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JK×DK

「好きです佐藤くん、わたしと付き合ってください」

「ごめん、田中さん。君の気持ちには答えられない」


「……わかりました。また来週告白します」

「うん、一週間経ったところで返事は変わらないからね? てゆうか今までも週一ペースで告白されて、嬉しいどころか、正直迷惑に思い始めてるよ!」


「そんな……ひどいっ!」

「ひどいのは田中さんだよ……僕のこと『何度告白してもOKしてくれない冷たいやつ』だって友達に話してるでしょう? ……女子の視線が痛いんだよ。こないだなんか、全然知らない人に田中さんのどこが気に入らないのか小一時間問い詰められたからね? 僕のことを思ってくれてるなら、ここらできっぱり諦めてほしいんだけど……」


「それはできません」

「なぜさ!? 田中さんと僕、クラスも違うしそんなに接点ないよね!? 惚れられる覚えなんてないんだけど!?」


「あれは……わたしがこの高校に入学してまもなくのころでした……」

「ここで回想入るんだ!? 聞くよ! 聞けばいいんだろ!」


「佐藤君、インフルエンザにかかって入学式からずっと休んでましたよね? 佐藤君と同じクラスの友達から聞きました」

「……あぁ、そうだよ。みんなすっかり友達グループが出来ちゃっててさ、教室に入りにくかったなあ」


「そう、昼休みに一人お弁当を持って堂々と便所飯を決め込む佐藤君……そんな君に惚れました」

「うん、ごめんわかんないや。もう少し心の動きを説明してもらえるかな?」


「なんていうんでしょう……トイレから出てきた佐藤君の顔がやけにすっきりしていて、あぁこの人は逆境にも負けない強い人なんだって思ったのがきっかけですかね」

「トイレから出てくる人の大半が、それなりにすっきりした顔をしていると思うけどね」


「それからわたしは気が付くと、佐藤君のことを目で追っていました。授業中、部活中、下校中、就寝中……気づけば佐藤君の事を見ていたんです」

「田中さん……自分のクラスで授業受けなよ……。あとウチに監視カメラとか仕掛けてないよね? え? もしかしてご近所さん?」


「佐藤君の事を知れば知るほど、どんどん好きになっていきました。小動物が好きでよく話しかけていること、掃除当番を押し付けられた校舎裏で一人殺陣の練習をしているところ、休み時間はいつも本を開いて勉強をしているのにそれほど成績が良くないところ、ご両親が再婚してお母さんの苗字がメンドーサフェルナンデスになったこと、それをクラスのみんなにひた隠しにしていること……すべてがどストライクです」

「僕は田中さんのことを、知れば知るほどわからなくなってくるよ……」


「わたしのことがそんなに嫌いですか? 悪いところがあれば直します。だからチャンスをくださいっ!」

「……田中さんに悪いところなんてないよ。かわいいし、スタイルもいいし、明るいし、成績もいいし、先生からの評判もいいし、家もお金持ちだし、部活でも一年生ながら活躍してるし、むしろマイナスポイントが見当たらないよ……」


「だったらなんで……」

「田中さんは……完璧すぎるんだ。僕なんかとはつり合いがとれないよ。田中さんと一緒にいると、僕は自分のダメさ加減に絶望してしまうんだ」


「わたしは佐藤君の、辛いこともなんでもない風に振る舞う姿を見るだけで心が躍ります。この間の体育の授業で一人ドッヂボールの的にされて顔面キャッチしたにも関わらず、当てられても当てられても立ち上がり、顔面セーフで外野にでることも許されず、終始無表情で一時間乗り切ったあの姿、今思い出しても興奮します」

「あ、悪いとこあったわ。性格。性格が悪いよ、田中さん」


「わたしは諦めません、必ず佐藤君と結婚して一男二女を設けてみせます!」

「そこまで!? 高校生の内からそこまで考えてるの!?」


「お願いです、佐藤君。わたしと付き合ってください。あなた以上に好みの人なんてこれから先、出会えそうもありません、大好きです。なんなら愛してます」

「……負けたよ、田中さん。分かった、付き合おう」


「佐藤君……!」

「とりあえず僕たちのルールとして、学校での接触は禁止、話すのは週末に電話で三十分、メール等の返信は必要としない、お互いの生活に干渉しない、長期休みの場合は三時間程度のデートの機会を一度設ける。……これでどうかな?」


「プラトニックで素敵だと思います……! 今日からわたし達、彼氏彼女なんですね……!」

「うん、じゃあとりあえず番号とアドレス交換しようか?」


「あ、佐藤君の分は知ってますので、わたしの番号を送っておきますね」

「怖っ! 個人情報! どこで知ったのさ!? クラスの誰にも教えてないのに!」


「それは秘密ですが、個人情報の取り扱いには注意した方がいいですよ?」

「それ田中さんが言っちゃう!?」

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