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第1章 22 回帰後のある変化 1

 ガラガラガラガラ…


 青空の下、馬車は何処までも続く平原の1本道を進んでいく。周りの景色は戦争の爪痕があちこちに残されており、焼けた木々や所々に穴が空いている地面が見えた。

 

 懐中時計を確認すると、既に『アムル』の村を出発して4時間程が経過していた。


「こうして外の風景を見ていると…戦争が激しかったことが伺えますね…」


リーシャがポツリと呟いた。


「ええ、そうね…」


彼女の言葉に頷きながら、私は回帰前の出来事を思い出していた。



恐らく彼等が次の休息場所として立ち寄るのは、『クリーク』の町。

『アムル』の村と同様、かつての『レノスト』王国の領地だった町だ。


そしてここは…大きな野戦病院がある町で、多くの傷病者達が今も満足のいく治療を受けられずに苦しんでいる。


そして、当然の如く『エデン』の使者たちはここに立ち寄り…『アムル』の村同様、私は彼等に酷く責め立てられたのだ―。




「どうかしましたか?クラウディア様。何だか思い詰めた顔をしていますが…大丈夫ですか?ひょっとして馬車酔でもされましたか?」


リーシャの言葉に、私は現実世界に引き戻された。


「いいえ、何でも無いわ。大丈夫よ?」


笑みを浮かべて返事をする。

気づけば、馬車はいつの間にか森の中を走っていた。


「でも、いつになったら休憩してくれるんでしょう。もうお昼時間だってとっくに過ぎているっていうのに…」


リーシャは少し離れた場所を馬にまたがって談笑している兵士達を見て不満げにしている。


「…」


あの時は、『クリーク』の町に到着するまで、馬車は休憩してくれなかった。前回と同じであれば、恐らく夕方までこの馬車は停まってくれる事は無いだろう。


「あ、あの木になっているリンゴ…美味しそう…。もう私…お腹だって空いちゃいましたよ…」


リーシャは森の木々になるリンゴを恨めしそうな目で見つめ、ため息をついた。


「仕方ないわ。先を急いでるのよ。お腹が空いているのは皆同じよ」


私はリーシャを宥めるように語りかけた。


…けれど、私は知っている。

彼等は皆非常食を携帯しており、私達に内緒で食べているということに…。


「そうですね。お腹が空いたし、疲れたので休憩して下さいと彼等にお願いしても、馬車に乗っているだけなので疲れるはずないだろう?なんて言われてしまいそうですね。結局…我慢するしかないってことですよね…」


リーシャは『エデル』の使者たちのことを大分理解したようだった。


「ええ、そうね」


するとその時…。



ガタンッ!


突然馬車が森の中の少し開けた場所で停車した―。



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