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第2章 198 協力依頼の内容

「それでは僕たちは何をすれば良いですか?」


トマスが尋ねてきた。


「多分、私に関わっていた人たちは全員何処かに捕らえられてしまったと思うの。とてもではないけれど、私一人では皆を探し出すのは不可能だわ。だから皆に協力をしてもらいたいの」


「協力をしてさしあげたいのは山々ですが……我々のような者でも力になれるのでしょうか? 捕らえられているとすると城の何処かになるのですよね?」


初老の男性が心配そうに尋ねてきた。


「見つからずに城に潜入など出来るのですか?


別の男性が尋ねてくる。


「ええ、大丈夫です。これがあれば」


先程見せた液体の入った瓶を見せた。


「あ……これは先程クラウディア様が話されていた、一定時間の間姿を消すことが出来るという薬ですね?」


トマスが声を掛けてきた。


「ええ、そうよ。皆さんにこの液体を飲んでもらって、城に潜入して手分けして私の仲間を探し出してもらいたいの。多分皆地下牢に捕らわれていると思うわ」


「地下牢に……ですか?」


以前、ユダたちは監獄に囚われていた。けれど今回はそこには入れられていないような気がする。何故なら前回ユダたちを私が助け出しているからだ。 同じ場所に捕らえることなどあまり考えにくかった。


「ええ、地下牢の方が助け出すのに潜入するのが難しいと思わない?」


私の考えにトマスが頷く。


「確かに、言われてみればその通りですね。分かりました。僕はクラウディア様を心の底から信用していますから」


「ですが……全員分飲むにはその液体は量が少ないのではありませんか?」


別の男性が心配そうに尋ねてくる。


「ええ。確かにその通りです。なので、もう一度この薬を錬金術を使ってこれから作るつもりです」


「ですが錬金術というのは体力も激しく消耗するのではありませんか? それにどれくらい時間がかかるのかも分からないのですよね? なのに今から作るなんて大丈夫なのですか?」


トマスが心配そうな表情を浮かべる。


「ええ、分かっているわ。だけど、皆を一刻も早く助けなければ……急がないともしかして……」


私はそこで言葉を切った。

考えたくはないが、もしかすると見せしめの為に皆が処刑されてしまうかもしれない。

現に、私はこの国の王妃でありながら……断罪されて処刑されてしまったのだから。

あのときの感覚は今も忘れることは出来ない。冷たい刃が首に触れるあの瞬間が……


「クラウディア様。顔色が悪いですよ? やはりお疲れなのではありませんか? そんな身体で錬金術を行うなんて……無理ですよ!」


強い口調でトマスが首を振った。


「大丈夫よ、トマス。ただ、錬金術を行う際はどんな危険な事が起こるか分からないの。だから私がここで、【クリア】を完成させるまでは、皆さんにこの救済院から離れていて貰いたいのよ」


「クリア? その液体は【クリア】と言うのですか?」


初老の老人が尋ねてきた。


「はい、そうです。この液体を完成させるまでの間……どうか、この救済院を私に貸して下さい。よろしくお願いします」


私は頭を下げた。


「そんな、どうか顔を上げて下さい。クラウディア様は我々にとっての聖女様です。聖女様のお願いを聞くのは、当然のことです。皆もそうであろう?」


老人の言葉に、その場にいた全員が頷く。


「当然です!」

「どうぞご自由にお使い下さい!」

「我々はクラウディア様に従います!」


「皆さん……ありがとうございます」


私は再び彼らにお礼を述べた――



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