355 ローブの男の正体
私たちの後をつけていたローブの人が誰なのか確認するために、自分から向かって行くという選択を取ってくれたセオドアの後ろを、走りながら追いかけている私の横で併走しつつ……。
「……うわぁ……、騎士の人、滅茶苦茶、早いな、……。
……僕は“ついて行く”ので、精一杯、だ……」
と、男の人だからなのか、息一つ乱している様子のないナナシさんが、遠くを見るような仕草をしているのが見えた。
日頃の運動不足がたたって、『……はぁ、はぁ……っ』と息を乱している私とは違い。
ナナシさんは、余裕がない感じには全く見えないんだけど、本当にセオドアについて行くのが精一杯なのかな……?
いつもと変わらない『マイペースな口調』だからか、こんな時でさえも、余裕があるように感じてしまう。
そうして、私たちよりも一足早く、前方でセオドアが、私たちの後を付けていたであろう白いローブの人とがっつりと、遭遇し……。
――その身体を、捕まえようと手を伸ばしたのが見えた……。
瞬間……。
ローブの人はセオドアが自分の方に向かってきたことに、戸惑った様子だったんだけど。
自分が、私たちの後をつけたことがバレて不味いと思ったのだろう。
いち早く身の危険を察知したのか、捕まえようと手を伸ばしたセオドアのことを押すようにして、ほんの少し抵抗するようにもみ合った後で、脇目も振らずに、大通りの方へと逃げようとして行く。
「……セオドア……っ!」
その際、10歳の子供の鈍足でもやっと、セオドアのいる場所へと追いついてきていた私は……。
思わず、セオドアともみ合った際に、真白いローブの相手の被っていたフードが、ハラリと後方へと落ちて『露わになったその顔』に思いっきり目を見開いて、驚いてしまった。
「……っっ! ……えっ? アーサー、……?」
ぽつりと溢した私の声に、セオドアの手がびくりと、動きを止めたのが見えた。
その、一瞬出来た空白の時間に……。
私たちの顔を見て、『……不味いことになった』というような、どこまでも苦い表情を浮かべたあと。
アーサー……、と思われる人物は、大通りの人波を押しのけるようにして、ぐんぐんと私たちから距離を取って離れていく。
「オイ、危ねぇだろうがっ! こんな所を走り抜けるんじゃねぇよっ、……気をつけろっ!」
……誰かの怒号が、一目散にこの場から去ろうと逃げていった真白いローブを着ていた人に向けられたけれど。
とてもじゃないけど、建国祭のこの人通りの多さの中で、彼を追うには、あまりにも難しく……。
私たちは、彼の後ろ姿を見て、呆然としながら、その場に立っていることしか出来なかった。
「……ご、ごめんねっ、セオドア。
私が、変なところで、声をかけちゃったから……」
「いや、姫さんの所為じゃない。……それよりも、見たか? あの顔っ……!」
そうして、まだ、アーサー思われる人物ともみ合った時の感触が残っていたのだろうか。
暫く、自分の手のひらを眺めながら、セオドアが問いかけてきた質問に、私も真面目な表情を浮かべながらこくりと頷く。
アーサーが実際にどんな顔をしているのかは、私たち自身、本当の顔を見たことがある訳じゃない。
でも、アーサーが失踪していることについて、ウィリアムお兄様がヒューゴやベラさん、それからアーサーと一緒に働いていた騎士団の同僚などからの証言を得た上で……。
皇宮で働く画家に協力して貰って、その『人相書き』に関しては作ってくれていた。
私たちも一度、ウィリアムお兄様に見せて貰ったから、分かるんだけど。
さっきの人は……。
――その人相書きに、瓜二つと言ってもいいくらいに、そっくりだった。
「……あの、クソ爺……」
そうして、誰に言っているのか、ぽつりと小さく、吐き出されたナナシさんのあまりにも珍しい暴言に、私が疑問に思うよりも先に……。
「アーサーって、確か、アリス様たちが探していた行方不明の騎士のことですよね……?」
と、ローラが、不安そうな表情で問いかけてきてくれて、……意識が自然、そちらへと集中する。
ナナシさんがいる手前、詳しい事情をここで話すのには憚られてしまったから、『うん』と、こくりと頷くだけに留めたものの。
私自身、内心は、疑問でいっぱいだった。
アーサーには確かに、私の検閲係を含めて、囚人を殺してしまったかもしれない“集団毒殺事件”の容疑がかかってしまっている。
その容疑に関しては、未だに、まだ完全に晴れている訳じゃない。
……むしろ、黒に近いと思ってもいいだろう。
でも、どちらかというのなら、本人はそのことを知らされていなかったケースの方が有力で。
もしかしたら、誰かに利用されていたかもしれないアーサーの背景にあるものを暴きたくて……。
今、あの事件の黒幕から殺されてしまうかもしれない、危険な状態にあるアーサーを『保護したい』というのが私たちの最優先の目的だし。
アーサーが自白してくれたことによっては、お父様から情状酌量の余地があると判断されて、減刑もされるかもしれない。
でも、それはあくまでも、私たちの目線で見たときのものだ。
アーサーの目線からしたら、自分は『お尋ね者』だと思っていても可笑しくないだろうし、だからこそ、雲隠れをしているのだとしたら、それは理解することが出来る。
……でも、それだけだと、私たちの後をつけてきた理由に、全く説明がつかない。
一体どうして、アーサーは、あんな白いローブという出で立ちで、私たちの後をつけてきたんだろう?
