554 第二、第三の事件の犯人への考察と国の重鎮が関わってきている可能性
あれから、馬車の中で、ゆっくりと休ませて貰ったあと、私達は、王城へと戻ってきていた。
セオドアも、ルーカスさんも、アルも、みんな、私を護ることが出来なかったと後悔してくれていた様子だったけど。
実際には、私自身、魔法を使って時間を巻き戻すことになってしまったものの、それでも、セオドアが直ぐに気付いて私のことを護ろうと、自分の方へと引き寄せてくれていなかったり、ルーカスさんが危険を察知して私の身体を押してくれていなかったら、魔法自体も、もっと大胆に使うことになってしまったかもしれないし。
その反動での、体調不良に関しても更に酷いことになってしまっていた可能性は否めなくて、セオドアに対しても、ルーカスさんに対しても本当に感謝しかなかったり。
『それに、みんなが、私に対して出来ることをしてくれた結果だからこそ、誰よりも、私自身が、もっと他にやりようがあったんじゃないかと、一番反省しなければいけないなと思ってしまうんだよね……』
そのあと……。
馬車の中で大分休ませてもらったこともあって、顔色が悪いのも、血の気が引いていたのも、みんなから見て、少しは落ち着いてきたみたいだけど。
それでも、まだまだ生気のない蒼白い顔をしているということで、馬車から降りたあと、王城のエントランスホールで『皆様、お帰りなさいませ』と、此方に向かって頭を下げて挨拶をしてくれたアルフさんや、他の侍女達には、セオドアとルーカスさんが……。
「ただいま、みんな。
ごめん、誰か一人でも構わないんだけど、これから直ぐに、王城の医務室に掛け合って、救急セットを持ってきてくれないかな……っ?
お姫様が、誰かの悪意に晒されて、この1日で、手に怪我を負ってしまったり、さっきも、上から物が落ちてきたりで、凄く大変な目に遭っちゃってて……。
一応、手に怪我を負っている件に関しては、お昼に応急処置なんかはしているんだけど、改めてしっかりとした処置を施したいと思っているんだ」
「あぁ……、そうだな。
特に、今日、帰り際に、学院の窓から姫さんの頭上に植木鉢が落ちてきたことで、姫さん自身、恐い思いをしていて、今も、それで、ほんの少し顔面蒼白になっちまってんだ。
……だから、今日、このあと、救急セットを持ってきてくれてからは、なるべく俺たちが過ごしている貴賓室の方へは、誰も世話をしに来たりしないよう配慮してほしい」
といった感じで声をかけてくれて、私達のお世話係として付いてくれている侍女達も、みんな、その言葉に一様に驚いた様な表情を浮かべて、中には『……そんな大変なことが起きていただなんてっ、本当に、大丈夫でしょうか? 救急セット以外に、何か、その他のことで必要な物はあったりしますか?』と、案じるように声をかけてくれた侍女もいたんだけど、私達は、丁寧に『今のところは大丈夫』だと、その言葉を辞退してから、ひとまず、足早に、王城の中の貴賓室へと戻ることになった。
その際、セオドアも、ルーカスさんも、私が、こんなことになってしまったということもあって、周りの人達の顔色については窺ってくれているような様子だったものの、彼女達の顔色に可笑しな点などはどこにもなく……。
唯一、ちょっとだけ、気になったのは、お世話係に付いてくれている侍女達が一斉に驚く中で、普段、あまり表情に変化のないアルフさんだけが、あまり驚いていないような雰囲気だったことだろうか。
といっても、アルフさんは、いつも淡々とした雰囲気があって、そこまで、日頃から表情に変化が見られない人だから、『私自身が誰かの悪意に晒されるということを事前に知っていた』上で、そういう態度に出ているのか、それとも、単純に、あまり表情に変化が見られないだけなのか、今ひとつ読めないんだけど。
ダヴェンポート卿の部下ということもあって、怪しいといえば怪しかったりもするものの、でも、アルフさんは基本的には学院には来られない人だし、恐らくだけど、今回の事件の裏には多分絡んでいないんだ、よね……?
