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第2章 110 宰相からの挑戦状

「1度だけの勝負ではクラウディア様に分が悪いでしょうからな……チャンスを2回差し上げようかと思い、2種類の勝負を御用意させて頂きました」


妙にもったいぶった言い方をする宰相。


「そうですか、それはお気遣いありがとうございます」


「まず1つ目ですが、この国には聖地と呼ばれる場所があるのはご存知ですかな?」


「ええ。勿論知っております。その聖地に神殿があるのですから」


「その聖地の奥地には『聖木』と呼ばれる巨木があります。そしてこの巨木には神聖力がある者には黄金の果実を生らせてくれるのです。そこで『聖木』を探し出し、黄金の果実を無事に持ってくることが一つ目の勝負となります」


「黄金の果実……ですか」


「ええ。この黄金の果実を口にすれば、どのような病もたちどころに治ると言われるまさに神の果実です」


 得意げに語る宰相の言葉に、アルベルトが表情を険しくして反論した。


「宰相!あの巨木は神聖力が尽きて、枯れてしまっているはずだぞ!それなのに黄金の果実を持ってくることなど無理に決まっているだろう!」


「ええ、勿論陛下の仰る通りですが……。神聖力をお持ちであれば、例え神木が枯れ果てていようとも果実を生らせることくらい出来るのではありませんか?現に今から300年程前に、この国に召喚されてきた聖女・セシリアは黄金の果実を手にしたのですよ?どうです?クラウディア様。この勝負……受けますか?もし、どうしても無理だと言うなら我々に謝罪をすれば考え直してあげないこともありませんよ?」


 そしてリシュリーが挑発的な目で私を見る。


「馬鹿げている!そのように本当にあるかどうかも分からない黄金の果実を取ってこさせるなどあり得ない話だ!しかも謝罪をすれば考え直すだと?!クラウディア、勝負をすることも謝罪する必要も無いからな?」


 アルベルトが必死で止めに入ってきた。けれど私にはそんな気は更々無い。


「はい、分かりました。その勝負、謹んでお受けしましょう」


「クラウディア!本気で言っているのか?!」


 私の言葉にアルベルトが青ざめる。


「ほう……。まさか本当に受けるとは思いませんでしたな?いや、これには流石に驚きましたな。随分とクラウディア様は自信がおありのようだ」


 一方で宰相の方は、自ら勝負の内容を決めたにも関わらず驚きの表情を浮かべている。

 恐らく私が勝負を諦め、謝罪をするとでも思っていたのだろう。


「では、もう一つの勝負の内容を教えて下さい」


「あ、ああ。そうですな。ではもう一つの勝負ですが……それは生まれつき、身体の不自由な人々に奇跡の力を分けてあげることです。世の中には足が不自由で歩けなかったり、目が見えない人々がおります。そのような人々を救ってあげることです。どうです?素晴らしい勝負内容だと思いませんか?」

 

 やはり、宰相が提示してきた2つの勝負は私が思った通りのものだった。


「ええ、そうですね、本当に素晴らしい勝負だと思います」


 宰相に返事をすると、私は笑みを浮かべた――。

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