551 テーブルの上の装飾選びのアイディア
そのあと、私達は、木材に、羽ペンとインクを使って、大体これくらいの大きさに切るという目安の下書きをしてから、それぞれに、丸い天板や、脚の部分といった、テーブルと椅子を作るための必要な材料になるよう、木材を切り分けていくことにした。
因みに、セオドアとノエル殿下がノコギリを使って木材を切ってくれていることに関して、二人だけだと、幾らセオドアとノエル殿下がそういう作業に長けているといえども、少なくない時間がかかってしまうだろうということで、そこに、アルとステファンが加わってくれたことにより、ひとまず、私とパトリシアと『力仕事が苦手』だというレイアード殿下で、木材を適切なサイズに切るために、サラサラと木材にペンを使って下書きをしていくことになったんだけど。
レイアード殿下自身、ステファンやパトリシア、それからノエル殿下といった面々に、私達と確執があったことについては一切知られたくないという様子で、そのことについて、あまり深く悟られないようにするためか、上手な感じに、元々の人見知りオーラを前面に押し出しながら。
「レイアード殿下、この木材の脚の部分をお願いしても良いでしょうか……っ?」
といった感じで、私がお願いしたことに関しては『わかった。……そうする』と、何とか小さい声ながら、ちょっとは答えてくれる感じだったりするものの。
自分から関わらないでほしいと言ってきたということもあって、積極的に、それ以上のことはするつもりもないのだという固い意思のもと、淡々とした様子で、ペンを持ったまま木材に向きあって、喋り掛けてこないでと言わんばかりに寡黙な雰囲気を醸し出していたし……。
『セオドアやアル、それから、ノエル殿下やステファンといったみんなも、私達の傍から凄く離れているという訳ではなくて、みんな、この近くで作業をしてくれているといっても、作業内容は別な訳で……。
一緒の作業をするのに、パトリシアと、レイアード殿下の3人でいると、私とパトリシアだけが話しているような感じになって、凄く気まずいかも……』
と、内心で、そう思いながら、レイアード殿下との距離感に関して、私は、中々、思うように進展しないもどかしさを感じてしまった。
それでも、さっき、私が怪我をしてしまったことについて、レイアード殿下が……。
『ほら、自分が言った通り、あまり良くないことが起きているだろう……?』
と言わんばかりの瞳で見つめてきたことを思えば、レイアード殿下が何を懸念しているのかは、ちょっとずつ見えてきているような気がするというか。
『今回の一件で、ベッドの上に、ナイフを置きっぱなしにしていたのは、オルブライトさんだったのだと思うから、その裏に、何らかの目的があったのかどうかは、全く読めないけれど……』
でも、レイアード殿下の視線に関しては、そういうことが伝えたいのだと分かるくらい、ソマリアにいる誰かが、多少なりとも、私達のことが気に入らないと思っているとか、害したいというような方向性で、動いている可能性を示唆しているんじゃないかな……。
――ただ、誰かから恨みを買ったりしているような覚えもないし、それが、ソマリアで隠されているような色々な秘密に、どう繋がってくるのか……、繋がってくることはあるのか、などといった部分では、まだまだ謎が多すぎて、現状では、全く読めないんだけど。
そうして……。
私自身、さっきの怪我で、まだまだ、手のひらが痛んでしまうような感じで利き手が凄くぎこちなくなってしまっているものの。
それでも、私だけ休んで、みんなに迷惑をかける訳にはいかないから、セオドアやアルだけじゃなく、パトリシアや、ステファン、ノエル殿下といった面々に心配してもらいながらも、自分が今、出来ることを精一杯、頑張っていくことにすれば……。
「あの……っ、アリス様、皆さん……、私自身は、このまま、テーブルの上が殺風景になってしまうのは、ちょっと寂しいかなって感じるんですけど、どう思いますか……?」