『ただ、ダヴェンポート卿がもしも、一連の事件の裏で糸を引いているのだとしたら、アルフさんもこの事件のことについては、事前に知っていたりもしたんだろうか……?』
――だとしたら、是が非でも、私の能力について探ろうとしてきても可笑しくないはず。
因みに、今のところ、私の中で一番怪しいとは思えないのが、ヨハネスさんで、かなり怪しいなって感じているのが、根堀り葉掘り、私のことについて知りたいと思っているような様子が垣間見えていた、ダヴェンポート卿か、ノエル殿下のどちらかだったり……。
特に、ノエル殿下については、基本的に、全ての件で関わってきているから、余計、そう思うのかもしれない。
それから、ダヴェンポート卿には、直接『私が魔女かもしれない』という話は聞かれていないものの、それでも、もしもダヴェンポート卿が一連の事件の犯人だとしたら、どうしても目が届かなくなってしまうことを懸念して、学院内に自分の手足となって動いてくれるような存在は、置いているんじゃないかな……?
だとしたら、既に、誰かからそのことを報告されて『私が魔女である可能性』を疑っていたとしても何ら不思議じゃない。
それと、バエルさんの関与については、白とも黒とも言えなくて、まだまだグレーな雰囲気で不明といった感じなんだけど、みんなの見解はどうなんだろう?
ノエル殿下とも、ダヴェンポート卿とも関わりが深いこともあって、バエルさん自身にも、ちょっとだけ怪しいなと感じられるような要素はあったりするし、この件に、オルブライトさんが、関わっているかどうかっていうのも、凄く重要な要素にはなってくるよね……?
誰も彼もが怪しく見える中で、私の予想が的中するかのようにアルフさんは『私自身、皆様に、安心して過ごして貰うのが務めですし、ダヴェンポート卿からもキツく仰せつかっていますので、それでも何かご用がある時は、いつでも呼んでください』と、声を出し、私達のことをかなり気にしているような素振りを見せてきた。
その上で『……自分に出来ることは何なりとお申し付け頂ければ、そう致しますので』と、声をかけてきたことから、ただの親切だったなら、それに超したことはないだろうなと感じられるものの。
もしも、私が魔女かもしれないと疑念を抱いていて『その能力について探りたい』と思っているのなら、警戒心を強めなければいけないだろうなと感じたみたいで、私だけじゃなくて、セオドアも、ルーカスさんも、アルも、なるべく見えないところで、アルフさんに対して、ほんの少しだけ緊張感を持ってくれたのが、私にも手に取るように伝わってきた。
そうして、セオドアとルーカスさん、それからアルに心配するような瞳で見つめられつつ、王城の廊下を通って貴賓室まで辿り着き、扉を開けると、ローラや、エリスがいつものように、『アリス様、お帰りなさいませ……!』と出迎えてくれたことで、私は二人の姿を視界に入れて、ホッと胸を撫で下ろしていく。
そのあと、警戒の色を緩めることがないまま、この場にずっと立っているのは、自分の体調的にも凄くしんどいなと感じてしまったことから、応接室として用意されているソファーの上にポスンと座らせてもらった私は……。
『本来なら、ベッドで横になって、ゆっくりと休んでてほしい』
と言わんばかりのセオドアや、ルーカスさん、アルの視線を受けながらも、このあと、ノエル殿下が、ウィリアムお兄様との調査を終えて、私達に説明をしに王城へと戻ってきた時に、ベッドの上で休んでいるのはあまり良くないかもしれないと感じて、敢えて、今は、ほんの少しだけ、ソファーの背もたれに寄りかからせてもらうことにした。
そうして、ひとまず、頼んでいた救急セットを、侍女達ではなく、直々に、アルフさんが、わざわざ運んできてくれたことで、戸惑う気持ちと疑念がわき上がってきたものの、ルーカスさんがそれを受け取って『お姫様、包帯を取り替えよう』と声を出して、私の横に座ってテキパキと包帯を取り替えようとしてくれたことで、私は、隣に座ってくれたルーカスさんの方へとパッと視線を向けることにした。
『多分、この場にいる全員が、侍女の誰かではなく、アルフさんが来たことで、そのことについては、疑問に思ったと思う』
――もしかしたら、私達の様子を見に来て、それを、ダヴェンポート卿に報告するんじゃないかって。
