「菫の花の人」
あらすじにも載せましたが、佐野すみれ様に向けたオマージュ作品となっております。
九月の風が吹き渡る。
涼しげな風と少しまだ暑いような風が混ざったような、
不思議な風。
僕は、そんな風に吹かれながら立っていた。
足元には季節ではないのに菫の花が咲いていた。
ふと、その菫の花を見ていると目の前に君が立っているのに気付いた。
季節外れの菫の花を一つ摘み、自分を指差し、
そして僕を指差す。
まるで「あなたと私と一緒だね」
とでも言うように。
「君は、違うよ」
僕は首を振って俯いた。
君の周りにはいつもたくさんの人が居た。
それに比べて……。
僕は孤独だった。
そうだ確かに僕は、一人だった。
孤独だ。
そんな考えに打ちのめされていると、
君が僕の手を取って言った。
「大丈夫。あなたは一人じゃないよ」
そして菫の花を指差す。
菫の花を見ると、蝶々が止まっていた。
ひらりひらり。
鳥が鳴いて、空から傍らに降り立ち、花の周りをちょんちょんと飛び跳ねる。
そして、君が、微笑んで菫の花の側で立っていた。
ああ、そうか……。
僕は一人じゃないんだ。
「僕はもう、大丈夫なんだ」
そう言うと、
菫の花を抱いた君がより一層、美しく微笑む。
色とりどりの菫の花。
紫、白、黄色、ピンク……。
どれも綺麗で愛らしくて、咲き誇っている花たち。
君が居なくなっても、多分僕は、大丈夫だろう。
菫の花は孤独かもしれない。
僕も孤独かもしれない。
でも、周りを見れば、幾つもの命や色とりどりの世界が、この世には溢れている。
だから、大丈夫だ。
君がもう一度僕に笑いかけて、
菫の花を残してそして、消えた。
パチン。
目が覚めた。
ああ、僕は、また、君の夢を見ていたんだね……。
枕元には、一冊の本と菫の花の押し花の栞。
そして、君が微笑んでいる写真があった。
カーテンからは、朝日が差していた。
さあ、今日も一日が始まる。
僕は、これから―――。
「なろう」の世界に足を踏み入れて、本当にたくさんの人たちの詩に触れ、または作品に触れ、わたしは幸せです。
そんな感謝と尊敬の念を込めて、佐野すみれ様へのオマージュ作品を作らしていただきました。
はて、どこが?
とも思われるかもそれませんが、精一杯の思いを込めました。
いえ、決して変な意味ではありませんよ。
強調しますが、尊敬です。
訳が分からないながらも、お読みくださりありがとうございました!