と、パトリシアから、このままだと、テーブルの上が殺風景になってしまうから『彩りをよく見せるために、何かを置いた方がいいんじゃないか』という提案があったことで……。
確かに、今回、私達が演じる台本の中でも、テーブルと椅子に関しては、墓守りの青年とお姫様が一緒に、そこで会話をしたりするような描写も出てくることから、椅子に座った二人の遣り取りや場面がクローズアップされることで、観客席にいる人達の注目も向くことになるし、パトリシアの言う通り、『机の上に何か置いてあった方が絶対に映えるだろう』ということは間違いなく。
パトリシアの言葉に、そう感じたのは私だけじゃなかったみたいで、その言葉に、目に見えて、みんなが、みんな、揃って考え込むような仕草で黙ってしまった。
『一応……、お姫様が墓守りの青年に手料理を振る舞ったりするような描写があったりするんだけど、本物の食べ物を劇で出す訳にはいかないし、それだけは別途で小道具として作ったりするにしても、それ以外の時のテーブルの上は、確かに何もないと殺風景だったりしちゃうよね……っ』
「……うむっ、確かにそうだな。
だが、テーブルの上に何か置くにしても、その内容は限られてくると思うが、どうするべきか……っ」
「あっ、そうだよね……っ、場面転換で、舞台のセットを動かすことも考えたら、小道具がバラバラと落ちてしまわないよう、なるべくテーブルの上に、接着出来るような平たいものを置きたいなって思うし、そう考えると置ける物が限られてきて、ちょっと大変かもだよね……」
その上で、ああでもない、こうでもないといった感じでみんなと相談しながら、色々と考えるのは本当に凄く楽しいことだったけど、やっぱり、どうしても、置けるものに制限があるのだと考えれば、小道具をどうするかの選択肢はそんなに広くなくて、アルの言葉に、私自身も思わず、深く思案してしまった。
実際に、今回の私達の演劇では、王都での劇場でもよく使われている手法として、舞台の上で、カーテンの幕が下り、再びカーテンが上がるまでの間の時間を使って、場面場面のシーンとしての切り替えを行い、舞台セットの全てを取り替えていくような手法を取ることに決まってる訳だけど……。
それでも、舞台上の見栄えを良くしないといけないとはいえ、家具や大道具などのセットをあまりにも沢山増やしてしまうと、それだけで、場面の切り替えに時間もかかってしまうし、時間をかければかけるほど、お客さんに飽きが来て助長に感じてしまうということで、あまり小物や大道具などといった物に関しては、舞台上には、沢山、置けないだろうなということは明白だったし。
その上で、職人さんにも話を聞いて、墓守りの青年の家のメインの家具は、ベッドとテーブルと二人分の椅子、それから棚を置き、細々とした小道具に関しては、なるべく家具や壁に接着して、くっつけるような感じで置いておくようにすれば、場面転換の際に、それだけを持ち運んだりしなくて良くて、セットとして作った壁やテーブルなどの大道具を引きずるような形で一緒に退場させることが出来ることから『移動がスムーズになる』とのことで。
『お姫様が墓守りの青年に作る手料理』以外の部分では、なるべく、そういうふうに壁や大きな家具などに接着出来るような小道具を増やしていけるように、色々と頭を働かせて、考えていく必要があったりするんだよね。
たとえば、時計という小道具一つ取っても、置き時計にするんじゃなくて、壁として作る板に接着することの出来る壁掛け用の時計にしたりだとか、そういった工夫は、本当に必要になってくると思う。
だからこそ、ひとまずは、みんなで、テーブルと椅子を組み立てる作業をしながらも、ほんの少し、そのことで、どうしたら良いのかと頭を悩ませていたんだけど。
そこで、私自身、『あっ』と、頭の中でひらめいたことがあって。
「もしも、みんなさえ良ければ、バスケットの籠なんかを置いて、その中にりんごを入れておくとかは、どうかな?