だからこそ、私が、利き手に包帯を巻いていることと、私の顔色から、血の気が失せていることに気付いてくれたローラや、エリスに心配されつつも、この部屋から、『それでは、私は此方で失礼します。何かあれば、いつでもお声がけください』と、頭を下げて、パタンと扉を閉めたあと、ゆっくりとした歩調で廊下を歩きながら消え去っていったアルフさんの足音に。
扉の前に立って、神経を尖らせ、気配を探ってくれていたセオドアが『気配が消えたから、恐らくだけど、もう大丈夫なはずだ』と頷いてくれたのを見届けてから、私は、ローラやエリスに向かって、どこまでも慎重に口を開いていくことにした。
「あのね、二人とも、落ち着いて聞いてほしいんだけど。
実は、今日、誰かから、私自身が狙われてしまったみたいで……っ、この手の傷は、お昼に、故意なのかどうか分からないんだけど、誰かが置きっぱなしにしていたナイフを握っちゃって。
それから、今、青白い顔をしているのは、学院からの帰り際に、窓から私めがけて植木鉢が降ってきたからなの。
多分、そっちは、完全に故意に、悪意を持ってされたことだと思うし、それで、私自身、咄嗟に、自分を制御出来なくって、能力が発動してしまって……」
そのあと正直に、お昼に、誰かが置きっぱなしにしていたナイフを誤って持ってしまったことで、右手に怪我を負ってしまったことや、学院から帰ろうとした際に、上から植木鉢を落とされてしまったことで、突発的に制御出来ずに能力が出てしまったことなど、二人には、隠すこともなく赤裸々に、事情を掻い摘まんで説明したあと『それで、今、ウィリアムお兄様が未だに学院に残って、ノエル殿下と一緒に調査を進めてくれているの……っ』と伝えると。
「……そんなっっ!
ということは、アリス様が何かしらの能力を持った魔女だっていうことを知ろうとするためだけに、そんな無茶苦茶なことを……っ!?」
と、ローラが、私にかけてくれる声のボリュームを大分落として、決して外に声が漏れないようにと配慮してくれながら、驚きと共に、眉を思いっきり寄せたのが目に入ってきた。
「ああ、恐らくな。
この件に関して、質が悪いのは、姫さんを狙ってきたことについて、そこに、たとえ命の危険があったってお構いなしだったってところだろうな。
マジで、本当に、あり得ねぇと思う……っ」
「うむ、魔女の能力も本当に千差万別だからな。
アリスに、もしも、そういった危険を回避出来る能力が備わっていなかった場合、僕達が、何が何でも助けるだろうと思われたのかもしれぬが……っ。
それでも、なりふり構わずに、大分、危険なことを仕出かしてきているのは間違いないだろう」
そうして、みんなにも座って貰えるよう促したあと、セオドアやルーカスさん、それからアルだけじゃなくて、ローラも、エリスと一緒に、改めてソファーに腰掛けてくれたところで、みんなが、私のことを思って今回のことに強い憤りを滲ませてくれているのを感じながら、私自身は、第二のナイフの事件の時のことについて、『本当に、今回の事件について、オルブライトさんが関わっているのかどうか、みんなは、どう思ったんだろう?』と凄く気になってしまって……。
「みんなは、この件に、オルブライトさんが、関与していると思う……?」
と、問いかけるように聞いてみることにした。
「……あぁ、そうだな。
俺自身もあの男が関わってきている可能性については、あり得ねぇ話じゃないと思うが、それでも、第二の事件で、ナイフを置きっぱなしにしていたのが、あの男かどうかって言われたら、本当にそうなのかと、疑問に思うような部分も出てきてしまってる。
最初から事故だっていう固定概念があったから、全員、誰かがナイフを置き忘れたんだっていうところで納得もしていたが。
あれが、事件だったとして、もしも、無差別じゃなくて、的確に、姫さんだけを狙おうとするのなら、途中で抜けたあの男よりも、他の人間の方が、姫さんが、ベッドのどこを持つのかというところまで考えた際には、ナイフを仕掛けやすいだろう……?」
そうして、一早く、私の言葉に反応して声を出してくれたセオドアに続くようにして……。
「ふむ、そうだな……。
だが、どちらにせよ、オルブライトがもしも関わってきていることならば、物理的に、全てが、オルブライトの犯行とは言いきれぬとは思うが、……その動機には一体、どういう理由が考えられると思う……?
