後悔
東京へと羽ばたいた祐兄。これからの祐兄の輝かしい未来が待っていたのにそこに待ち構えていたのはあまりにひどかった。信じないから。神様お願い、どうか、どうか、佑兄を・・・
「次のニュースです。東京●●●の○○で昨晩刃物を持った男性が近くにいた通行人数名に刃物を切り付けそのうち風間 祐さん(19)が殺害されました。その後犯人は----」
言葉がでなかった。
何も考えれない。いや、考えたくなかった。
兄が東京に行って数日たったある日のことだった。
昨夜、家に電話がかかってきてそれにでた母が号泣するのを見た。自分の母親が号泣すれば誰だって嫌な予感はする。だが、その時は違った。予感ではない、直感だ。
聞きたくなくて、兄とよくいたベランダへと急いだ。
聞きたくない。
耳をふさぎ私も泣いていた。家の中で父と電話の人が何かを喋っていた。母は、相変わらず泣いている。
私も泣いている。
突然 ドアが開き、そこには父が立っていた
私と母とおんなじ表情をしている
父は口を開いた
「凛、明日は学校を休め。それから…」
聞きたくない
「祐が」
やめて
「死んだ」
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「凛、テレビを消しなさい」
そういった、親戚のおじさんがこちらへと歩いてきた。しかたなくテレビを消した。
「祐君が通り魔に襲われて亡くなったと聞いたときは、悔しかったよ。あんなに努力家で優しい子は今まで見たことがなかった。とても残念だ。」
他人事のように喋るなあ・・・
今日は、兄のお葬式で親戚や兄の友達 近所の人たち、みんなが家にやってきた
母、祖母、祖父もみんな泣いていた。父は兄の顔をずっと見ていた。
私はというと、リビングからはなれ兄の顔も見ずにベランダへいた。
兄に会えると思ったから。
嘘。ホントは会えないことは知っている。いいでしょ?
現実逃避ぐらい。私の大好きなお兄ちゃんががなくなったんだから。
会いたい。話したい。離れないで。おいて行かないで。寂しいよ。
私から兄を奪ったあの男が許せない。
「返してよぉ・・・。祐兄を返してよ・・・。」
声は誰にも届かなかった
結局、兄の最後の顔も見なかった。見たらきっと、生前のころの兄の顔を思い出せなくなってしまうと思ったからだ。お葬式の時もなにも考えられなかったせいか、記憶があまりない。
あの夜に戻りたい。戻って、東京へ行く日を延長させたい。
東京へ行かないでとは、言えない。兄が大学に行きたくて勉強を死ぬ気でしていたのを知っているから。
でも、こんなことを思っても兄は帰ってこない。せめても今の私にできること・・・
「・・・神頼み」
神様なんて信じてないけど、今はなんでもいい
少しでもの希望だ、子供っぽいけどいい考えでしょ?祐兄。
神頼みをやりにきた凛。 そこにまっていたのは 狐の妖怪?!あんた誰?もしかして神様?
神様なら私のお願い叶えて!!もう一度あの日の夜に戻してちょうだい!!