それから……、バスケットの籠にしないんだったら、少し大きめの花瓶に、お花を生けたりするのも有りかなぁとは思ったりするんだけど……」
と、提案すれば、頭の中で色々と、他のアイディアなどを考えてくれていたであろう、みんなの顔が、私の言葉を聞いて、パッとあがったのが見てとれた。
『バスケットの籠や、花瓶にするのなら、籠や花瓶の底の部分を、机と接着することも出来ると思うし。
場面転換の時に、大道具と一緒に動かすことも比較的、容易になってくるはず……っ』
――そうして、そこにりんごやお花などを入れておくと、多少、お部屋の雰囲気に彩りを出すのにも一役買ってくれるはずだよねっ?
その上で……、今、出した、私の提案に関しては、ノエル殿下を筆頭に、みんな『そのアイディアは、良さそうかもしれないなっ!』という瞳で、割と好意的な視線で乗ってきてくれたんだけど。
ただ、私自身は、内心で、どちらに関しても、どうしても『懸念点があるなぁ』と感じながら……。
「あの……、ただ、これに関しては、どちらも、ちょっとだけ制約が付くというか。
お部屋の彩りを良くしたいといった面でいうのなら、絶対に、りんごよりも、お花の方が観客席の後ろの方までしっかりと綺麗に見えると思うんです……っ。
ただ、どちらも生もので、お花よりも、りんごの方が日持ちが長いので……。
もしも、劇に彩りを加えるのを、花瓶に生けたお花にするのなら、劇が始まる前日などといった、本当に直近の日に、花瓶に、わざわざ生花を生けなければいけなくなって少し手間にはなってしまうかなと……」
と、どちらにしても、一長一短で、良い所もあれば、悪い所もあると話していけば……。
『確かに、それはそうだな……』といった様子で、みんなが再び、考え込んでしまった。
「なるほど、バスケットをテーブルにくっつけて、その中に、りんごなどを入れておくようにするんですね。
僕は、そっちの方が、良いかなって思います。
りんごよりも、花の方が、どちらかというのなら、生ものって感じがしますし。
ここで、花にしてしまうと、万が一にも、萎れたりした場合が不安かなって……」
「いや、本当に、確かに、凄く難しい問題ですよねっっ!
でもさぁ、ステファン、よく考えて……っ!
お花の方が、お部屋の雰囲気に関しては絶対に映えると思うし、りんごだと一辺倒な感じになってしまいそうじゃないっ!?
だからこそ、私自身は、確かに、お花の方が取り扱いに注意しなければいけないなって思っても、そっちの方が良いような気がどうしてもしてしまうんですよね……っ!」
「あー、因みに、俺も、花派だなっ!
舞台でなら、絶対にそっちの方が目立つだろう?
こういうのは、基本、何でも目立ったもん勝ちだからなっっ!
