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第2章 21 新しい暮らしの始まり

 翌日――


コンコン


扉に取り付けられたドアノッカーの音が室内に響き渡り、目が覚めた。


コンコン


更に扉のノック音が響いた。


「誰か来たのね……」


目をこすりながらベッドから起き上がるとすぐに声を掛けた。



「どうぞー」


すると……。



「失礼致します」


カチャリと扉が開き、ワゴンを押してリーシャが部屋に現れた。


「おはようございます。クラウディア様」


笑顔でリーシャは挨拶してくる。


「ええ、おはよう。リーシャ、昨夜はよく眠れたかしら?」


「はい、お陰様でぐっすりです。与えられたお部屋にも満足しています」


ニコニコと笑みを浮かべて返事をする辺り、おそらくリーシャが満足する部屋だったのだろう。


「そうなのね?それは良かったわ」


「クラウディア様もゆっくりお休み出来ましたか?」


「ええ、休めたわ。久しぶりに良く眠れたわ」


旅の間の環境は確かに私にとっては良いものでは無かった。常に神経を張り巡らせ、落ち着くことが出来なかった。


そして城に着いてからも気を抜くことが出来ないだろうと覚悟していたのに……

あまりにも以前とは違う、好待遇で拍子抜けする程だった。

ここは私に取っては敵地と言っても過言ではないのに、何故かアルベルトは私に友好的だった。


それ故、安心して眠ってしまったのだろう。


「クラウディア様。目覚めのお茶をお持ちしましたので、まずはお着替えをされませんか?」


「ええ、そうね」


頷きながら昨夜のアルベルトの話を思い出した。

そう言えば、アルベルトが私の服を用意した話をしていたけれども……。


その時、背後でリーシャの歓喜の声が響き渡った。


「まぁ!これはすごいですわ!」


振り向くとクローゼットの扉が開け放たれ、ハンガーに掛けられたドレスがズラリと並べられていた。

どれも落ち着いたデザインのドレスばかりで私の好みのタイプばかりだった。


「素晴らしいですね……お話によると、陛下自らが仕立て屋を呼んで、クラウディア様のドレスを用意させたそうですよ?陛下はクラウディア様を大切に思われているのですね」


「まさか……そんなはずは……」


私の脳裏に断頭台に登った私を冷たい瞳で見つめているアルベルトの姿が脳裏に蘇る。


そう、彼は……私を処刑した人物なのだから。


「クラウディア様?どうされましたか?」


「い、いえ。何でも無いわ」


「そうですか?ではどのお召し物に着替えられますか?」


「そうね……」


私はクローゼットに近付くと、1着のドレスを指差した。


「これを着ることにするわ」


「はい」


リーシャは嬉しそうに返事をした。




****


リーシャの手を借りながら、紫色のデイ・ドレスに着替えた私は今目覚めの紅茶を飲んでいた。


「お味はいかがですか?クラウディア様」


「ええ、とても美味しいわ」


「それでは私は今からクラウディア様の朝食を取りに厨房に行って参りますね」


「ありがとう、リーシャ」



こうして、私の王宮生活が本格的に始まった――。



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