475 村人達との話し合い
私達が、おば様と一緒に、ブランシュ村まで向かうと……。
ブランシュ村の人達は、ベラさんの家に向かったおば様の動向を気にしてか、殆どの人が家の中におらず、外に出て、幾つかのグループに分かれて固まって話し合い、ベラさんのお家がある方角を気にして、おばさまが帰ってくるのを、今か今かと待っていた様子だった。
そこに、おば様と一緒に、まさかの、ヒューゴと私達まで付いてきたのが見えて、ビックリしたんだと思う。
おば様が帰ってくるだけならまだしも、ヒューゴが来ることは彼等にとってもあまりにも突然のことで、謝るための心の準備も出来ていなかっただろうし、その上で、皇族である私とお兄様が一緒に付いて来るだなんてことは、想定もしていなかったに違いなくて……。
いっそ可哀想なくらいに目に見えて動揺し、さっきのおば様と一緒で、私達がこの場にいることで、ベラさんに何か悪いことが起きたんじゃないかと一気に不安になってきてしまったのだろう。
一体、何が起きたのかと不安がり、騒然とする目の前の村人達に……、私が事情を話すよりも先に、村人達の輪の中から抜け出てきたリーダー格っぽい老年の男性が、慌てたように私達の方へと駆け寄ってくるのが見えた。
「……っ、クレアっ、ベラは、一体、どうだった……?
せめて、ご飯だけでも渡すことは出来たのか……っ!? ベラの食欲は……っ?
いや……っ、それよりもっ、そちらにいらっしゃるのは、まさか、皇太子様と皇女様ではありませんか……っ?
ヒューゴまで、此処にやって来ているし、一体、全体、どうなっているんだ?
……ベラの体調は、大丈夫なのか……っ!?」
そうして、矢継ぎ早に、幾つかの質問を此方に向かって投げかけてくるほどには、恐らくベラさんの余命のことを考えて、明らかに余裕がなくなってしまっているその男性を、どうにか落ち着かせようとして……。
「……まぁ……っ、心配なのは分かりますけど、そんなにも一気に喋られたら、皇女様だって、皇太子様だって、ビックリしてしまいますよ、お爺さん。
ちょっと、落ち着いてくださいな……っ!
これから順序立って説明しますし……、あまりにも、せっかちなことを言っていると、それだけで皇女様達も、ヒューゴも、ベラに引き合わせたいと思う気持ちがなくなっていってしまうでしょう……っ?
皇女様……っ、御覧の通り、今は、もの凄く後悔しているのですが、昔は、このお爺さんを筆頭にして、ベラのことを、村から追い出してしまったんです……っ。
もちろん、殆ど何の手助けも出来なかった、私や一部の村人達にも責任はあるのですがっ……」
と……、おば様が、フォローするように私達の間に入って、この老年の男性のことについて教えてくれた。
――だけど、私自身、このお爺さんの今の一言と、その姿だけでも、そんなふうには全然、見えなかったけどな。
この人がベラさんを、昔、村から追い出した人なのだと言われても、今の姿からは、あまりにもピンとこないほどに、本気でベラさんのことを心配しているように見えるし……。
おば様の言う通りなら、その時のことを、きっと、もの凄く後悔しているんだと思う。
それは、このお爺さんだけではなく……。
他の村人達も同様に、目に見えて後悔を滲ませたような瞳で、自分達のしてきたことを思い出してしまったのか、沈黙と同時に俯いてしまった。
私自身は、ベラさんが追い出された時のことに思いを馳せて、胸が痛んできてしまったものの……。
その姿を見れば、一目瞭然と言えるほどに、村人達が、どれだけ自分達のしてきたことに罪の意識を感じているのかは、しっかりと理解出来るし……。
赤を持つ私自身が水質汚染の事件を解決して、それが国中に蔓延して死者の数を増やさなかったことで、広く世間一般の人から感謝をされるようになっていたり。