レイアードは、どう思う?」
「あ……、兄上……っ、いえ、お、俺は、別に、何でも……っ」
そうして、レイアード殿下以外の、ソマリアの面々の多数決では『お花派』が多くなり、アルも『うむ、僕はどちらでも良いぞ、ただ、花の方が目立つというのは確かだろうな』と言ってくれたり。
セオドアも……。
「あぁ、そうだな。
……舞台の中でのお姫様が、墓守りの青年に手料理を振る舞うシーンがあることを思えば、同じように食べ物だけになるっていうよりは、そっちの方が俺も良いと思う。
それに、椅子に座ってテーブル越しで会話をするシーンは、何度かあるが、お姫様と、墓守りの青年が、お互いに歩み寄りながら過ごす大事なシーンも多いしな……っ。
俺自身は、そういったシーンも含めて、大事にしたいから、花だと、そういうシーンにも温もりが出るんじゃないか?」
と、最終的には、どちらに決まっても良いというスタンスを持ちながらも、お花寄りの意見に傾いていたこともあり、私達は、みんなの意見を纏めたあと、テーブルの上に置く小道具については、バスケット籠ではなく、花瓶とお花にしていくことにした。
「みんな、意見を出してくれて、本当にありがとう。
でも、セオドアの言う通り、お姫様と、墓守りの青年の大事なシーンも幾つかあるから、私も今から演じるのが凄く楽しみだな……っ。
こういう小道具、一つとっても、みんなで意見を出し合って決められるのが本当に嬉しいよね……っ」
そうして……。
そのあと、私達の班で責任を持って、どんなお花を生けるのかについては、しっかりと決めていかなければいけないなと感じつつ。
前日にきちんと準備をすれば、多分、大丈夫だろうなとは思うんだけど、『生ものだからこそ、細心の注意を払っていく必要があるよね』と、今から、どんなお花にしようか、凄く楽しみで、ワクワクした気持ちで声をかければ、セオドアが、『あぁ、俺も、姫さんと、墓守りの青年と、お姫様の役を演じられるのは、滅茶苦茶楽しみに思う』と柔らかく返事を返してくれた。
「あの……っ、でも、みんなも、良かったら、遠慮しないでくれたら良いからね。
全部、私の意見を採用しなくてもいいし、私の意見だけじゃなくて、みんなのアイディアも聞いてみたいから……っ」
そのあと、『私が意見を言うと、大体、それが通ってしまう』ことから、もしかしたら、みんな、言いたいことがあるのに、私に遠慮してくれているんじゃないだろうかと感じて、いつだって遠慮無く、誰しもが、アイディアをしっかりと出していけるように出来れば、それが一番嬉しいと思っているのだという意味合いで、みんなの顔色を見ながら声をかけていけば……。
「いや、本当に、アリス姫がそうやって積極的にアイディアを出してくれるだけでも滅茶苦茶助かってるよ。
俺たちだけじゃ、どうしても、そういったアイディアは中々出てこなかったりもするからな。
だけど、アリス姫は、手の怪我に関して、本当に大丈夫なのか……っ?
アリス姫自身、劇の主役っていうのが、決まっているんだから、あまり、無理だけはしないようにな。
……あぁ、それと、一応、今度の台本読みに関しては、俺も魔法研究家の講師として、実際に本番の舞台に出ることはないけど、大部分で関わっていきたいって思っているから、宜しくな?」
と、ノエル殿下から、色々と心配をしてもらった上でそう言われたことで、私は自分の手の怪我については、今もズキズキはするものの『それでも、大きな怪我ではないから、大丈夫』ということを告げてから、ノエル殿下から降ってきた思いがけない言葉に思わず目を瞬かせてしまった。
『ノエル殿下も、台本読みに、参加してくれるって、どういうことだろう……っ?
もしかしたら、誰かの本読みについて、台詞の指導をしてくれたりだとか、そういうことになるってことなのかな……っ?
それとも、みんなが、台本を読んでいる間、全体の流れを見てくれる感じになるんだろうか?』
――どちらにせよ、舞台のセット作りならまだしも、台本読みの方では、ノエル殿下と、あまり関わらない感じになっちゃうんだろうなって思ってたから、そういう意味では、更に交流が深められて、凄く有り難いかもしれない……っ。
「それから、俺がいない間に、いつの間にか、そういう話になってたみたいだけど、スヴァナ先生が、歌を歌う時の振り付けなんかに関して、うちのクラスまでやってきて、わざわざ、アリス姫に教えに来てくれることになったんだろう……?
