入部
高校一年生の佐々木 快は部室のある並ぶ廊下を歩いていた。
「ゆるいとこねーかなー」
快は歩きながらこう言った。
快は別に部活に入りたい訳じゃない。でも将来誰かに、何部だった?と聞かれて帰宅部と答えるより、何かしらの部活名を言った方が良さげな気がする。
そんな理由で快は部活に入ろうとしている。だから彼は、ゆるい&顔を出さなくても何も言われないという条件が揃っている部活にしか入部する気はない。なるべく人数少なめがいい、とも思っていた。
ゆるそうな部活を探しブラブラ歩いていたら、いつの間にか存在すら知らない場所にたどり着いた。
え?この学校にこんな場所あったっけ?
そして、そこには1つの部室があった。
部室のドアには『イベント頑張ろう部 略してイベロー』と書いてある紙が張られている。
快は変な部活名に少し興味が湧き、部室のドアを開ける。
部室のドアを開けると、そこには薄めの金髪で顔が目の辺りまで隠れている女子生徒が椅子に座っていた。
快の方を見るなり、すかさず立ち上がり快の方に近づいてきた。
「もしかして、体験入部?」
とても大人しそうな印象を受けた。
「ではないんすけど、どんな部活なのかなーって思って」
「あ、そうなんだ。えっとじゃあ取りあえず中に入って」
薄めの金髪で目の辺りまで顔が隠れていたが、笑っているのは分かった。
二人は部室にあるテーブルをはさんで向かい合い、椅子に座った。
「この部の活動内容とか分かる?」
「いや、分かんないっす」
「この部は『イベント頑張ろう部』っていう名前の通り、学校のイベントを頑張る部活なの。イベントを頑張って楽しい思い出をつくるために」
「へえー。あのーそれで、この部は週に何回来ないといけないとかそういうのあるんすか?」
「ううん、うちの部はそういうのないよ。来るのは自由」
「あのー」
「どうしたの?」
「入部します」
「え、え?そんなに急に決めちゃって大丈夫?」
「大丈夫っす」
「あ、うん、大丈夫ならいいんだけど。でも、君がこの部を楽しそうだと思ってくれて良かった」
もちろん、快の入部動機は楽しそうだと思ったからではない。部長っぽい女子生徒がゆるそう。そして、部活には自由参加で良いからである。人数が少なそうなのも良かった。
快のやる気の無さを知らない女子生徒は、ニコニコしていた。
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