そのポスター
「乗らなければ、なくなりますよ。」
車内に貼られた 赤いポスター。
忘れ物でもない、
痴漢でもない、
皮肉でもない。
単線の存廃をかけて一騎打ち、
がらんがらんの座席を睨んで拳をやあと振り上げる。
きみは忘れ物でもない、
痴漢でもない。
皮肉な顔をしているが、
皮肉でもない。
鵯越を過ぎて、
新開地に向かう電車のなかで。
神戸電鉄に初めて乗った。
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単線のために闘うポスターは、とても必死で、滑稽で、孤独に見えました。
だれが単線のために闘っているのか、
その声は届いているのか、
がらんがらんの列車は全国津々浦々、明日も走っているのでしょうね。