さて…
さてと、本来の話に戻そう!
おれは板蔵にはならない!
そう決めた!
いや、決めるまでもない!!
だいたい
なれないのだから!!
いや、しかし 万が一がある!!
おれが転生したことを思い出せ!!
何が起こるかわからないが世の中だ!!
何らかの事故が起きて……
そうだな、例えば
廊下の向こう側から走ってくる板蔵
かたや
廊下のこちら側から走ってくるおれ…
交差して行くはずが 思わぬアクシデントでぶつかるとしよう………
そして 転び 起き上がると違和感に気づく
自分が目の前にいる………
まず疑うのはドッペルゲンガーだな!
次に気になるのは消えた板蔵……?
そこで手を見る………… 忍者の装い………!?
ハッとする!!
おい、まだ おれは男だからいいが、
女だったらショックでどうかなるだろうなー……
なんてったって
スキルは高いはずなのに
まっこと、残念極まりない忍者板蔵なのだからな!!
あっ!!でも、忍術は 一度 使ってみたいな!!
はっ…………!!
こんな事を思ってはいけない!!
おれの転生を振り返る…………
万が一は 万が一ではないのだ!!!
じゃぁ、なにに一なのだ!?
ふーむ…………
石を投げたら当たる確率か、いやもっとだ!
三に一つか、
星の数ほど女はいる か…
ん!?
なんだか失恋を励ます会になってきているのは気のせいか!??
そんなことよりも!!
神様!!たのむよーーーー!!
絶対の 絶対に そんなアクシデントは起こさないでくれ!!
フリじゃないからな!!!!!!!!!
おい!! 本題はどうした!!!!?
板蔵の話は愉快だが本題ではないのだった!!
「ポチ様〜〜〜〜!!」
あっ!よかったよ姫様が思い出してくれたらしい………
ポチ様の黒石は あいも変わらず 板蔵のそばに転がっている………
おれが触ろうとすると するりと避けて
板蔵が触ろうとすると
何故かキャッキャうふふの追いかけっこ………
では、姫様は? どうだろうか…
「姫様、ポチ様の黒石をお手にお取りください」
「そ…そんな、恐れ多いというものじゃ!!」
慌てて反論する姫様
「我々は、ポチ様に避けられているようでしてね…
ポチ様をお救いしたいのですよ
姫様、お願いします!!」
「うーーむ、で…は……、 ポチ様、失礼つかまつります」
「ゔっっ…!!」
板蔵という台を 力を入れた両の足で踏みつけ
ポチ様の黒石を手に取るため 黒石へ手を伸ばす姫様…………
あっ!!手が直ぐ側に寄っても逃げない!!
土台となり 力強く踏み続けられ続けている板蔵も 半分白目を剥いていながらも その様を見守る………
回りにいるくノ一も、おれも 皆、一様に
固唾を呑んで見守る………………………………
ある者は 握り拳を作り
ある者は 両の掌を合わせ祈りの姿勢をしつつ……
またある者は
仰向けに寝そべり………
いや、逆五体投地にて祈りを捧げる………
捧げているんだよな!?白目剥いているけど……?
姫様の指先が ポチ様の黒石に触れるか触れないかの瞬間、
パキッ…………
黒石にひびが入り
石の欠片が飛び散った!!!!
「「「「「「ポチ様ーーーー!!!!!!!!」」」」」」




