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第2章 57 小さな違和感

「クラウディア様、陛下とのお食事はいかがでしたか?」


ベッドメイクをしながらリーシャが尋ねて来た。


「そうね。私の好きな魚料理が出て来たわ。とても美味しかったわね」


するとリーシャはこちらを振り向いた。その様子はどこか呆れたように見える。


「私はそのようなことを尋ねているわけではありません。陛下とのお食事時間は楽しかったかどうか伺っているのですけど?」


「そ、そうだったの?」


まさかアルベルトと過ごした時間の感想を尋ねられるとは思いもしなかった。


「はい、そうです。それでどうでしたか?」


「ええ、有意義な時間を過ごすことが出来たわ」


何しろアルベルトからは賢者の石が埋め込まれたネックレスを貰うことが出来たし、専属護衛兵士にユダを指名することが出来たのだから。


「それは良かったですね。きっとお2人は仲睦まじい結婚生活になること間違いないですね」


リーシャはどうやら私の言葉を勘違いして解釈しているようだった。

私とアルベルトが仲睦まじく?確かに回帰前のアルベルトと今の彼は大違いだ。


けれど、私の中には彼によって処刑された記憶が残っている。

今はカチュアのことを敵視しているように見えるけれども、この先どうなるか分からない。

何しろ彼女は人の心を掴むのがとても上手な女性だったから。


「クラウディア様?どうかされましたか?」


不意にリーシャに声を掛けられて、現実に引き戻された。


「いえ、何でも無いの。ごめんなさいね、ぼんやりして」


「やはり、お疲れなのですよ。ベッドメイクも終わりましたから今夜は早くお休みになって下さい」


「そうね。そうさせてもらうわ」


「クラウディア様、そのネックレスですが眠るときは危ないですので外しておいた方がいいかもしれませんよ」


「ええ。分かったわ」


「はい、それでは灯りを消しますね。お休みなさいませ、クラウディア様」


「おやすみなさい」


リーシャはサイドテーブルに置かれたランプだけ灯りを残すと、全ての部屋の灯りを消してくれた。


「それでは失礼致します」


「ええ、貴女も早く休んでね」


「はい、ありがとうございます」


リーシャは頭を下げると、部屋を出て行き……扉にカチリと鍵がかかる音が部屋に響いた。


その音を聞いた時、ふと疑問に思った。


「あら……?そう言えばリーシャはこの部屋の鍵を持っていたのかしら?」


でも、きっとリーシャは私の専属メイドだからアルベルトが渡したのだろう。


「そうだったわ。ネックレスは外しておいた方がいいわね」


アルベルトからは肌身離さずネックレスを身に着けているように言われていたけれども、やはりリーシャの言う通り外しておいた方が良さそうだ。


ネックレスを外し、ベッドに横になると今後のことを考えている内に強い眠気が襲ってきた。

ひょっとしてリーシャが安眠効果のあるハーブティーを淹れてくれたのだろうか……?


そんなことを考えている内に、私はいつに間にか深い眠りに落ちていた。


自分が油断していたことに気付くことも無く――。


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