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心の猛り -勝者の場合(始)-
2012/08/19
今になってプロローグ追加とは…
まあ、読んでも読まなくてもどうでもいい感じになってしまうのでしょうか^^;
それでは…いまさらですが、アイディールステート:ジャパンの開幕です。
物心がついた頃から、少年の脳裏にはたびたび残虐な赤色が浮かぶようになっていた。
全てを舐め尽くす炎の色か。それとも、熱い地面に滴る血の色か。
自分でも、よく分からない。
ただ、その色を、そして音を、くすぶる匂いを思い出すとき、彼の心には何とも形容できない感覚が走るのだ。
悲しみとは違い――怒りに近いが――それともまた別物で――もっと荒々しい、狩りの前の獣のような――。
だから、自身も気付かぬ間に、復讐を誓っていた。
いつ?
…生きている間に。
どこで?
………どこでもいい。
誰に?
…………世界に。
世界だって?
………………そう、世界だ。
小さな胸に決意を秘めた、その少年の瞳にはしかし何も映っていない。
光も、闇も。
何もかも、映っていなかった。