何かそこに目的があったと考えた方がしっくりくるけれど、その肝心の目的が何なのかが一向に見えてこない。
アーサー自身、まさか、皇女である私がアーサーのことを探しているとまでは思っていないかもしれないなとは感じるものの。
それでも、お尋ね者になっている自分が、国の人間に見つかるかもしれないという危険は、ずっと孕んでいる訳だし。
わざわざ危険をおかしてまで、私たちに近づいてきた理由は何なのかな……?
流石にセオドアの考察も含めて考えると、こういうことには不慣れっぽい雰囲気を醸し出していると言っていたから、アーサーが仮面の男って言う訳でもないだろうし……。
頭の中で事件が起こった時系列と共に、整理しながらあれこれと考えていると。
多分、私と同じようなことをセオドアもアルも考えついてくれたのだと思う。
「仮に、あれが、アーサー本人だったとして……。
姫さんを狙ってくる理由はなんだ……?
俺やアルフレッド、それから侍女さんを狙うなんてことは余程のことが無い限り、あり得ないだろ?
あぁ、あと、ジェルメールで働くアンタに関しては、そもそもこの件には無関係だしな」
「ふむ。……そうだな。
どう考えても僕たちの中で、アーサーの一番の標的となり得る存在は、アリスだけだろう。
だとしたら、アーサーは、自分の背後にいる人間とまだ、繋がっているということか……?」
「罪悪感と、自分の身が危うくなったから失踪した訳じゃなくて……。
雇い主がいて、ソイツにずっと囲われたままってことか?
となると、俺たちの立てた仮説がそもそも間違ってることになるが……」
そうして、アルとセオドアが、アーサーについて真剣に考察してくれている間……。
「……あー、えっと。
その人が、一体何者なのか、僕にはよく分かりませんけど。
意外にも、その……、目的は別にあるのかもしれません、よ……?」
という言葉がナナシさんから返ってきて、私は彼の方へと視線を向けた。
私たちとは関係のない第三者だからこそ、何かひらめいたことでもあるんだろうか……、と期待の表情を向ける私に、どことなく言いにくそうにしたナナシさんは。
「ほら、迷子の犬は飼い主の元へ戻るって、よく言うでしょう……?」
と、不思議ワールドを全開にして、マイペースに此方に向かって声を溢してくる。
えっと……、? そんなに、よく言われている言葉でもないような……。
『というか、むしろ、初めて聞いた言葉だけどなぁ……』と、内心でそう思いながらも……。
――誰かの格言とかそういうのでは無いのかな?
と、ナナシさんの独特な世界観に、あまりにも抽象的すぎて、どういうことなのか意味が分からなくて言葉の続きを聞こうと促せば……。
「迷子の犬は、飼い主の元へ戻る、か……。
はっ……! そ、そうかっ、分かったぞっ、ナナシ!
つまり、それは、忠犬ってことか……っ!?
一度は雇い主が怖くて逃げてしまったが、逃亡生活が苦しくなって、また雇い主の元へ戻ったかもしれないということが言いたいのだなっ!」
というアルの『一体、どう解釈したらそうなったんだろう……』という言葉に、私自身驚いてしまった。
ナナシさんは当然のことながら、そこまでアーサーの詳しい事情を知らないし、絶対に言いたかったこととは違うと思うんだけど……。
ただ、アルのその説に関しては、もしかしたらあり得ない話ではないのかもしれない。
ブランシュ村で会ったベラさんの話を聞く限り、最後に会った時のアーサーはいつもと雰囲気が違っていて『天使が、全て助けてくれる』なんて言葉を言ってしまうほどに、どこか、思い詰めたような様子だったみたいだし……。
そうなったら、やっぱり仮面の男と同じように、アーサーも『私のことを気に入らない誰か』に雇われているっていうことになるんだろうか。
その黒幕が同一人物であるにしても、別々の人物であるにしても……。
どちらにせよ、流石に“これ”はもう、勝手に私だけが判断していいものでは無くなってしまってる。
「ウィリアムお兄様や、お父様の耳には入れておかなきゃ……」
と、声を出せば……。
セオドアが私の言葉に頷きながら『……あぁ、それがいいだろうな』と声をかけてくれた。
「うむ……。
皇帝やウィリアムに伝えてさえいれば、あいつらも対処法については、一緒に考えてくれるだろう。
……ひとまずはそれで、様子を見た方がいいな。
だが、なんだか……、あまりにも、きな臭い話になってきたな?
