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黒い丸
「もう!!どういうつもりなのよ!!
私の自慢のフサフサの尻尾が曲がっちゃったじゃないのよ!!
いい加減にして!!」
「そ………それは、済まなかったでござるよ!」
「詫びを入れるなら 金目の物を寄越しなさい!!」
「拙者、あいにく金目のものは持ってないでござるよ!」
「ムキーーー!!
じゃ、金になりそうなもの置いていきなさいよ!!」
「うーーーむ…………
これぐらいでござろうか…………?」
板蔵が懐からガサゴソと取り出す
「ほら、これをやるでござるよ!」
「……………………」
「ほら、持ってくでござるよ!」
「………、………、」
「食べていいでござるよ!」
「………………こ、こんな、黒い丸い塊 いらないわよーーー!!!!
なによ!!こんな、ただの泥の塊!!!!」
確かに どこからどう見ても 泥の黒い丸………
思わず声を掛ける
「板蔵、泥団子はいらないと思うぞ………」




