399 意見交換
『みんなに、聞いて欲しいことがあるの……』と、馬車の中で意を決して、この場にいる全員に向かって声を出しながら。
口を開いた私は、あの日、ルーカスさんと二人で話し合った内容を、ゆっくりと語って聞かせるように、一から全て説明する。
その際……。
【君は、あまりにも優しすぎるから。
もっと“俺も含めて”疑うことを覚えた方がいい。
悪意にも敵意にも満ちた瞳ってのは、それこそ、そこら中に転がっている……っ。
君のことを疎ましいと思うような存在が、身近にいるかもしれない可能性は考慮するべきだ】
だとか……。
【きっと、その命が狙われるような危険な状況になったなら。
君の傍で常に目を光らせている“狂犬”が、いの一番に君を守るだろう。
……だけどね、お姫様。
この皇宮の中で生きていると、ただ馬鹿正直に真正面から君の命を狙ってやってくる人間ばかりじゃないよ。
寧ろ、そんなのは極少数で、気付かれないようにと、内から巣くう闇が、今この瞬間にも君の足をめがけて引きずり降ろそうと手を伸ばしてる】
という、ルーカスさんに言われた内容の、一つ、一つを、私自身も改めて振り返ってみると……。
やっぱりどう考えても、『背後に、誰がいるのか知っていた』と言っていたエリスの言葉通りに、あの時のルーカスさんは、まさにテレーゼ様のことを示唆していたとしか思えないような台詞を私に伝えてきていて。
あの日の私とルーカスさんの状況をみんなに説明しながらも、多分だけど、そのことを口にしていた私自身が一番驚いていたと思う。
その上で……、あの日、ルーカスさんが警告するように、私の首元にその手のひらを当てて。
【……ねっ? 今もこうして、純粋で無垢で、無防備な君は、俺に生殺与奪の権利をいとも簡単に握られてしまってる。
このまま、俺が君の首に当てている、この手に力を込めたらどうなると思う?】
と言ってきたことに関しては、流石に、今このタイミングでみんなに伝えてしまうと、別の問題が発生してしまいそうだったから、口にすることは出来なかったんだけど……。
確か……、あの時、ルーカスさんは、息を呑んだ私に。
冗談めかしたように……。
【……なぁんて、ねっ。
ごめん、冗談にしてはやり過ぎだと思ったんだけど。
でも、ほら。……こうすることで、お姫様もちょっとだけでも、今、自分の身が危ないって危機感を覚えてくれたでしょ?】
と、声をかけてくれたあとで。
ウィリアムお兄さまが『お父様の跡』を継いで、きちんと戴冠式を行うまでは、私の身はいつだって、国内外問わず、色んな危険に晒されてしまっているということと。
私とお兄さまの対立を避けるために『殿下の将来のためにも、今だけ協力して欲しい』と言ってくれていたから。
ルーカスさんに首元に手を当てられたという……、『その場面』だけをぼかした上で。
ルーカスさんとの婚約は、私のためでもあり、お兄さまのためでもあり、ルーカスさんにとっても恐らくそれが一番良いことで、誰のためにもなるのだと言われたことを……。
今ここで、私はみんなに向かって、しっかりと説明する。
「……つまり、この婚約は、絶対に破棄することになると。
あの男が、姫さんに持ち込んできた提案だったって訳か……」
「……ふむ、なるほどな。
普段のアリスと比べてみても……、僕たちが考え直した方が良いと必死で引き留めるのも聞かず。
自分で決めたことだと、あまりにも頑なな様子だったから、そこに何か理由があるのだとは思っていたが。
そういう、カラクリだったのだな?
