第二章 私の命の速さ #7
「こんにちは。久しぶり、であってる?」
「あってるわ。…この間と違う口調ね。顔も…」
「方言、ていうのを習得中なの。他の街にも溶け込むためには学ぶべきだって意見が出たから。敬語を使い過ぎても怪しまれるし、原語って難解ね。」
「原語とか難解もその年頃の女の子は使わないわ」
「ご意見ありがとう。ウィリアンは本当に良い友達だわ。」
輝く森の中を駆け抜ける一迅の風に金色の肩までの髪を靡かせながら、十代半ばに見える容姿の女の子は青い瞳でウィリアンをみつめて微笑んだ。
「この見た目についてはどう思う?この辺りの村の女の子の平均的な容姿に近付けて造ったの。可愛い過ぎたりしない?印象に残ったりしない?」
「…私は自分の村から出ることがほとんど無かったから平均なんて知らないわ。」
「本当はウィリアンに似せて造ろうかって意見もあったのだけど、平均からするとあなたは突出した容姿だから駄目だって。後、瞳の色の再現も難しかったみたい。あなたの瞳は人間の複雑な螺旋の構成を体現してるみたいね。」
「…何を言っているのか解らないわ。持ってきた本、これで合ってる?」
「ありがとう。見せてもらうわ。」
女の子はウィリアンが渡した五冊の本を次々に、ぱららら、と素早く捲りそのまま二分ほど立ったまま動かなかった。
「終了。ありがとう。条件は満たしているわ。」
「本ぐらい自分で買いにいけばいいと思うんだけど…」
「まだ私達は原語や交流に不安があるの。闇市は治安が悪いしもし捕まったらと思うとまだ無理だわ。
だから、私達はよき友人を探していたの。」
「…」
「あなたがここに来てくれたことは、運命、だわ。」
「… …」
ウィリアンは何も言わず、だが凄みのある視線で女の子を見据えた。
そのまま背中を向けて去ろうとするのを
「ついでに浄化魔法していかない?あとお茶も。」
女の子は軽い言葉で引き留める。
ウィリアンは振り返って、顔をしかめたまま女の子の近くへ戻る。
女の子が、『開け、木よ』とつぶやくと、地面から巨大な透明の箱が音もほぼ無く浮かび上がって、二人でそこへ移ると静かに地面へ沈んでいった。




