第2話
そういえば、戦争だ赤紙だと物騒なことを書いているこの小説ですが、作者は別に右翼でも左翼でもありません。
でも、今回の竹島とかの問題で、少しだけ右に傾いたかな…
※このページは世界観の説明となっております。面倒な方は飛ばしていただいても大丈夫…だと思います。
15年前の第二次ロシア革命の末、再びソビエト連邦社会主義連邦が誕生したのを皮切りに、米ソの関係は急激に冷え込んだ。そして、勢いに乗ったソ連がアメリカの領土に手を出したのがきっかけで、かつてから冷戦状態にあった2国はついに戦火を交えることとなったのだ。
しかし、2つの軍事大国が東西に分かれて戦いだしたのでは、世界も安定状態を保っていられない。中国・北朝鮮やその他の社会主義国はソ連に、欧米諸国はアメリカに味方し、残りの地域――東南アジアやアフリカの小さな国々は、戦争終結のための物資支援を名目に、旧国際連盟の軍部に次々と侵略されていった。
日本は憲法九条を愚直に守り通し、いかなる戦いにも参加しなかった。それが不幸を招き、連盟軍の侵略対象に日本も加わってしまったのである。高度な科学技術を有しながらも、武力を持たない日本が目を付けられたのは至極当然のこと。それが起こったのが、6年前だった。
そして数ヵ月後。ただでさえ機能していなかった日本国政府はあっけなく連盟軍の要求を受け入れた。
日本国の全土を軍事基地として提供すること――それはすなわち、日本の滅亡を意味している。
しかし、いずれ国内も戦場となるだろう。それを危惧して、政治家を始めとする希望を失いかけた大人たちは、国外の非戦闘地域へと逃亡した。
だが、砂漠の真ん中にテントだけが建てられた、一般人が生活するための非戦闘地域。そこは戦場とは言えないまでも、平穏とは程遠い場所だ。
そんなところに住むくらいなら、戦場になっても構わない、平和な日本を守り通す。そう決意し、武器を持って立ち上がったのが、当時の自衛隊員と若者――主に、学生たちだった。
そして現在、日本は独立地域と呼ばれ、亡命してきた世界各国の学生が集う理想郷となっている。
ついこの前まで独立を保っていたボストンはとうとう連盟軍に屈してしまい、世界に残っている独立地域は日本のみとなった。
だがこの整った環境も、いつ軍部に破壊されるか分からない。
脅かされる見かけだけの平和と隣り合わせに、若者たちは今日も学び、そして理想郷を守るために武器を取り、戦っている。