ファッションショーで『赤』を身に纏うことが格好いいと思わせることが出来ていたり、最近では、王都でも、徐々に赤を持つ者への偏見の目が薄れてきているとは感じるんだけど……。
それでも、まだまだ世の中の偏見の目が、完全にはなくなっていないことを思えば、彼等が魔女であるベラさんに対して罪悪感を抱き、自分達のしてきたことを謝罪したいと思えるようになっていること自体が、ちょっとずつでも世の中の悪しき因習を変えることが出来ている証拠なのかもしれない。
一般の人達が、魔女や赤を持つ者に謝罪するということについて、大きな世界の枠組みで見れば、小さな出来事とも思えるようなことかもしれないけれど……。
こういった所から一歩ずつ、着実に変えていくことが出来れば、それがいつかは、この世界全体に広がって、人の優しさが満ち足りていくような環境を作り出していけると思う。
だからこそ、彼等からのベラさんに向けての謝罪は、その小さな一歩を踏み出すのに、あまりにも大きく意味があることだと感じるし……。
実際に、彼等がベラさんの死期を悟って、そういった感情を持つようになったというのは、心情的には凄く複雑だなぁとは思うものの、それでも、世の中には、こういった状況に置かれてもなお、後悔すらすることもなく、魔女の人権を著しく下に見ている人達もいることを思えば、彼等の気持ちが変わっただけでも、良かったことだと言えるだろう。
私の目には既に、ベラさんのことについて、村の人達が数えきれないほどの後悔をしているのは、伝わってきたものの。
それでも、おば様が話をしてくれたのを皮切りに、この場に、何とも言えない沈黙が訪れて、場の空気がしんみりどころか、どんよりと重々しくなってきたのを感じて……。
私は、今度こそ、事情を話そうと……。
「あの……っ、今、皆さんが、ベラさんのことについて心配しているのは私にも伝わってきましたし。
ゆっくりと落ち着いて聞いてもらえると嬉しいのですが、ベラさんは、ご飯も少しずつ食べられるようになってきて、とりあえず、今は症状が収まって奇跡的に回復しています」
と、ベラさんの今の容体について、完全に治ったということは出来ず、やんわりと、さっきのヒューゴみたいに、病状を濁しながら報告することにした。
まかり間違っても、ベラさんの寿命を延ばすことが出来ているということも、既に、ベラさんは元気いっぱいで、ご飯を三杯もおかわりしたのだということについても、伝える訳にはいかないなぁと思ってしまう。
だからこそ、私達と、ブランシュ村の人達との間に、あまりにも大きな認識の違いがあるこで、正直、現状を、もの凄く重く受け止められていることに、多少なりとも、罪悪感を抱かなかった訳じゃないんだけど……。
私の言葉を聞いて、村人達に更なる動揺が広がり、ざわりと場が響めいたのを感じながらも、彼等の瞳に、それは本当なのかという戸惑いと驚きと共に、それなら良かったとも言えるような安堵の表情が、この場に伝染するように浮かび始めたのを感じて、それだけで、私は『ブランシュ村の人達は、本来は、凄く優しい心の持ち主の人が多かったんだろうな』と思ってしまった。
それ故に、世間的にも、当たり前である常識のようなものが根付いてしまって、世の中に、蔓延るように存在する古くからの因習によって、ベラさんのことを一時的には排除しようとしてしまったものの、恐らく、心の奥底ではずっと、そのことに、罪悪感を持ち続けていたのだろう。
昔は、ベラさん自身が、赤色の髪を持っていても、この村では、ヒューゴやアーサーと一緒に、幼馴染みとして暮らしてきていて、魔女になった途端に、村から追い出されたみたいだったから、彼等にとっても、小さな頃から見てきたこともあり、過ごしてきた歳月によるベラさんへの思い入れのようなものは、多少なりともあっただろうし……。
「皇女様……っ、本当に、そんな奇跡が……、ベラの身に起きたんでしょうか……っ?
