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第2章 213 メイドとして潜入

 再び【クリア】を口にすると、私はメイド服を手に入れる為に城の中を歩き始めた。

 いつバレてしまうか分からない状況にハラハラしながらも、何とか私はメイド用のロッカールームを探し当てた。


 この際、サイズはどうでも良かった。私は一番奥の開いているロッカーに入ると自分の姿が元に戻るのをじっと待った――




****



 コツコツコツコツ……


廊下を歩いていると、突然背後から声を掛けられた。


「ちょっと、そこのメイド。手が開いているなら手伝ってくれる?」


「はい」


振り向くと、私は返事をした。 背後には三人のメイドが立っている。


「これから聖女様が主催の晩餐会が開かれるのは知ってるでしょう? こんなところで何をしているの?」


ひとりのメイドが非難めいた目で私を睨みつける。


「申し訳ございません。……新人なものですから城の中で迷ってしまって」


「確かにあまり見ない顔ね……まぁいいわ。なら私達と一緒にいらっしゃい」


私は素直に返事をした。


「はい、分かりました」


会話の糸口で、もしかするとリーシャ達が何処にいるか分かるかもしれない。

それにしてもこんな状況のときに晩餐会を開くなんて、一体カチュアは何を考えているのだろう。

そこで私は尋ねてみることにした。


「あの、この晩餐会はどのような趣旨で開催されるのでしょうか?」


「趣旨? そんなことまでは知らないわよ。私達が知っているのは主催者がカチュア様と宰相ってことくらいよ」


「あら? でも何か余興があるみたいなことを言っていたわ」


「そう言えばそんなことを話していたわね……」


その話に嫌な予感がよぎる。

晩餐会の主催者がカチュアと宰相……しかも余興? ユダ達は助けることが出来たけれど、未だにリーシャたちの行方が分からない。

まさか……人質たちを使って、何かをするつもりなのだろうか?


不安な気持を押さえつつ、私は彼女たちの後についていった――




****



「ここが晩餐会の会場よ。今夜は『エデル』に住む有力貴族の方々にカチュア様をお披露目する大事な日だから、抜かりがないように入念に準備をするのよ」


会場につくと、一番年長のメイドが説明した。


「ここが会場ですか……」


私は辺りを見渡してため息を付いた。


見上げるほどに高い天井には美しい宗教画が描かれている。大理石の床は見事に光り輝いている。

その圧巻の光景に私はただ驚いていた。

何しろ、回帰前もこの場所には一度も来たことが無かったからだ。


「ほら、何をしているの? 早く食器を運びなさい!」


先程のメイドが背後から声を掛けてきた。


「は、はい! 分かりました!」


仕方ない……少しの間、この場所で仕事をしながら、なんとかしてリーシャたちの情報を掴まないと。


私は心のなかでため息をついた――


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