一応、淑女科の方で、レッスンがない日は、ボイストレニーグや、普段、ダンスレッスンの際に使っている部屋なんかを貸し切ってくれる話にもなってるし。
それもあって、台本の本読みに関しては、みんなで、そっちで行うか、アリス姫だけ、スヴァナ先生とマンツーマンのような感じになるのか、その時々で、状況に寄りけりにはなるだろうが、その辺りのことについても、これから、しっかりと、スヴァナ先生がやって来て対応してくれるみたいだから期待しててくれっ」
そうして、そのあと、ノエル殿下からそう言ってもらえたことで、私は、そのことに『そうなんだな……』と感じながらも、そういえば、イベントの当日に、私達のクラスで作る『料理』を教えに来てくれるのも、スヴァナ先生になるっていうお話だったし……。
今回の、歌を歌う時の練習に関しても、スヴァナ先生が付き合ってくれるようになったことで、比較的、あっさりと、スヴァナ先生は、ノエル殿下の許可も取らずに『うちのクラスに来る』と、自分の判断で色々なことを決めてしまっていたけれど。
基本的には、魔法研究科の講師であるノエル殿下を通さなければいけなくて、その許可は絶対にいるはずだから、スヴァナ先生自身……っ、ノエル殿下とは、そういうのを取らなくてもいいほどに、凄く親しい間柄なのかなと、私は、ほんの僅かばかり、そこに対して疑問を感じてしまって……。
だからこそ……。
「ノエル殿下は、スヴァナ先生と凄く親しい間柄なんですか……?」
と、キョトンと首を傾げて、ノエル殿下の方を見やって問いかけてみたんだけど、私の言葉を聞いて、ノエル殿下は、ほんの少し虚を衝かれたかのように目を見開いたあと……。
「あぁ……、まぁ、親しいっていやぁ、親しいっていうか。
ほら、俺は、国王であるギュスターヴ王に、魔法研究科のことを任されるようになった経緯もあったりするし、そういう意味で、他の講師達のことも、国のために、どんな風な授業をしているのか見守る役目も仰せつかっていたりもしていてなっ?
その関係で、ここ数年の間に、割と、新しく入ってきたスヴァナ先生や、ライナス先生とも、それなりに親しくもさせて貰っているって感じだな。
まぁ、スヴァナ先生自身、サバサバしたタイプの人だから、俺自身、話しやすいのには代わりがないんだが……」
と、ちょっとだけ、苦い笑みを溢しながらも、私に対してそう言ってくる。
その言葉に、ギュスターヴ王のことを話す時のノエル殿下は、いつもこんな感じの雰囲気になるなぁと思いながらも、ここで、ギュスターヴ王の名前が出たことに驚きつつ。
ノエル殿下は、誰か一人だけという訳ではなく、割と、この学院の講師と呼ばれる人達の全員と交流があって、親しくしているんだなというのは、その言葉からも読み取ることが出来た。
それに、ノエル殿下のこの言い方だったら、ノエル殿下は、魔法研究科の講師だけじゃなくて、そういった面でも、学院の講師達を見るという大役を、ギュスターヴ王から直々に仰せつかっているような雰囲気だし……。
『それって、国の重要な仕事を任されているって言っていることと、同じ、だよね……?』
だとしたら、学院に出入りするような人は、業者の人も含めて沢山いると思うんだけど、そういった人達とも、比較的、関わりが深いのかな……?
そうして、私がそう思ったところで……。
「ですが、ノエル殿下……っ!
私、他の学科の生徒達から聞いたんですけど、今回のイベントに関しては、料理と劇の内容について、クラス対抗で、どこの学科が、一番、出し物が優秀だったかって、競い合ったりするんですよね……っっ!
それで、スヴァナ先生のことについて、私自身も、ちょっと気になっちゃったんですけど、他の学科の先生が、こっちに教えに来てくれるって有りなんですか……っ?」
と、この間、スヴァナ先生から話を聞いた時は、歓迎ムードだったはずのパトリシアが、今日は一転して、ちょっとだけ、曇ったような表情で、ノエル殿下に問いかけるように、そう言ってきたのが聞こえてきたことで、私は内心で『クラス対抗になるなんて聞いていなかったけど、それなら、更に、劇の主役については責任重大になってしまうかも……っ』と戸惑ってしまいながらも、パトリシアの言葉に、何も知らなかった分だけ、ただただ、目を見開いて驚いてしまった。










