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第2帖
普段は職場から最寄りの駅までわずか3分の道のりを歩くが、今日だけはそんな気分ではなかった。できるだけ誰かと一緒に居たくない、そう心の奥底の黒い闇が私を覆っていた中、私の足は体の疲れとは反して、駅から逆方向に向いていた。
暗くなった公園の中を一人歩く。少しは緑に囲まれて気分が癒えるかと思ったが、葉っぱから零れ落ちた水滴の性でスーツが少し濡れてしまった。今日の朝に降った雨がまだ残っていたのか。
見上げれば、木々は私の心を汲んでいるかのようだった。
東風に 枝垂れ若葉の 泪落つ