なんで?書類?仕事? ジーク編
私は、ジークだ!!
幼い頃からの腐れ縁で
ジム、ジン と共に冒険者になった
鳴かず飛ばずな勢いでやっては来た
ここらが、我々の限界か…と侘しくも思っていたところで
探索中に魔物の群れに囲まれた
斬っても 斬っても 一向に減らない魔物の数々
3人だけでは到底倒し切ることはできない………
もう………終わりだと…………そう、頭をよぎった瞬間
たまたま通りかかった 冒険者仲間が助けてに入ってくれた
それが ギルド内、
いやこのバジル領内では 知らぬものがいないと言うほどの遊名人、もとい有名人!!
日々 子供からも おちょくられている
ジル爺だったのだ!!
もう、我々は死を覚悟していたが
ジル爺が来た途端 形勢は逆転した!!
魔物を 千切っては投げ 千切っては投げ
まさにその言葉に等しい活躍で 我々も闘志を取り戻し 戦いきることができた
ぼろぼろになった我々に
ジル爺は
「それ、やるよ!!」
と、ポーションを投げて寄越し、
お陰で 心も身体も癒され
生きて無事に帰ることができたのだった………
それからというもの
我々3人はジル爺に懐き そばを常にうろちょろするようになった……
はじめは邪魔そうにしていたジル爺も
ジル爺 ジル爺……と、声をかけらる度に 心を許してくれていった……
今では、4人で一緒に探索に出かける仲だ
ジル爺のお陰で 新たな技やコツを教わり
我々も日々成長している…………………
……………と、此処までは素晴らしい美談だ………………
あのじーさん、度々、えらい騒ぎをぶち起こしてくれるんだな!!
スナック紫のママのに叱られ 五体投地にて謝罪した事は周知の事実
しかも、けっこうあちらこちらで、ツケを払わず呑み食いしているんだよ
収入は十分にあるはずなんだよ!!
ただ、煽てられると 「今日の飲み代はわしもちじゃぁーーー」とか、
小さい子が泣いていると 「どうしたんじゃ?」と、寄って行き、後ろから来たその仲間に倒されて アカンベーされながら 小銭持って逃げられるとか………
ほんとに冒険者か!?
しかも、
よく、財布落とすなーって思っていたら、
孤児院の前でわざわざ落としてたり………
あれっ!?後半めっちゃいい話じゃん!
とにかく まあ、
いい爺さんなんだよ!!
ただ、自分の生活が破綻しているだけ!!
だから、なんとかしてあげなくちゃって思ってね…………
たぶん、言葉には出さないけれど
俺たち3人は ジル爺さんが大好きなんだよ!!
時々 マジ喧嘩するけどね!!
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「やぁ、ジーク君は計算が早いねー!!
城で執務やらない?」
と、マルクさん
書類仕事はいい
正座して、廊下に机を出し計算をしていると
足の痺れを紛らわせてくれる
マルクさんが、私の机にどんなに書類を山積みにしようとも、気にならない
むしろ、 恐ろしいことを考えないで済むから
もっと、もっと山積みにしてほしいくらいだ………
はじめは 4人で 執務室の前で正座していたが、
4人そろうと わちゃわちゃするから と、バラバラにされてしまった………
「なんか、淋しい……………」
思わず口から出た言葉に驚く…………
「ジーク君には執務向いていると思ったのだけどなー…」
と、マルクさん。
とても素晴らしい誘いを受けたのはわかる
しかし、何故か心が躍らない…………
何故か、
一つは
この城の奥で激しい殺気を感じることだ………
それに伴い
ヒャッ とか ギャッ とか ぐわぁー
とか
この世の終わりのような声が響くんだ………
仲間のジンが行った方向でもあるので
マルクさんが様子を見に行ったら 大丈夫だったと教えてくれたんだ………
やはり、城のようなところは、長年の歴史で
殺戮 謀略、謀反、など様々な事があったであろうから
魑魅魍魎が彷徨っているのだろう…………
一般人である、私はこんな感じでずっとビビりっ放しだが
小さい頃から顔に出にくい性質のためか
誰も私の、怯えには気づいてくれない…………
しかしながら、
マルクさんは流石、騎士団長!!
なにひとつ気にすることなく城中を闊歩している……
カイゼ様は 半裸になって 私が正座をしている間中、ずっと室内で素振りをしている………
きっと、この厳しい環境下にいるのだ!!
いつどんな敵が来てもいいように 準備をしているのだろう!!
素晴らしい……
私のように 物音一つで震え上がっていては
城での執務など 到底ムリであろう………
この素晴らしいお話は 私の身には余るのでお断りをさせていただこう…
そしてなにより もう一つの理由は……
まだ
あの愉快な仲間たちと共にいたいから…………
ジル爺、孝行爺だったんだ……
カイゼの素振りはただの趣味
執務しないの!
全部、マルクに押し付けてるの!!
マルクいないと バジル領終了のお知らせが入るの!!