ソマリアの人間がアリスが魔女だと知れば、外交のための切り札や、シュタインベルクの秘密を握りたいという意味でも分からなくないようには感じるものの、オルブライトが、アリスが魔女だと知ることでの利点はどこにあるんだ?」
と、アルが、オルブライトさんがもしも関わっているのなら、その動機といったところで、どんな理由があるのかと疑問に思って首を傾げてくれると。
「あー、それなんだけど、俺自身は分からなくもないっていうか。
貴族ってのは、持っている情報の多さで、自分の家柄の有利性を求めたりするものだから、たとえ自国の貴族で、一見、お姫様寄りの態度に出てたとしても、それはあり得ない話じゃないと思う。
俺は、そういう遣り方は嫌いだけど、そういった情報を持っているだけでも、有事の際には、それが自分や家を護るための安心材料になったりもするものだから。
俺等自身、ずっとカジノでの一件があったから、オルブライト伯爵については、お姫様に好意的っていう印象を持っていて、そこまで考えてはいなかったけど、伯爵が、国内でどういう立場にいる人間なのか知れたら、もしかしたら、お姫様にあまり良くないことを思っている派閥に属してるって可能性もある。
国内なら、たとえば、魔女狩り信仰派の貴族とかが、そうだろう……っ?
それが、レイアードが懸念している、今回の留学が俺たちにとって利にならないっていう話で、俺たちにとって良くないことをしようとしているというソマリア側の誰かの意見と、利害が一致していたのなら、共同で、仕掛けてきているのもあり得ない話ではないのかもしれない。
少なくとも、俺たちが、犯人像について、オルブライト伯爵に疑念の視線を向けることで、本当に知られたくないことに関しては、目眩ましみたいなものをしているっていうか、双方が協力した上での陽動作戦ていう可能性も考えられるし。
俺自身も、もしも可能なら、その辺りのことについて、親父に手紙を出して、オルブライト伯爵のことについては詳しく聞いてみることにするよ」
と、ルーカスさんが、今、現在、考えられる可能性について、色々と考察をしてくれた上で、直ぐに、エヴァンズ公爵に『国内でのオルブライト伯爵』が、どういう立ち位置にいる人なのか、手紙を送って聞いてみてくれると、私達に向かって声をかけてくれた。
そうして、そのあと、セオドアも、ルーカスさんの言葉を聞いて……。
「陽動作戦っていうんなら、敢えて、自分をその候補に入れておくことで、逆に、怪しくないように見せかけるって手法も無きにしも非ずな気はするな。
実際に、第三の事件で、俺たちの中にも、本当に、第二の事件を引き起こしたのが、あの男だったのかっていう疑念もわき上がってきている訳だし。
それと、第二の事件に、あの男が絡んできているのだとして、姫さんが怪我をした時に、その場にいなかったことを思うと、姫さんが本当に魔女だって確認したかったなら、それを目撃して、あの男に報告するための人材は、絶対に不可欠だろう?
