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第2章 169 所在不明

 アルベルトの執務室の前にやってきた私とユダ。


早速、私は扉をノックした。


――コンコン


ややあって……


扉が開かれると、青ざめた顔の青年が姿を表した。確か、この人物は……


「貴方は……確かダンテ?」


「はい、そうです。アルベルト様の補佐官のダンテです。私のことを覚えておいでだったのですね? クラウディア様」


笑みを浮かべて挨拶してくるも、なんだか様子がおかしい。


「アルベルト様に会いに来たのだけど、今、会えるかしら?」


「あ……それが……」


ダンテはチラリと執務室に目をやる。


「忙しいのなら出直すわ」


「いえ、そういうわけでは無いのです。実は……」


言いよどむダンテは何故か私の背後に立つユダに視線を送る。


「彼のことなら大丈夫よ、私の専属護衛騎士だから」


「ユダと申します」


私の言葉に、ユダはダンテに挨拶をする。


「そうですか……ではどうぞお二人ともお入り下さい」


「え? 俺も……いいのですか?」


ユダが首を傾げる。


「はい、どうぞ」


ダンテはうなずき、私達は執務室に入った。


「……アルベルト様はどちらに?」


いつも書斎机に向かって仕事をしているアルベルトの姿がない。


「ええ、それが……今朝、こちらに伺ったときからいらっしゃらないのです。それどころか城の何処を捜してもお姿が見当たらないのです」


ダンテが困った表情を浮かべる。


「「え!?」」


その言葉に驚く私とユダ。


「書き置きも何も無いので、もしかすると何かあったのではないかと内密でアルベルト様を捜している最中なのです」


「そ、そんな……陛下が……」


ユダの顔は青くなっている。

もしかすると、アルベルトは……。


「あの、私……アルベルト様に二人だけの秘密の隠し部屋を聞いているの。その部屋を捜してみたいと思うので……悪いけど、一旦二人はこの部屋を出てくれるかしら?アルベルト様からは絶対に秘密にするように言われているのよ」


私の言葉に、ユダとダンテは一瞬顔を見合わせる。


「そうですね。陛下がそう仰るなら、我々は隠し部屋を知るわけにはいかないでしょうね」


「クラウディア様。扉の前で待機しています。何かあったらすぐに大きな声を上げて下さい」


ダンテとユダが交互に声を掛けてきた。


「ええ、分かったわ。それでは申し訳ないけれど、一度部屋を出てくれるかしら?」


二人は頷くと、部屋を出ていった。


――パタン


扉が閉ざされ、執務室には私だけが残された。


「確か、隠し扉の入り口は……この本棚だったわね」


私は本棚の前に立ち、そっと触れた。するとカチリと奥で音が鳴り、隠し扉が開かれた。


「アルベルト様……」


大丈夫、アルベルトは言っていた。この隠し扉を知るのは自分だけだと。


私は意を決して、部屋の中へと入って行った。



そしてとんでもないものを目にすることになる――

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