表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/380

第1章 23 回帰後のある変化 2

「え…?」

「どうしたんでしょうね?」


何故停車したのか分からず、私達は戸惑っていると馬の足音がこちらへ近付いてきた。


そして、馬車の窓から突然スヴェンが覗き込んできた。


「姫様、リーシャ」


「え?スヴェン?どうしたの?」


「どうしたも何も…ここで少し休憩を取ることにしたんだよ。ずっと馬車に乗って疲れただろう?」


そしてスヴェンはまたがっていた馬から降りると、馬車の扉を開けた。


「さぁ、姫様。降りてこいよ。リーシャも」


スヴェンが手を差し伸べてきた。


「あ、ありがとう…」


戸惑いながら、スヴェンの手を借りて馬車を降りると『エデル』の使者達も既に休憩の準備に入っていた。


馬車が停まった場所は小川が流れていた。


「まぁ…とてもきれいな場所ね…」

「ええ、本当ですね」


私とリーシャは目の前の美しい光景に目を奪われていると、スヴェンが声を掛けてきた。


「姫様、リーシャ。喉渇いただろ?ほら」


そして私達の前に水が入った木のコップを渡してきた


「まぁ、ありがとう」

「ありがとうございますっ!」


私達は早速コップの水を飲んだ。冷たい水が渇いた喉を潤してくれる。


「…美味しいわ…」

「ええ、美味しいですね。クラウディア様!」」


リーシャは余程喉が渇いていたのか、ごくごくと一気に水を飲み干してしまった。


「アハハハ…そんなに慌てなくても大丈夫だ。水はそこの小川から汲んだんだから」


スヴェンは笑いながら教えてくれた。


「そうなのね?とても美味しい水ね」

「はい!」


「お腹も空いたんじゃないか?森の中を馬で通り抜けながら果実をもいでおいたからこれも食べるといい」


スヴェンは腰に下げていた麻袋を外すと、紐を解いて中身を見せてくれた。

見ると中にはリンゴやオレンジといった果実がぎっしり入っていた。


「わぁ〜…美味しそうです…」


お腹が空いているリーシャはとても嬉しそうだった。


「スヴェン…いいの?こんなに沢山貰っても?」


「その…姫様達が運んできた食料…全て俺たちの村に寄付してくれたんだろう?これは…その、俺からのお返しの気持ちだよ。こんなことくらいしかしてあげられないけどさ…」


スヴェンは何だか申し訳なさげにしている。


「何を言ってるの?こんなに色々良くしてもらえて…とっても嬉しいわ。ありがとう。スヴェン」


笑顔でスヴェンにお礼を述べると、何故か彼は顔を真っ赤に染めた。


「い、いや。そう言って貰えると嬉しいよ。そ、それじゃ俺は馬を休めてくるよ」


スヴェンは早口で言うと、踵を返し足早に立ち去って行った。


「クラウディア様。スヴェンさんて頼りになりますね」


「ええ、そうね」


その時、背後で視線を感じた。


「?」


振り向くと視線の先には仲間たちと少し離れた場所にユダが立っていた。彼はこちらをじっと見つめている。


「ユダ…?」


すると私とユダの視線が合った。

その途端ユダはハッとした表情を浮かべると視線をそらし、仲間たちの元へと行ってしまった。


…今のは一体何だったのだろう…?


「クラウディア様。どうかしましたか?」


リーシャが声を掛けてくる。


「いいえ、何でもないわ。それじゃリーシャ。馬車に戻って早速スヴェンが採ってくれた果物を食べましょう?」


「ええ、いいですね。それでは馬車に戻りましょう」


そして私とリーシャは馬車へ向った―。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