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第2章 59 混濁する意識

 精神的ショックのせいか、それとも旅の疲れがたまっていたせいなのかは分からなかったが、あの夜から私はベッドに臥してしまった。


 時間の感覚も分からず混濁する意識の中、見知った人達が私のもとへやってきた。

アルベルトは勿論、侍女長のメラニーやマヌエラ、新しくメイドになったエバ。

そして……。


「申し訳ございません……クラウディア様……。私は何てことを……」


涙で濡れたリーシャがいた。

彼女は私の元を訪れるときはいつも誰かと一緒だった。それはまるで監視されているようだった。

そして気付けばいつもそばにいるのはマヌエラとエバの姿で、リーシャの姿はそこに無かった。




「クラウディア……」


 朦朧とする意識の中、名前を呼ばれて薄目を開ければそこにはアルベルトの姿があった。

彼は心配そうな顔で私を見つめている。


「クラウディア。お前は無理に催眠暗示を解こうとした為に身体に負担がかかり、今後遺症にかかっているんだ」


 アルベルトは私に声が届いているのかも定かでは無いの状況を説明している。


「リーシャは何者かによって、深い催眠暗示に掛けられていた。何者かによって、お前を陥れる為に操られていたのだ」


え……?リーシャが……?それで、もしかしてネックレスを外すように……?


「もう彼女の暗示は解けているが、今は謹慎処分中だ。お前の体調が回復してから彼女の処遇は考える」


そんな、リーシャを私から離さないで……。


「犯人の目星はついているが……証拠が無い。だが必ずいつか証拠を掴み……罰を下す。俺はお前を……」


そこから先はもう何を言っているか分からなかった。

再び私の意識が遠くなってきたからだ。

アルベルト……。

何故そんなに私を……?貴方は私を処刑したのに……何故今更……。


そして最後に耳に残るあの声。


『おいっ?!しっかりしろっ!!クラウディアッ!!』


あれは……。


そして私の意識は闇に沈んだ――。




****



「う……」


夢も見ない深い眠りから、急に私は目が覚めた。何故なら部屋の外で大きな声が聞こえていたからだ。


『頼む!どうか……クラウディア様に会わせてくれ!』


『いいえ!なりません!陛下の許可なく会わせるわけには参りません!』


『だが、俺はクラウディア様より直々に専属護衛兵士に任命されているんだっ!頼む!』


「え……?ユ…‥‥ダ……?」


気付けば私の口から言葉が出ていた。

いつの間にか、話が出来るまでに回復していたようだった。

するとその時、すぐ傍で声が掛けられた。


「クラウディア様っ?!お目覚めになられたのですかっ?!」


首を回すと、そこには心配そうに私を見つめているエバの姿があった。


「エバ……?」


「はい、そうです。私です、エバです。良かった……ようやくお話が出来る様になったのですね?本当に心配しました……」


「ごめんなさいね……心配かけさせてしまって……」


身体を起こそうとすると、すぐにエバが手伝ってくれた。

背中にクッションを当ててくれた彼女に声を掛けた。


「部屋の外にユダが来ているのよね?」


「ユダ?あの兵士のお名前ですね?」


「彼をこの部屋に呼んでくれる?」


「で、ですが……」


困惑の表情を浮かべるエバ。


「いいのよ、彼は私の大切な仲間だし……折角ここまで来てくれたのだから追い返すこと無いわ」


「分かりました……すぐに呼んでまいります」


エバは立ち上がると扉へ向かった――。




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