ただでさえ、仮面の男もアリスのことを狙っているかもしれぬというのに、まさか、アーサーまでもとは……。
どちらにせよ、警戒しておくに超したことはないだろう」
そうして、アルがそう声をかけてくれて、私も自分の警戒だけは怠らないようにしておこうと、改めて気を引き締める。
私だけが何か危険な目に遭ってしまうのならまだいいんだけど、傍にいてくれるローラやエリス、ロイみたいな一般の人たちまで巻き込んでしまう訳には絶対にいかないし……。
自分の身は自分で守れるというタイプのセオドアやアルにだって、出来る限り危険な目には遭ってほしくない。
アルの言うように、きな臭い話というのは本当にその通りで……。
目には見えないけれど、私の身体に、じわじわと影が包囲して、纏わり付いてきているようなそんな嫌な感覚がしてきて、焦燥感にも似たような、不安を覚えてしまう。
誰かの悪意も……。
誰かの敵意も……。
巻き戻し前の軸の時も含めて、慣れていた筈だったのに、大切な人が増えていくその度に『守りたいと思うもの』も増えて、この手に抱えているものが多くなればなるほど、段々と、私自身が弱くなってきている気がする。
抱えきれないほどに大事なものを沢山持っていたら、いつかボロボロとこの手のひらから“こぼれ落ちていってしまいそう”で……。
【もしも、私よりも、私の周りにいる人たちを狙った方が、私のことを傷つけることが出来ると気づかれてしまったらどうしよう……】
と、思ってしまう。
その不安が、顔に出てしまっていたのか……。
「アリス様、きっと、大丈夫ですよ。
……私たちが、いつでもお側についていますから……っ!」
と、ローラが私の顔色を見て、そう声をかけてくれた。
その言葉に救われたような気持ちになりながら『ありがとう、ローラ』と声を出して。
絶対にローラのことも、エリスのことも、ロイのことも、アルのこともセオドアのことも、私の身の回りにいる人たちのことは“守れるようにしておこう”という誓いを固めていると……。
「だが、すっかり興がそがれて、建国祭を楽しむような雰囲気でも無くなってしまったな。
せっかくだから、ナナシの持っているものと同じ仮面が欲しかったのだが……」
という、アルの残念そうな声がこの場にぽつりと落ちてしまった。
その、いつになく落ち込んだような、しょんぼりとした声に……。
「アル、せっかくだから骨董品を扱っているお店には一緒に行こう……?
だって、あんなに楽しみにしてたのに……!」
と、声をかければ。
「……あわわっ……、あの、えっと、ごめんなさい。
お話してる所、凄く残念な感じになってしまうんですけど、このお店、夕方までには閉まるお店だった、みたいです」
と、何とも言いにくそうな口調で、ナナシさんが、私たちにチラシを見せてくれながら、お店の営業時間を教えてくれた。
見れば、アーサーに後をつけられていなかったら、もしかするとギリギリ間に合っていたかもしれない時刻にお店の営業が終わるようになっていて……。
思わず私は、目の前でガーンと、思いっきりショックを受けて黄昏れている様子のアルと一緒に、動揺してしまった。
【そんな……っ、! アル、あんなに、あの仮面ほしがってたのに……】
「……あっ、でしたら、アリス様、アルフレッド様。
良ければ、私が明日、その仮面を目当てに骨董品屋さんに行ってみましょうか……?」
そうして、ローラに代替案を提示して貰って、そうして貰った方が良いんじゃないかと私が頷きかけた所で……。
「……えっと、……その、……お店に行っても同じ物があるか、分かりませんし。
僕ので良かったら、手放すのは凄、く惜しいですけど、……アルフレッド、……さんに譲ります。
その代わり交換条件で、さっき、くじ引きで当てた焼き菓子を僕に下さい」
と、どうして気が変わったのか分からないけれど……。
ナナシさんが、アルに向かって木製の仮面を差し出しながらそう言ってくれた。
「……だが、ナナシ、お前もその仮面、気に入っていただろう?」
ナナシさんの言葉に、咄嗟にアルが、ナナシさんも気に入っていた様子だったし、流石に譲って貰うのは良くないかもしれないと断ろうとしたんだけど。
ナナシさんは、ふるふると首を横に振り『……いえ、せっかくなので貰って下さい』と声に出してから……。
「僕、実は夕方から用事があったのを忘れてまして。……もう、行かなくちゃいけないんです。
……皇女様、アルフレッド、さん。……楽しいひとときを、ありがとうございました。
これは、そのお礼だと思ってくれたら、……嬉しい、です」
と、こちらに向かって、ほんの少し申し訳なさそうな表情でそう言ってくる。
そして、そういう理由があるのなら、と……。
アルも気兼ねなくナナシさんから、『うむ、分かったっ。……ならば、これは、お前と僕の友情の証だな!』と、木製の仮面と自分が引き当てた焼き菓子を交換することにしたみたいだった。
……次に、私たちがナナシさんに会えるのは、ファッションショーの時になるだろうか。
まさか、こんなにも一日通して一緒にいることになって、思いがけず交流することになるなんて思いもよらなかったけど。
ナナシさんが一人、輪の中にいるだけで、『普段とも少し違って、楽しい一日が過ごせたなぁ』と思いながら……。
「いえ、此方こそ、一緒に建国祭を回ってくれて、ありがとうございました。
ちょっとの間しか一緒にいることが出来ませんでしたけど、凄く楽しかったです。
また、ファッションショーの時にお会いしますよね……?
