は虎である
後ろから飛び掛かるタイミングで振り向き石の拳を喰らわせる
虎の魔獣は血を吐くが躊躇う事も苦しむ様子もなく起き上がり俺を追ってくる
ゴーレムの身体が軋み始めている
「石じゃこうなるか!」
リンハウがいかに丁寧に操っていたのかが分かる
だがそれでいい
今はそれでいい
魔獣を連れて向かう先は街の南
丸太で作られた外壁、柵?には大きな裂け目ができていた
この4体はここから入って来たのだと確信した
「どけぇぇぇ!」
そこでは傭兵が必死に魔獣と戦っていた
「泥の小僧!」
誰かが俺の姿に気付いた
「ゴーレムが来るぞ、下がれぇ!」
壁の裂け目から傭兵達が下がる
そのまま柵に向かってゴーレムを走らせる
遂にゴーレムの脚が崩れ落ちる
だがそれも計算通りだ
ゴーレムが崩れ粉々になる
粉々と言っても大きな図体から見てだ
一個一個は人間1人よりもはるかに重い大岩
魔獣が侵入を図っている
そこに慣性の乗った岩が飛んで行く
私を追う4体の魔獣も自分の勢いを殺すことが出来ずに柵の外に吹っ飛んでいく
「小僧!」
自分も柵の外に投げ出されそうになったがギリギリで傭兵の1人に腕を掴まれそうはならなかった
そのまま仰向けの姿勢で地面に落ちる
背中に走る衝撃で肺の中が空っぽになる
必死に息を吸おうと藻掻き空を見る
「魔術用意!」
その声と共に空の色が変わる
空の色が青から赤になっていく
「焼き払えぇ!」
一気に周囲の温度が上がり
柵の外から人間ではない悲鳴が聞こえる
「シシールト!」
悲鳴の中で知った声が聞こえる
バードゥルの声だ
「ケホッ…終わりました?」
「……あぁ、終わったよ」
「それは良かっ…」
言い切る前にバードゥルに胸ぐらを掴まれる
「俺が何を言いたいか、分かるか?」
「…分かりますけど情状酌量の余地を要求します」
他に選択肢が無かったのだ
仕方がないのだ
これが最善だったのだ
「リンハウは何か言ってたか?」
「終わったらぶん殴ると言われました。なので擁護してください」
「…努力はする」
これ多分ダメな奴だ