ルーカスが、いずれ婚約破棄をするつもりで、ウィリアムとお前のためにもなると言ってきたのなら、お前がそれを引き受けたのも理解出来る」
と……。
私の説明に……、最初はみんな、びっくりしていた様子だったけど。
未だに、一人だけ、その情報量に付いていけずに『……えっ、えぇっ……っ?』と、私とルーカスさんの偽りの婚約関係に驚いて、混乱しているようなエリスを置いてけぼりにして。
セオドアもアルもローラも、比較的に直ぐ、その状況を理解して納得してくれたみたいだった。
私自身、みんなにずっと本当のことを言えなくて、今の今まで、はぐらかして嘘を吐いてしまっていたにも関わらず。
黙っていたことを、特に責めたりもせず、みんながそのことを真っ先に受け入れてくれたことに、ホッと胸を撫で下ろしながらも……。
「今まで、みんなにもそのことを言えなくて、大事なことなのに黙ってしまっていて本当にごめんね……っ?
あの日の、ルーカスさんは、どうしても婚約を結びたいと思ってるような雰囲気で凄く真剣だったから、そこに何か理由があるのだと思って、引き受けた方が良いと判断したんだけど……。
そのことを誰にも言わない約束をしてしまっていたから、その……。
どうして私が、ルーカスさんと婚約を決めたのかということについて、真実を話す訳にもいかなくて……」
と、今の私に出来る限り『精一杯の謝罪』をして、みんなに向かって頭を下げると。
「……そんなことは、別にどうだっていい」
と、セオドアが私に向かって声をかけてくれたあと。
本当に心の底から安堵したような雰囲気で『はぁ……』と小さくため息にも似た吐息を溢してから、私の手をぎゅっと握り……。
「……っ、婚約が偽りのものだったなら、それだけで、充分だ。
ただでさえ、普段から嘘を吐くこと自体が苦手なのに、俺等に隠し事をしなければいけなくなったことで、多分、姫さんの方が辛かっただろ?
第一、姫さんのためだけじゃなくて、皇太子のためにもなることだって言われたら、優しい姫さんが、その提案を断りにくくなるってのは、当然だし。
あの男が、姫さんの性格を熟知していた上で、そのことを思いつかない訳がないんだから……。
姫さんに頼み込むことで、上手いこと説得して、婚約関係が結ばれるように結果を誘導したようなものだと言ってもいい。
正直に言うと、こうして、今、詳しい事情を聞いた上でも……。
……仮にそれが、姫さんの為になることであろうとも、俺はあの男の遣り方には納得がいっていない。
だから、姫さんが謝ることじゃないし、俺は、姫さんにはこれから先、誰よりも幸せになって欲しいと思ってるから、あの男との婚約が正式なものじゃないと聞いただけで、ホッとしている」
と、真っ直ぐに、真剣な表情で私のことを見つめながら、そう言ってくれた。
あまりにも真剣なものだったからか、セオドアのその瞳に思わずドキっ、としてしまったんだけど。
――何でだろう……っ?
私のことを、凄く心配してくれた様子で、そのことが本当に嬉しかったからかな?
でも、だとしたら、経験上……、こういう時はドキっと心臓が一回跳ねるような感じじゃなくて、じんわりと温かい気持ちになってくると思うんだけど……。
【……??】
私が、頭の中で、今の自分の感情に説明が付かなくて、ひたすら混乱していると。
今、こうして私に真摯に向き合ってくれているセオドアだけじゃなくて……。
ローラやアル、それからエリスも、セオドアの言葉には全く異論が無い様子で、私のことを見つめてくれながら『婚約について、黙っていたことは気にしなくてもいい』というような雰囲気で、しっかりと目を見て頷いてくれた。
その姿に、今度はちゃんと心の底から胸が熱くなって……、思わず、ジーンと感動してしまった。
みんな、私のことをいつも本当に一生懸命に考えてくれていて、凄く嬉しいな、と思う。
勿論、セオドアに対しても『凄く嬉しい』という気持ちは感じていて、普段なら一番に、絶対に嬉しさから胸がぽかぽかしているはずなんだけど。
――可笑しい、な……?
