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第2章 22 新しい専属侍女とメイド

 穏やかな朝日が差し込む部屋でリーシャが運んでくれた料理はどれも美味しかった。

懐かしい味である反面、自分が日本で暮らしていた時の素朴な料理が恋しくなった。


卵料理もこのように手の混んだオムレツではなく、半熟の茹で卵や、スープにしてもコンソメ味などではなく、お出汁の効いたお味噌汁に、炊きたての白米……。

どれも、随分遠い記憶に感じる。


この世界では……大豆や米は作られていただろうか?


もし、この国で大豆や米が作られていなくても別の国では作られているかも知れない。それらを輸入して…土地が浄化された『シセル』で育てることが出来ればいいのに……。


アルベルトと交渉して、うまく話が進むかどうかは定かでは無かったが……私はまだ名目上『レノスト』国の領地である『アムル』『クリーク』『シセル』を発展させたかった。


「私がこの国の王妃でいられる間に、何とかしてあげたいわ……」


食後の紅茶を飲みながら、自分の考えが口をついてでてしまった。


「クラウディア様。今のはどういう意味でしょうか?」


食器を片付けていたリーシャの耳に私の呟きが聞こえてしまったようだった。


「い、いえ。私は王妃としての役目を果たせることが出来るかしらと思っただけよ」


「それならきっと大丈夫だと思います。今のクラウディア様は20歳とは思えぬほどの落ち着きと思慮深さを持ったお方ですから」


リーシャは笑顔で私を見た。


確かに、今の私は回帰前の年齢と日本で生きた年齢を合わせれば67歳になるのだからリーシャがそう感じるのも無理は無いだろう。

しかも子育てまで経験しているのだ。

落ち着きがあるのは当然だ。


「ありがとう、リーシャ。紅茶、ごちそうさま。とても美味しかったわ」


カチャリと静かにカップをソーサーに置いた。


「はい、ではこちらもお下げしますね」

「ええ、お願い」


その時――。


コンコン


部屋にノックの音が響き渡った。


「誰かしら?」


「ひょっとすると新しいメイドと侍女の方かもしれませんね?私が対応します」


私の疑問にリーシャが答えた。


「ええ、お願いね」

「はい」


そしてリーシャは扉に向かうと扉を開けた。

すると扉の前には髪を結い上げ、紺色のドレス姿の20代と思しき女性に、リーシャと同じメイド服に三編みの少女が立っていた。


「おはようございます。ひょっとするとクラウディア様の…」


リーシャが声を掛けると、ドレス姿の女性が頷いた。


「ええ。私達は国王陛下よりクラウディア様の専属侍女とメイドになるように命じられました。そこでクラウディア様にご挨拶申し上げに伺いました」


「どうぞ、入って頂戴」


そこで椅子に座ったまま声を掛けると、2人は部屋の中に入ってきた。


「はじめまして。クラウディア様。私はマヌエラ・レナー。そしてこちらのメイドはエバと言います。エバ、ご挨拶なさい」


「どうぞ宜しくお願い致します」


エバと呼ばれた少女は挨拶をしてきた。


「ええ、こちらこそ宜しく。マヌエラ、エバ。ここにいるメイドは私と一緒に『エデル』に来たリーシャよ。3人供仲良くして頂戴」



「はい、承知致しました」

「宜しくお願い致します」


「どうぞ宜しくお願い致します」


マヌエラ、エバ、リーシャは3人で挨拶を交わすと早速マヌエラが私に声を掛けてきた。


「クラウディア様、陛下がお呼びですのでご案内致します」


「え?陛下が…?」


「はい、今からご案内させて頂きます」


マヌエラは深々と頭を下げてきた。


「え、ええ……分かったわ」


そして私は新しく専属侍女となったマヌエラに連れられてアルベルトの元へと向かった――。







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