私達はもう、ベラが死んでしまうものだと思って……っ、今の今まで、諦めていて……っ!
それでも、村の……っ、特に、魔女であるということを知った時、ベラのことを強く追い出した人間だけで、あの時の懺悔と、ベラの健康を祈願しに、片道2時間ほどかけて、10キロ近く離れた教会に行って、ベラが回復するようにお祈りをしてきたんですが、それが功を奏したのでしょうか……っ!?
あぁ……、本当にっ、この世には、神様が、いるんですね……っ!」
そうして、私がぼんやりとそのことについて考えたあと、先ほどのリーダー格っぽいお爺さんが、私に向かって、真に迫るような勢いで、ぽろっと、一粒の涙を溢しながら、喜びを抑えきれない様子で、上擦った声をあげたのが見えた瞬間。
「アンタ達、私に黙って、いつの間に、そんなことをしていたんだい……っ?
私は、家でずっとベラが治るように祈りを捧げていたけれど、そういうことをしに行くって言ってくれれば、私もアンタ達と一緒に教会へ行って、お祈りをしたかったのに……っ!」
という、おば様の声が聞こえてきた上で……。
「な……っ、わざわざ教会にっ……? そ……っ、そんなことまでしていたのか……っ!
俺ってば、てっきり……っ!!
っていうか、いや、そうだよなっ、神様……っ、!
あぁ……っ、えっと、確かに、神様のおかげではあるんだけど……っ。
いや、でも……っ、その……っ、ソイツに関しては、俺自身は、ちょっと納得がいってねぇっていうか……っ。
全部が全部、本当に、神様のおかげかなぁっ、? ていうか……っ」
と……、後半にかけて、ごにょごにょと、どんどん小さくなっていく声で言葉を濁しつつも、チラチラと私の方に向けて申し訳ないというような表情を浮かべて、視線だけで謝ってくるヒューゴに、私は『気にしないで下さい』と、思わず、此方も視線で返事を戻してしまった。
その上で、ベラさんを傷つけて追い出したという、ブランシュ村の人達が、片道二時間もかけて最寄りの教会に行って、自分達のしてきたことへの懺悔と、ベラさんのために祈りを捧げていただなんて、思いもしなかったら、ビックリしてしまった。
こういった村では、どうしてもお年寄りの人の方が割合的に多く住んでいることから、二時間もかけて碌に鋪装もされていない砂利が大半の山道を通って、教会に行くだけで、かなり大変なことだと思うのに……。
それでも、今までしてきたことへの懺悔と、『寿命を削っていくベラさんが治りますように』とお祈りをしに行っていたということは、それだけ彼等の、ベラさんに対して謝りたいと思う気持ちが本気だったということに他ならないだろう。
「あの……っ、それで……っ、話の腰を折るようで、とても申し訳ないのですが……。
ヒューゴ……っ、まずは、この間のことについて、謝らせてくれっっっ!
本当に、申し訳なかった……っ!
魔女であるベラに、自分達が、酷い言葉を投げつけて追い出してしまったことを後悔するあまり、お前達の都合の良い時間帯も聞かずに、押しかけてしまって……。
クレアに、そんなの当たり前じゃないと、叱りつけられて、初めて、自分達が、どれだけ自分勝手なことをしているのか、気付くことが出来たんだっ。
お前からすると、もう、私達の顔さえ見たくはないかもしれないが……っ」
そうして……、ヒューゴに向かって、お爺さんが、腰を折って深々と謝罪してきたのが見えると、それに続くようにして、一斉に、その場にいた村人達も、ヒューゴに向かって頭を下げてくる。
彼等のそんな態度に、本気の度合いを感じられたのか、ヒューゴ自身も、どこか面食らった様子で、私達がベラさんの寿命を延ばすために来た日に、憤慨して怒りまくっていた雰囲気とは打って変わって、ひたすら、戸惑ってしまったみたい。
以前、私達がブランシュ村の人達と話せるように取り持ってくれたこともあって、元々、ヒューゴと村人さん達の仲は、そこまで悪いものじゃなかっただろうし。
特に、最近になって、もう寿命が尽きかけていたベラさんの傍にいることで、ヒューゴ自身も気が立っていた部分は沢山あったと思うから、彼等のベラさんを思う真摯な態度に、ヒューゴも、自分が強い言葉で追い返してしまったことを、ちょっとだけ悔やんでいるような雰囲気だった。
「いや……っ、爺さん、顔を上げてくださいっっ。
俺の方こそ……っ、ちょっとばかし、強い口調で追い返すようなことして……っ。
ベラのことを考えて、みんなが教会にまで、懺悔と祈りを捧げに行ってるだなんて、それこそ、思ってもみなかったから……っ!
