領へ
オレたちは
西国王城を目指し邁進し続け
かたや ドラゴンは
バジル領へ猛進している……
『ふぉっふぉっふぉっ!!
久方ぶりに 気概のあるものと出会ったものだ!!
本体が こちらにおるということであるが、一体 どんな者じゃ!?
楽しみであるぞ!!』
その頃、バジル領では………
兵士の一人が 領館へ飛び込んで大声で報告をしていた
「た、大変です!!!
超大型のブラックドラゴンが、 バジル領に向かって猛進しております!!!
この 勢いであれば もう、あと、5分後には辿り着くものと思われます!!!」
「なに!??
ブラックドラゴンだと!!
覇気が迫ってくるので 戦闘の装備をしていたが これは、命を賭した戦いとなるだろう………」
カイゼが叫ぶ!
そして、カイゼは 風魔法に 声を載せていく…
「「 領民へ告ぐ!!!
家族、友人 そして、未来を担う子供たちを守るが為、
戦えるものは 皆、 領門へ集まるがよい!!
敵は 相当な強者だ!!
腑抜けたものは要らぬ!
剣を取ることができる者だけ参れ!!!
向き合えないもの、守られるべきものは
即刻 各々が屋敷へ戻り 黙しているが良い!!!」」
風魔法に載った カイゼの声が領内の住人全てに届く
ある者は子供の首根っこを掴んで 慌てて戸締まりをし、
またある者は 恐怖のあまり動けなくなってしまう……
互いの絆を強く持っている領民は
そんな様を見かけると 次々と近くの家に放り込んでいく
そのおかげで、戸外にいるものは
戦いの装備を持つ者以外は ほぼ皆無となった………
戦闘のできるものは
余すことなく 装備を身に着け 門へと向かっていく………!!
そんな中、王城の一室では………
「クレア……
此度の敵は強大だ!!
生きて帰る事が出来ぬかもしれない………
ギルのことは お前に任せる
健やかに育てあげてくれ………」
「はい……………それでも
私は、 無事なお帰りをお待ちしております…………」
寄り添うカイゼとクレア………
その2人の間で 抱きしめられたままのギルは 寝ているようだ………
このまま時間が止まってしまえばいいのに………
口付けを合図とし、名残惜しく体を離しクレアとギルを見据えたカイゼは
窓から飛び出し
飛ぶように領門へ向かっていった………
領門では
いち早く 森の異変 暴風と共に迫ってくる強靭な気配に気づいた冒険者たちと
バジル領の騎士団 街を守る兵士
さらには 農具を武器として持ってきた平民
そして、魔法使いも集まっていた
領内の 三分の二以上の人が居るのでは?
と思うくらいに 男女共に 大勢の人が集まっていた
そんな多くの人々が ひしめき合っているのにも関わらず
声を発するものは、ほぼ居ない…。
皆、一様に 緊迫した雰囲気を前面に出している……
これから起こることへ 対する恐怖をも
仲間を守る気持ちへと切り替え 自己を奮い立たせていた………
なんという 献身!!
バジル領は、代々カイゼ率いる 辺境伯家が領を治めていた。
領が興された当時より、
””領主は 常に 領民を守り育み慈しめ!
困っている者、助けが必要な者には 惜しみなく手を差し伸べろ!!
但し
悪さをした者には きちんと躾をし直し それでも
手には負えぬ者は 秘境に教育を頼め!””
を、モットーに 領主も領民との距離も近く
同じ釜の飯を食べ 共に学び 共に眠り 共に育ち続けていた
人は 人と共にいなければ生きていけない
一人だけでは 秘境には勝てない……
身を以て学ばされていた
それが次世代へと 過去から連綿と受け継がれ続けてきていた…
無論、中には 暴挙の手を挙げたり 謀反をしてくる輩もいたが
それらは
隣接している 秘境の大森林という 存在に一蹴にされてきている
生活を一瞬で脅かしてくるものが隣にいて、
支え合い 共に闘える状況を 作っておかねば
自分で自分の首を絞めることになる と、
皆が 肌で感じていたのであろう………
過去に 例え
暴虐の限りを尽くそうとしても
ひとまず 秘境へ連れていき
一週間………いや、3日ほどあれば十分であろう……
木に吊るしておくだけで
再教育ができるのだ!!
3日も放置すれば、迎えに行った時
身体の穴から全てを垂れ流しにして喜ぶのだ!!
(その後の再帰具合が どうなのかは 解らぬが
小さな物音にビクついたり
暗闇を恐れたり
近所のペットの 犬や猫にすら、見かける度 五体投地で礼をする……ような輩をも輩出されたらしい)
まぁ、
謀反を起こしても 付いていく者は よほどの荒くれ者の余所者や 他者と相見えることのできぬボッチ者のみ…多数ではない
一般の者は、他領に比べ 如何にこのバジル領が
住んでいるものに優しく手を差し伸べてくれているか 分かっているからこそ
くだらぬ謀反ごっこに踊らされるものは
皆無といっていいほどであった……
その為、捕らえられた者も
勿論、秘境に再教育をお頼みし、
無事に帰ってきたものは
皆一様に バジル領に献身しようと
更に精進を重ねていった……
表向き 表面では 常に 秘境の大森林を目前に控えているのに……
いや、秘境の大森林という揺りかごに守られているからこそ
穏やかな生活が繰り広げられている
バジル領なのであった………
そんな中でも精鋭の戦士である領民が待ち構える領門に カイゼが到着した!!!!!
「カイゼ!!」
腹心ともいえる
バジル領騎士団第一隊長である マルクが直ぐ様そばへやって来る!!
「此度の敵は 相当なものだ!
こんな、力のあるものは 他にはおられぬ!!
実に 腕が鳴りますねぇ…」
マルクの言葉を受け、カイゼも…
「この強大な御仁と剣をまみえる事ができるとは、
生涯の誉れ 子々孫々まで語り継いでもらわねばならぬであろう…」
2人で目を合わせ 不敵に笑む
””さぁ!!
もう、到着するであろう 黒龍!!
皆 持っている力の全てで 相見えようではないか””
「「「「「「「「「オォーーーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」」
気づいたのは 誰であろう!?
一人が 「あっっ!!」と、気づけば
口々に言いだした!
「きた!」 「くるぞ!」 「構えろ!」
手に持つ 武器に力が入る………
空に 小さく見える 黒点……
みるみる大きくなり近付いてくる!!
はじめは 1ミリにも満たない小さな点であったのに…
瞬きした瞬間に ほんの 0.5秒にも満たない時間であろうに……
破滅の色を持ち 武骨で冷酷な目をした存在が
すぐ目の前に……そこに居た!!!!!
『出迎えご苦労!!!』
ぅん!?
『我の来訪が分かるとは なかなかの人間どもよな!!
ふぉっふぉっふぉっ!!!』
ぅんん!????
『して、銀どのは、どちらにおるのか!?』
ぎ……ん!?…………………??
………誰だ?それ!???