今、この瞬間にも、ジッと私のことを見つめてくれているセオドアの瞳が、まるで熱のこもったような感じにも見えるのは、セオドアの眼が赤いことも関係しているのかも……。
内心で、そんなことを考えつつも、なんだか耳の辺りまで、一気にぶわりと熱が上がってくるような感覚がして。
思わず赤くなってしまったんじゃないかと思う『その場所』を、隠すようにささっと、耳にかけていた髪をそれとなく降ろしてから。
「……でも、あの日のルーカスさんは、私の安全のことについても凄く考えてくれていた様子だったから。
決して、私に対して、悪意を持っていた訳じゃないのは確かだと思う」
と、誤魔化すように、みんなに向かって“にこっ”と微笑みかけながら、そう伝えると。
「……あぁ、それについては、俺もそうだと思う。
皇后のように、姫さんに対して何かをしてくるつもりだったなら、わざわざそんな警告なんてしてこないだろうからな」
と、少しだけ考えるような素振りで、私から視線を外したセオドアがそう言ってくれるのを聞いて、私はホッと安堵のため息を溢した。
ルーカスさんのことについて『私に対して、何かをしてくるような人ではない』と、セオドアが今ここで、しっかりと判断してくれたこともそうだったけど。
ぎゅっと、私の手を握ってくれていたセオドアの手のひらと、その視線が私から外れたことに。
何故だか、もの凄く『安心』している自分がいて、思わず戸惑ってしまう。
「ふむ。……だが、ルーカスが、現皇后のことをある程度知っていたのなら。
どちらにせよ、可笑しな話であることには変わりがないな?」
そのあとで、アルに指摘されたことに関しては、私自身も素直に頷くことが出来た。
「ルーカス様が、エリスと侍女長の遣り取りを見てからずっと、恐らくテレーゼ様への疑いの目を持っていたのにも関わらず……、ということですよね?」
そうして、ローラがアルのその言葉に頷きながら、補足するように声を出してくれたことで。
「あぁ……。
だとしたら、知っていて言えない状況にあった、と考えるのが妥当だが……。
肝心の、その理由については今ひとつ見えてこねぇな……っ」
と、セオドアも色々と思考を巡らせて。
エリスと侍女長の遣り取りで、テレーゼ様のことを知っていたルーカスさんが、そのことを私たちには言えない状況にあったんじゃないかと考えてくれているみたいだった。
……その言葉に、私自身も深く納得出来るというか。
テレーゼ様のことを誰にも言えない状況で、それでも、ルーカスさんが私やお兄さまのことを思って、最善を尽くそうとしてくれていたんじゃないかということには、本当に同意しかなくて。
みんなの意見に対して、こくり、と頷き返したんだけど。
……そこで、あれこれと思考を巡らせて考えているうちに、不意に思い出した。
確か、エヴァンズ家が大切にしているという人について、私のデビュタントの時に話した際。
お父様が良い医者を紹介しようかと声をかけたタイミングで、侯爵がお父様のその申し出を断った上で。
『症状を少しでも緩和するよう、テレーゼ様に手配して貰って、これ以上ないというくらいに尽くして頂いている』と言っていたことを……。
だとしたら……。
――もしかしたら、ルーカスさんは、テレーゼ様に対して凄く恩を感じているんじゃないだろうか?
今の今まで、テレーゼ様の尽力があって、ルーカスさんが大切に思っている人が『その命を何とか繋げてこれた』のだとしたら、ルーカスさんがテレーゼ様のことについて、私たちに何も言えずに黙っていたというのにも説得力が出てくるし。
辻褄が合うと思うんだけど、違う、かな……?