えっとぉ、その……っ、俺の悪いところなんですが、喧嘩っ早くて、本当に、いけねぇよな……っ。
マジで、反省しかないわ……っ」
そのあとで、ヒューゴが、頭を下げたままだった村人達に向かって、慌てたように『此方にも非があった』ということを、やんわりと謝罪してくれると、それだけで、さっきまで、私達の間にあった張り詰めていた緊張感が少しだけ解れていくことになった。
「ヒューゴ、本当にありがとう……っ。
そう言ってくれると、私達も嬉しいし、救われたような気持ちになるよ。
それで、その……っ、皇女様達は、一体、どうして、またブランシュ村へ……?」
それから、お爺さんが、ヒューゴに向かって、問いかけるように言葉を出してくれると。
「あぁっ……っ! そうなんです……っ!
以前、ブランシュ村に来た際に、アーサーのことを聞きに来たかと思うんですが、皇女様達は、その時、俺のことも助けてくれてっ、それでっ、ベラとも知り合いになりまして……っ!
このたび、ベラのことを、必死の看病で、皇女様達が救って下さったようなものなんです……っ!
だから、さっき、俺も、今回の件については、神様だけのおかげじゃないってことが、言いたかったっていうか……っ。
俺にとっても、ベラにとっても、こんな平民にまで心を砕いて接して下さる皇女様は本当に、特に、大恩人でしかなくて……っ!」
と、何故か、その言葉を待ってましたと言わんばかりに必要以上に元気になったヒューゴが張り切りながら、過剰に私のことを褒めだしてくれて、私は思わず、照れてしまった。
その言葉に、村の人達も『そっ、そうだったのか……っ!』と、言うような雰囲気で、大きく目を見開いたあと……。
「皇女様ほどの、高貴な身分の御方が、一介の平民を救おうと、必死に看病までして下さっていただなんて……っ!
ですが、私共も、その件については、どこまでも納得のいく内容だと感じられます……っ!
実は、水質汚染のことについて、いつ、ブランシュ村にも被害が拡大してくるのか分からないだろうと不安がっている時に、皇女様が、その件については問題が無いと優しく教えて下さったのだと、クレアから私達も聞いていましてなぁ……。
実際、そのあと、皇女様の言う通り、本当に何の問題もなく解決されたでしょう……っ?
ベラと同じように赤い髪をお持ちということもあって、それだけで、皇女様自身が誹謗中傷の憂き目に晒されて大変なことも多いでしょうに、どんな人間にも、分け隔てなく丁寧に接して下さるのだと、皇女様のことを、クレアが絶賛していたんです……っ!
ですので、私達も、そういった境遇に置かれてもなお、一生懸命に民心のことを思って下さる皇女様に感化されて、思わず、ベラだって、村にいた時から心の優しい子だったのにと、後悔の念を募らせていくことになりまして……っ。
皇女様は、本当に、とっても素敵な御方なんでしょうなぁ……っ!
