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第2章 174 カチュアとの対面

「ふぅ……」


ソファに座り込むと、今後のことを考えた。誰が『黄金の果実』を盗み出したのだろう? それにアルベルトはいったいどこへ……?


宰相が勝負を言い渡してきたこととい、黄金の果実が消えてしまったことといい、あまりにもタイミングが良すぎる。


「やっぱり宰相の手の者が……黄金の果実を盗みだしたのかしら。だけど、あの鍵は私しか持っていなかったはず……」


そこまで言いかけて、あることに気づいた。そういえばアルベルトはこの鍵を私に手渡すときに、鍵はこれしかないとは言わなかった。


「もしかして……アルベルトも鍵を持っていたのかしら? ひょっとして何者かに奪われて……」


そうなると、アルベルトの身が心配になってきた。まさか、彼の身に……!?


「どうしよう……ユダたちにアルベルト様の捜索をお願いしたけれど、彼を見つけることが出来るのかしら……」


「何か……探しものをするための錬金術は……!」


急いで私は引き出しに隠しておいた祖母の日記を手に取ろうとしとき――




――コンコン



 部屋の扉がノックされた。まさか……アルベルト?


扉に駆けよると、声を掛けた。


「どなたですか?」


『私です、カチュアです。中に入れて頂いてもよろしいでしょうか?』


「!」


よりにもよって部屋を訪ねてきたのはカチュアだった。こんな肝心なときに……

けれど、断るわけにもいかない。


「どうぞ……」


扉を開けると、そこには二人の騎士を連れたカチュアがいた。


「こんにちは、クラウディア様。お話したことがあってこちらに参りました」


ニコリと笑うカチュアが不気味に思えた。


「ええ、どうぞ……」


扉を開け放すと、カチュアが部屋に入ってきた。てっきり騎士達も中に入るのかと思ったのだが……


「あなた達は扉の外で待っていて頂けますか?」


カチュアは騎士たちに声をかけた。


「「はい、承知致しました」」


騎士たちは声を揃えて返事をすると、部屋の扉は閉ざされた。


「私に話というのは何かしら?」


早速カチュアに尋ねるも、彼女は私の質問に答えること無くソファに座り、私を見上げた。


「座りなさいよ、話はそれからよ」


カチュアは二人きりになると、とたんにぞんざいな口調になって命令してきた。


「……」


せめてもの抵抗で私は無言で彼女の向かい側のソファに座ると、カチュアは膝を組んで身を乗り出してきた。


「見張りの兵士達から聞いたわよ? あなた、聖地に入ろうと神殿まで来たそうじゃない。でも残念だったわね。今日は聖地で私が祈りを捧げる日だったから追い出されたのでしょう?」


意地の悪い笑みを浮かべるカチュア。


「ええ、その通りよ」


「一体何をしに、聖地に入ろうとしたのかしら?」


「何故、貴女にその理由を話さなくてはならないのかしら?」


もう、こうなったらまともに相手などしていられない。適当にあしらって出ていってもらわなければ。


「決まっているでしょう? 私はこの国の『聖なる巫女』聖地は私の物なのよ? 勝手に私の聖域に足を踏み入れさせるわけにはいかないもの。ほら、早く言いなさいよ」


やはり、これが本来のカチュアの姿なのだ。


私は目の前のカチュアをじっと見つめた――




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