例え、エヴァンズという、中立な立場に立って『皇室に忠誠を誓っている家柄』であっても、ルーカスさんだけではなく、エヴァンズ家にとって大切な人のために力を貸してくれたテレーゼ様のことを。
罪を犯しているのだと知ったとしても……、密告するような形で、お兄さまやお父様に告げることは出来なかったのだと考えて……。
そんな状況の中で、私に対してルーカスさんが精一杯、自分に出来る範囲で『忠告してきてくれた』というのは分からなくもないし、筋も通っていると思う。
私が今、推測したことを有りのまま、みんなに向かって伝えれば……。
「……ふむ、確かに、それは盲点だったな。
僕たちは“アリスの近くにいる者”として、皇后に対してどうしても許せぬという気持ちしか湧いてこないが。
例え、アリスや僕たちにとっては敵であろうとも、ルーカスがそうであるとは限らないだろうしな。
もしも、皇后に恩義を感じていたのなら、誰にも言えず、自分の中だけに抱え込んでいたというのも納得は出来る話だ」
と、アルがあり得ない話ではないと、私の意見を肯定するように私たちに向かって声を出してくれた。
「なるほどな。……そっちの線で考えれば、確かに、理解も出来る。
本当の顔を“裏”で隠し持っている皇后が、日頃から人に対して善行をしてるってのは、あれだけ世間から賞賛されまくってるんだから。
別に、エヴァンズ家に対しても、同様に恩を売っていると考えれば、不思議でもねぇしな。
だが……、それだと尚更、あの男が姫さんに対して強固な姿勢で婚約を申し込んできたというのは違和感だ。
気をつけろっていう忠告だけなら、正直言って、婚約なんか申し込んでこなくても出来るはずだし。
幾ら皇太子のためにもなるとはいえ、婚約解消の手間があると思えば、そっちの方がダメージも大きくなりそうな上に、そこまで、エヴァンズに実入りがないんだから、本来なら、姫さんに深入りしてこなくても良いはずだが……。
それに、あの男が皇后のことを知ったタイミングが、侍女であるアンタの言うように、姫さんが古の森に行ったタイミングなら。
その時期には、もう既に、姫さんとあの男の婚約話は持ち上がっていたはずだから、順番が前後してるってのも気にかかる」
それから、アルのその言葉を聞いて、セオドアが更に深く考え込んでから、私たちに向かって『ルーカスさんの違和感』を、詳しく説明してきてくれたところで。
あれだけ、みんなの意見が飛び交っていた馬車の中は、一気に静かになってしまった。
確かに、テレーゼ様とルーカスさんのことを考えて、色々推測した時には、その一つ一つに、決して大きなズレとは言えないものの。
どうやったって、僅かなズレが出来てしまっていて……。
セオドアの言うように、ルーカスさんが私に婚約の話を持ちかけてきた時期に関しても、よくよく考えると可笑しくなってしまうというのは、事実だった。
エヴァンズ家がお兄さまと私のバランスを取るために、婚約関係を結ぼうとしてきたという、ルーカスさんの当初の説明通りなら……。
元々、この件は中立を維持する役割を果たそうとした『エヴァンズ』の、高貴な意志によるもので、テレーゼ様とは関係がなかったともとれるけど。
単体で見れば、特に可笑しくはないことでも、さっきも、セオドアが言っていたように、大切な人がいる中で、その人の命が消えかかっているタイミングで私と婚約を結ぶというのは、どう考えても、時期が悪すぎるし。
私と婚約を結ぶことで、お兄さまにもルーカスさんにも都合が良くて、誰のためにもなって、私の安全を守りたいと言ってくれていた、その言葉の意図を汲むのなら……。
テレーゼ様の第一子であるウィリアムお兄さまが『お父様の跡を継ぐ』という状況を、絶対的なものにしたくて。
ライバルになる可能性のある私の後ろ盾にエヴァンズが付いてくれる代わりに。
お兄さまの側近とも呼べるほどに近い位置にいるルーカスさんが婚約者になることで、私がお兄さまに敵対する意志を持っていないことを明確にして……。
