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第2章 11 疑問…そして大切な仲間

「これは……」


リボンタイ付きの白い落ち着いたシルクのブラウスにバッスル付きの青いオーバースカートにお揃いのボレロ。


私好みのドレスだった。


回帰前…嫁いで来た頃は派手なドレスばかりだったが、2年目を迎える頃にはこのようなデザインドレスを好んで着ていたのだ。

どうして私が好むドレスを知っているのだろう?それとも、これが元々一般的な装いだからなのだろうか?


「だけど、いきなり渡されてもサイズが問題だわ……」


ため息をつきながら、私はドレスに手を伸ばした――。




****


「信じられないわ……。何故サイズまでぴったりなのかしら?」


ひょっとするとアルベルトの元には私の服のサイズまで書かれた釣書が届けられているのだろうか?


回帰前に嫁いだ時には、私はアルベルトから一切の贈り物を貰ったことは無かった。

それなのに、今回は夕食に誘われただけではなく、ドレスまで用意されていたとは……。


「ひょっとすると回帰前もドレスは用意されていたのかも知れないわね」


思わずポツリと言葉が口から漏れた。

ただ前回は私が有り余るほどのドレスを用意して嫁いできたので、渡す必要は無いと判断したのかも知れない。


「そうよね。きっとそうに決まっているわ」


1人で結論付けると、私はバスルームを後にした――。



****



「まぁ、よくお似合いです。クラウディア様」


部屋に戻ると、いつの間にかリーシャはこの城のメイド服を着用していた。


「フフ、ありがとう。リーシャ。貴女もそのメイド服、よく似合っているわよ。とても可愛いわ」


「あ、ありがとうございます……」


私の言葉に頬を赤らめたリーシャは早速私に尋ねてきた。


「クラウディア様、まずは御髪を整えませんか?」


「ええ、そうね。お願いするわ」


「はい!」


リーシャは嬉しそうに返事をした――。



**


 12時――。


部屋で錬金術に使う道具を整理していると、扉をノックする音が聞こえてきた。


「はーい、どうぞ」


鍵付きのライティングデスクに錬金術の道具をしまい、返事をするとすぐに扉は開かれた。


「失礼致します、クラウディア様」


するとワゴンに料理を乗せたリーシャが部屋に入ってきた。



「あら、お帰りなさい。リーシャ」


「はい、只今戻りました」


笑みを浮かべて返事をするリーシャ。


実は今から30分程前、リーシャは他のメイドたちと一緒に厨房へ私の食事を取りに行っていたのだ。


「どうだった?迷わず戻ってこれたかしら?」


「はい、通路は1本道でしたので迷わず行けました。今お食事を並べますね」


リーシャは手際よく、料理を部屋に設置された丸テーブルの上に並べながら声を掛けてきた。


「あ、そう言えば厨房に行くときに使用人用の通路を通って来たのです。そして中庭を通り抜けた時に見知らぬ男性に声を掛けられました。リーシャ、目が覚めたのかって」


「え…?」


その言葉にどきりとした。


「何だか、兵士っていう感じにも見えなかったですし…。すみません、どちら様でしょうか?と声を掛けたら、悲しげな顔をされて…『姫さんに宜しく』と言って、何処かへ行かれてしまったのですよ。アレは一体何だったのでしょう?」


首を傾げるリーシャ。


けれど、私にはその人物が誰なのか分かってしまった。


「スヴェン……」


思わずポツリと呟くと、リーシャが尋ねてきた。


「え?誰ですか?」


そこで私は答えた。


「私の……いえ、私達の大切な仲間よ……」


と――。

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