村の者を代表して、私からも、改めて、お礼を言わせてください。
ベラのことを看病までして頂けて、本当にありがとうございます……っ!」
と、深々と頭を下げて、本当に感謝するように仰々しくお礼を言われてしまった。
そのことで、水質汚染の事件を解決したことが、思いもよらず、こんなところで感謝されることになるとは思ってもいなかったし……。
巡り巡って、村の人達の思いを変える切っ掛けになって、ベラさんのためにもなっていただなんて予想もしていなかったことだったから、思わず、戸惑って、私は大きく目を見開いてしまった。
――まさか、そんなことになっているだなんて……。
嬉しいことや、良い行いが、幸せの連鎖のようになって、自分のもとへと返ってきていることにビックリしながらも、彼等の思いを、ほんの少しでも良い方向に変えられることが出来たなら、それだけでも、自分のこれまでの行いは無駄ではなかったし、意味があったんだなと感じて、嬉しく思ってしまった。
私自身、ジェルメールや、王都に住む人達など特定の人とは関わりがあるものの、一般の人達とは触れ合う機会が少ないからこそ、こういう言葉を直接聞けるのが、本当に貴重なことだと思うし、有り難いことでもあると思う。
その上で、『いえいえ、そんなふうに言って頂けて、ありがとうございます』と、私もお爺さんに向かって頭を下げて、ぺこぺことお礼を伝えていたら……。
何故か、この場の空気が更に、ほっこりと和んでしまった。
そうして……、ヒューゴが、ベラさんが魔女だと知られたことで、体調には配慮しつつも、これからは、国が保護することになるのだという話を、簡単にではあるものの、おば様に私が説明したのと同じように、村の人達に伝えて、その準備のために食器類などを買いに来たと説明してくれると……。
「……俺ぁ、長年、この村で商いをしている者なんですが……っ。
ヒューゴっ! せめてもの餞別として、ベラには、今まで村の人間が迷惑をかけたことを謝罪するために、うちの店にあるものは好きなだけ、どれでも必要なものを持っていってくれ……っ!
俺自身も、今まで、気に掛けてあげられなかった分、ベラに、何かしてあげたいという気持ちが抑えられなくってよ!」
と……、一人のおじさんが声をあげてくれたのを皮切りに。
その声に、呼応するかのように……。
「それなら、私も何か、ベラちゃんのために用意したいわっっ!
ヒューゴ、これから出来れば、村のみんなで相談したいから、ベラちゃんのお家に帰って、ベラちゃんに会わせてもらえるかどうか聞く前に、ちょっとだけ待っててくれるかしらっ!?
もう、きっと、私達は会えない可能性の方が高いんでしょう……?
村の人達も、みんな、ベラちゃんに、何かしたくてしょうがないのよ……っ。
たとえ、ベラちゃんの意志で、私達が拒絶されて謝罪に行けなかったとしても、せめてもの償いに、引っ越し先で役に立つような物とかも用意したいから……っ」
「あぁ……っ、そうだなっ! 私も少ないが、ベラにお金とかを包んでやりたい……。
王都の方は、物価が高いって聞くしな……っ。
ベラがこの先の人生において、少しでも困らないようにしてやりたいと思っている……っ!」
などと言った感じで、一人が声をあげることで、徐々に、ブランシュ村の人達から、ベラさんのことを思う沢山の声が上がりはじめたのを感じて、その状況に、私は、ちょっとだけ、ほっこりとしてしまった。
ブランシュ村は近くに鉱山があるということもあって、鉱山入り口の前には、宿屋や酒場などもあり、外部からやってきた商人達も沢山いるし、必要なものは、最初に声をあげてくれたおじさんのお店で買い揃えなくても大丈夫ではあったものの。
そういうふうに言ってもらえるのなら、その好意は、ベラさんのためにも受け取るべきだと思う。
そうして……、私達は、とりあえず、ブランシュ村の人達が、王都まで引っ越すベラさんに、謝罪の他に何をしてあげられるのか相談している間……。
『王都や街のお店ほど、品揃えは良くありませんが……』と、私達に向かって申し訳なさそうに謝りながら、ブランシュ村で、そこに住む村人が困らないように、主に生活用品を販売しているのだというおじさんのお店まで付いて行くことになった。