ジェルメールのデザイナーさんにも宜しくお伝え下さい」
と、私がにこりと、笑顔を溢しながら、ナナシさんに向かってそう伝えると。
ナナシさんはこくりと頷いてくれたあとで、私たちに向かってぶんぶんと片手を挙げて『また会いましょう』と気さくな雰囲気で声を出してくれる。
「皇女様。今度、また会う時は……、必ず」
そうして、私はナナシさんが私に向かって、何かを言いかけてくれた言葉が上手く聞き取れず、思わず首を横に傾げてしまった。
そのあと、特にそれ以上言葉がある訳でもなく、ナナシさんが去って行く後ろ姿を見送ったあと……。
「さっき、ナナシさん、最後になんて言ったんだろうね……?」
と、みんなに向かって声を出せば。
「確かに、よく、聞き取れませんでしたよね……? セオドアさんは、聞き取れましたか?」
と、ローラがセオドアに向かって問いかけてくれたんだけど、私たちの中で、一番耳がいいセオドアでさえも、何も聞き取れなかったみたいで……。
『いや。……残念だが、俺にもよく聞き取れなかった』という言葉がセオドアから返ってくる。
「むぅ、せっかく仲良くなれたと思ったのに。
こうも、あっさり別れることになるとは寂しいものだな……」
そうして、あまりにも珍しい、アルの“ほんの少し感傷的”とも思えるような台詞に。
ナナシさんは、アルとは趣味嗜好がぴったりで『気が合いそうな雰囲気』だったし、やっぱりアルヴィンさんのことを思って、寂しくなっちゃっているのかな、と思った私は、あえて、口元を緩めながら、明るい声を意識して、アルを励ますように……。
「ナナシさんとは、また、ファッションショーの時に会えると思うから、その時、いっぱい話したら良いんじゃないかな?」
と、声をかけた。
その言葉を聞いて、アルがいつもの明るい雰囲気を取り戻しながら……。
「うむ、そうだなっ。
これから先、二度と会えない訳でもあるまいし、そうすることにする……!」
と、弾んだ声色でそう言ってくれたのが聞こえてきて、ホッとする。
【皇女様。今度、また会う時は……、必ず】
ナナシさんがあの時『なんて言ったのか』も、次に、ファッションショーで会った時に聞けばいいし。
必然的に、ファッションショーで、ナナシさんに会うことになったら、その言葉の続きも分かるんじゃないかな……?
建国祭自体は、勿論、凄く楽しめたし、収穫とも思えるくらいに、良い出会いがあって本当に良かったな、と……。
それ以上、深く考えることをやめた私は、ナナシさんとの別れから、さっと頭の中を切り替えることにした。
……私たちと同様に、家族と建国祭を回っているエリスも、もう城に帰ってきているだろうか?
今日この日のために、一日、暇を出したから、久しぶりに会えた妹さんや弟さんと一緒に楽しんできてくれているといいな……っ。
あと、お土産も沢山購入したから、エリスも含めてまたみんなで、おやつの時間に食べることにしよう。
建国祭の間は日常とは打って変わって、私自身、バタバタと慌ただしくて、色々とやらなければいけないことも多いから、普段のように、みんなで団らんの時間を取ることは出来ないかもしれないけど。
建国祭が終われば、特に大きな予定もなく、少しホッと出来るような時間も増えてくる。
まだまだ、折り返しにはほど遠く、建国祭前半が終わってさえいないものの、明日には久しぶりに私の洋服のファンだと言ってくれたオリヴィアにも再会出来るし。
『ギゼルお兄様以外の初めて出来たお友達だから、大切にしたい……』と……。
ウキウキしていた私は、気づけなかった……。
――影もなく、ひたひたと……。
ゆっくりと、確実に……、今ある穏やかな日常が崩れてしまうような足音が、近づいていたことを……。