だから、あの男がかかわってきているのなら、単独の犯行っていうのは、そういう意味でもあり得ないと思う。
まぁ、勿論、複数犯だとしても、ソマリア側の人間と、あの男の意思の疎通が上手くいっていないっていうか、互いの利益のために、一枚岩じゃないって可能性もあるとは思うが」
と、言ってくれたから、私自身も、その可能性も確かにあるなと感じてしまった。
そうして、そこまで、みんなと話したあと、私自身、不意に思い出し、あっと思うことがあって……。
「あの、ルーカスさん……。
もしも、エヴァンズ公爵に、オルブライトさんのことを聞いてもらえるなら、今現在、オルブライトさんが、特に懇意にしている宮廷伯のことについても良ければ、聞いてもらえないでしょうか……?」
と、慎重にお願いするように言葉を紡いでいく。
私自身、そこまで色々と考えていられなかったけど、もしも、オルブライトさんが、万が一、国内でも、私にとってよくないことを考えている派閥にいるのだとしたら、オルブライトさん自身が宮廷伯と親しいと言っていたことから、宮廷伯の誰かと繋がって何かを仕出かしたいという思いがあるというのはあり得ない話ではないと思う。
それなら、巻き戻し前の軸の時、私に冤罪を着せてきた人とのつながりも見えてくるかもしれない。
私が突然、宮廷伯のことについて話し始めたから、そのことについて、みんなどうしてなのかと戸惑った様子だったけど……。
それでも……。
「あの……、オルブライトさん自身が宮廷伯の人とは懇意にしているって言ってたので、伯爵という立場にいるオルブライトさんが自分の意思で決めて色々と動いているのだといわれるよりも、国の重鎮である立場の強い人の庇護や後ろ盾がある状態で動いているっていう方が、どちらかというのなら、しっくりくるかなと思って……」
と、伯爵という爵位で何かしら大それたようなことを起こすには、誰かの後ろ盾や庇護などがあった方が自然なんじゃないかと、私自身が突発的な思いつきという訳ではなくて、ある程度、巻き戻し前の軸の時のことも含めて考えた時に『そういった可能性の方が高いのでは……?』と感じて、ギゼルお兄様や、巻き戻し前の軸のことも伏せた上で声を出せば、セオドアも、ルーカスさんも、その言葉を聞いて、頭ごなしに否定をする訳じゃなく。
「あぁ……、いや、確かに、ソイツは、あり得ねぇ話じゃないだろうな。
伯爵っていう立場では出来ねぇことも、宮廷伯ほどの国の重鎮なら、色々と出来ることもあるだろうし……」
「うん、そうだな、……俺もそう思うよ。
その可能性も、視野に入れた上で、色々と、親父にも手紙を出して聞いてみた方が良いだろうな。
それから、殿下が帰ってきたら、最近のシュタインベルク国内の情勢で、どこの貴族が力をつけているのかとかも、聞いてみることにしよう」
と、私に向かって声をかけてくれた。
そのタイミングで、セオドアが二人分の足音がこの部屋にやって来ていることを教えてくれたあと、みんなで喋るのを取りやめてから、少しだけ間があって……。
「ただいま、みんなっっ。
……アリス姫、今日は突然のことで、本当にビックリしただろう? 大丈夫だったか……っ?」
「アリス、無理はしていないか……っ?
一応、ノエルと調査をしてきたから、報告しに戻ってきたんだが、お前達も聞くようにしてくれると嬉しい」
と、ノエル殿下とお兄様が戻ってきてくれたことで、私は、『お帰りなさい』と声をかけて、今の今まで学院で調査をしてくれていたであろう、二人の方へと、そっと視線を向けることにした。