テレーゼ様に見せつけるようなことをしたかった、とも考えられるけど。
そうだとしたら、エリスと侍女長が遣り取りをしていたのを目撃する前に『ルーカスさんが私に婚約を申し込んできている』ということで。
時系列が逆になってしまい、どちらにしても、時期が、可笑しいというのは、セオドアの言う通りだった。
だって、もしもそうだとしたら、エリスと侍女長が会話をするもっと前に『テレーゼ様が私に対して嫌悪感を持っている』と、ルーカスさんが知っていなければ、辻褄が合わないことになってしまう。
それに、一見すると『お姫様の気持ちが大切だ』と、どこまでも私に配慮した様子を見せてくれながらも……。
この婚約は絶対に結ばなければいけないという様子で、ルーカスさんが私に答えを急かしてきたのも不思議だし。
なんだか、考えれば、考えるほどに、思考の渦に嵌まってしまっているような気がする。
私たちがどれだけ憶測で物事を考えていても、その情報に欠けがある以上は、ルーカスさんの行動に関して、全てを理解することは、どうやったって不可能だろう。
ある程度、こうかもしれないと予測は出来たとしても、それはあくまでも『たらればの話』でしかなくて、実際にそうだとは言い切れないんだから。
みんなとこうして話せたことで、何も分かっていなかった状況から、テレーゼ様のことやルーカスさんについて多少、理解は深められたような気がして、進展することは出来たものの。
――どう考えても、そこで手詰まりだった。
「ルーカスさんが、私との婚約を破棄出来ると確信していたような様子だったことについては、どうかな……?」
そこで私は、根本的な部分からアプローチを変えることにして、本来、私自身が一番、みんなに意見を仰ぎたかったことについて。
改めて確認するように『……どう思う?』と、問いかけてみる。
その言葉に……。
「アリス様と正式な婚約を結ぶことになったというのは、お二人が陛下の前で既に誓っていることです。
……どんな時も、国の頂点に立つ君主に誓うというのは、それだけその誓いが、嘘偽りのない誠実なものであることの何よりの証ですから。
ちょっとやそっとのことでは、恐らく誰にも解除するようなことは出来ないでしょう」
と、一番に反応してくれたのはローラだった。
その言葉に対しては、あの時、ルーカスさんに『秘密を共有する関係になって欲しい』と言われた際に、私自身も感じたことだったから。
『確かに、その通りなんだよね……』と、内心で納得してしまう。
「だが、アリス、ルーカスは確信めいた雰囲気で、婚約については解消出来るし……。
お前には、迷惑をかけないと言ってきたんだよな?」
そのあとで、アルに問いかけるように質問されて、私はこくりと頷きながら。
「うん……。私たちの婚約をルーカスさんが、皇宮で働いている一部の人間のみに知らせて、世間には大々的に発表しないと決めてくれたのも……。
お父様には、私の年齢がまだ幼いからだと、説明してくれていたと思うけど。
本当は、今後、私たちの婚約が破棄されてしまった時に、そこまで大きな影響が起きないようにと、どこまでも配慮してくれてのことだったから、それは、間違いないよ。
だからこそ、そう“遠くない未来”に、この婚約が必ず破棄されるという前提で、婚約関係を結んで欲しいと言われたの……っ!」
と、あの日、ルーカスさんに言われたことについて、アルだけではなくみんなにも聞いてもらえるように、もう一度、しっかりと説明する。
ルーカスさんが私との婚約を破棄しようとしてくれているのは、あの日の口ぶりからも絶対的なものであり、そこに関しては私自身も全く疑ってない。
だからこそ、どういう風に婚約破棄をしようとしているのか、少しでもルーカスさんの考えに近づけるように、あの日のルーカスさんのことを理解したくて、みんなの意見も聞いておきたかったんだけど。
私の説明を聞いて、当然だと思うけど、直ぐに答えは出せない様子で……。
アルもローラも、エリスも、セオドアも、その内容について深く考え込むように黙り込んでしまった。