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第2章 171 依頼

「処罰……処罰とは一体どういうことです? どんな処罰を受けるというのですか?」


ユダが真剣な表情で尋ねてくる。そして私の脳裏には回帰前に断頭台で処刑された記憶が蘇り……思わず首に触れた。


「処刑……とか……?」


無意識のうちに言葉が口をついて出てしまった。


「な、何ですって!? しょ、処刑だなんて! それはあまりに大げさ過ぎます!」


「そうですよ。クラウディア様。何も勝負を棄権するぐらいで処刑だなんて、いくらリシュリー様でもそこまでのことはなさらないでしょう?」


ユダとダンテが青ざめた顔で口々に言う。


「でも私は所詮敗戦国の姫だから宰相は私を初めから邪魔者だと思っているのよ? 現にユダ。あなた達は私に肩入れしたからというだけで監獄に入れられてしまったでしょう? 私はそれだけ宰相に憎まれているのよ」


「クラウディア様……」


私の話を悔しそうな表情で聞いているユダ。


「前回の勝負だってそうよ。宰相は聖地に刺客を放って、私を殺そうとしたわ。もっとも彼の仕業だという証拠は何も無いけれど。だから、今回黄金の果実が無くなったのも口実をつけて、もしかして私を……」


「クラウディア様!」


すると突然ユダが私の両肩を掴んできた。


「キャアッ! な、何?」


「逃げましょう! 今すぐに!」


「「ええっ!?」」


ユダの言葉に私と、そばにいたダンテも驚きの声をあげる。


「私がクラウディア様をお守りして、安全な場所までお連れします! 宰相の仕業なら恐らく黄金の果実は見つからないでしょう。だったらここはもう逃げるべきです!」


「落ち着いて、ユダ。そんなことできるはずないでしょう? 私は『エデル』と同盟を結ぶ為にこの国に嫁いできたのよ? もし逃げたら、『レノスト』王国はどうなってしまうの?」


「そ、それは……ですが! クラウディア様の命のほうがずっと大切です!」


ユダはそれでもひこうとしない。するとそばで聞いていたダンテがユダに言った。


「ユダさん、クラウディア様の言うとおりです。クラウディア様は人質として我が国に嫁いでこられたのですよ?言わば、『レノスト』王国の国民達全員が人質として考えても良いくらいなのですから」


「だとしたら一体どうしろと言うのです!?」


鋭い視線でユダはダンテを睨んだ。


「そ、それは……まだ特に考えが浮かびませんが……」


私はユダとダンテの会話を聞きながら、アルベルトが不在の理由を考えていた。

彼は一体何処に行ってしまったのだろう?


でもその前に……


「私……もう一度行ってみようかと思うの」


「え? 行く? とは?」


「クラウディア様、一体どちらに行かれるおつもりなのですか?」


ダンテとユダが尋ねてくる。


「もちろん、聖地によ」


黄金の果実が見つからないのであれば、もう一度聖地に足を運ぶしかない。


「ユダ、一緒に……ついてきてくれる?」


「ええ、もちろんです。何処までもお供いたします」


ユダは大きく頷いた――





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