新人教師×JS
「……なんでこんなことしたんだ? 山下はそんな子じゃないだろう?」
「先生まだ担任になって三ヶ月なのに、すでにわたしの性格把握してるの? すごーい!」
「いや、まあ完全にはわかってないかもしれないが……でも山下はいつも百点ばかりとってたじゃないか。なんで急にテストを白紙で提出し始めたんだ? 悩みがあるなら聞くぞ」
「……聞いて後悔しない?」
「しない」
「ほんとに?」
「ああ、約束する」
「……協力してくれる?」
「俺にできることなら」
「わかった……じゃあ言うね。あのね、わたし……こうやって先生とお話ししたかったの。だから気を引こうと思って……」
「山下……! すまなかった先生気づいてやれなくて。さあ、どんと来い! お前の話を聞かせてくれ!」
「え? いや、あの、先生とお話しするのが目的だったっていうか……」
「あぁ! 何の話をするんだ? 今日はたっぷり時間をとってあるからな! 一時間でも二時間でも聴くぞ!」
「だからその……わたし、先生のことが好きなの!」
「おお、俺も山下の事が好きだぞ! で、なんの話をするんだ?」
「…………お休みの日とか、何してるのかおしえてください」
「休みか? 休みは授業の内容を考えたり、テストの採点をしたり、たまった洗濯物を片付けたりしているな」
「……それだけ?」
「いや、もちろん飯もつくるぞ? 時間があればその辺を走ったりもしてる」
「……彼女とデートとかは?」
「先生はずっと彼女いないんだ。からかうネタがなくて悪かったな」
「ううん、じゃあ次の質問ね。……年上と年下だったらどっちが好き?」
「んーどっちかっていうと年下かなあ。俺よく子どもぽいって言われるから、すこしでも若い方が気が合いそうだし……ってそんなこと聞いてどうするんだ?」
「べ、別に! ちょっと興味があっただけ!」
「俺の話はこれくらいにして、山下の悩みを聞かせてくれ」
「……好きな人がいるの」
「ほう! 同じクラスか?」
「うん、まあ……でもその人わたしに全く興味がないみたいで……」
「うんうん、分かるぞー。先生も山下ぐらいの頃は虫捕りばっかしてたからなー。まだ恋とかは早いかもしれないなー」
「わたし諦めた方がいいのかな……?」
「そうだなー、無理に諦める必要はないんじゃないか? 本当に好きなら、相手が大人になるまで待つっていう選択もあるぞ?」
「……待つ?」
「そうだ。それでタイミングをみて告白してみるのはどうだ? 結果がどうであれ、人から好意を持たれるのは嬉しいもんだ。山下はかわいいし、その子もきっと喜ぶと思うぞ?」
「……かわいい?」
「ああ! かわいい! 自信もて!」
「……わかった、先生ありがとう。わたし待ってみることにする! あ、テストも次からは普通に答えるから。いままでごめんなさい」
「おお、また悩みがあったらいつでも聴くぞ!」