お仕置きなの?ご褒美なの? ジル爺編
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わしは、まな板の鯉じゃ!!
もう、どうとでもしてくれ!!
わしは、もう、このまま死んでもよいのだ!!
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先ほど 領城からこちらに移送された
どこに連れて行かれるのかと、ハラハラしていたが……到着したところは
わ…わしの 愛しのハニーが経営しているお店の前!!!
「ハニー!!待っていてくれたのか〜い!?」
スキップして、キャッキャ、うふふで
お店に飛び込もうとしたら
城の騎士に、押さえつけられ、地面に正座させられた…………
「はて?」
「………脚、痛いんじゃがのぅ〜!!
石がゴツゴツしていてのぅ〜!!
老体に鞭打ってひどいことなさるのぅ〜!!」
減らず口の多い爺さんだとは思いつつも、
流石は、城の騎士、
表情筋を崩さない……
「何故に、わしは此処へ連れてこられたのじゃ?」
「反省中、城の中でもふざける つわ者なので
厳しく監視してくださる方の下へ…とのことです」
騎士が答える
「な!なんと!!!
ハニーのお店の前で監視されるとは!!
ある意味…〜悦び……………いやいやいや、
蛇の生殺しじゃて〜〜〜〜!!!」
その後も、わぁわぁ ほざき続ける ジジ……もとい、ジル爺………
そのジル爺のそばへ歩み寄る者が………
カラン、コロン………
「ジルさん、今日という今日は、ツケを払ってもらうよ!!」
「ママ〜!!」
ママとは言っても、ジル爺のママではない。
噂の女傑! スナック紫のママである!!
マルク様からは、簀巻きにしても、干物にしても、土左衛門にしても、好きにしていいと言われているからねぇ………」
「ねぇ、段々と酷くなってるって!!
最後の方なんて、お亡くなりじゃないかい!!」
「今日はね、ジルさんが逃げずに此処で反省の姿勢を見せたら
今までのツケの分と同じ代金をマルク様が報酬として支払ってくれるって言うから、監視することにしたのさ!!」
「えっ!?
紫ママがずっと そばにいてくれるじゃて!??」
「そうさ、ずっとそばにいてやるから、逃げるんじゃないよ!!」
……………………と、いうことで 冒頭に戻る…
「あ〜〜〜わしゃぁ、極楽にでもいるきぶんじゃぁぁぁ………………」
ほくほく満面の笑みで呟く 爺さん
紫ママがそばで監視している
そんな、紫ママの元に店の者がやって来る
耳元で コソリと話しをする
途端に 叫びだす紫ママ
「なんだってぇ!!
幻の名酒!!推し乃寒梅が 売りに出されたってぇ!!
こうしちゃいられない!!
店ごと買い占めに行くよ!!」
俄然やる気を見せる紫ママ
「ちょっと、あんた、そうそう騎士様だよ!!」
自己の顔を指差し 首を傾ける騎士
「このジルさん、縛って その辺の柱にくくっておきな!!!
じゃ、あとは頼んだよ!!!!!」
そう言うが早いか、一陣の風の様に立ち去って行った…………………
「……………………あれ、わし……………………」
言われるがまま、騎士はジル爺さんが呆けている間に 柱へ縛り付けた…………
仕事が早いのと力が自慢の マルクお墨付きの騎士である
「うぉぉぉぉぉぉぉん!!
なぜじゃ、紫ママとのランデブー!!
うっ…うっ…うっ…
柱や こんな無骨な男と一緒にいたいわけではないのに…………
うっ…うっ…うっ…」
この言葉に城の騎士も少し顔を歪ませた…
哀れに思ったのか、醜悪に感じたのかは本人のみぞ知る………
「わしが、こんな目に合うのも、こんな思いをするのも、黒龍が来たからじゃ!!
黒龍…………は、怖いから
黒龍呼んだ ギンのやつに復讐じゃぁぁぁ!!」
完全なる 情けない逆怨みである………………………
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領城にて
”あれっ!?
なんだか、怨みの念を感じる……!?”
『お主、愛されているのう………』
”怨みだぜ………!?”
『はふっ…………』
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