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第二章 憂

「仲生 憂。君は月の都を知っているかい?」

憂は見知らぬ男に声をかけられ慌ててふり返った。不意に隠しようもない恐怖に襲われた。

自分を見つめる碧い瞳は深く底が見えない。

どんな反応をするのが一番安全だろう・・

悩んだが憂は応えた。

「「知らない。」」

そう応えたのは心の中。言葉を発する事のない憂はただ首を横に振っただけだった。憂は通じないと思い少しながらも口を「誰?」と動かした。男は心を読んだかのようにあっさりと自らの名を名乗った。

「ツクヨミ。僕は神だよ。」

「神?」

馬鹿げていると思いながらも憂は聞き返した。それは男が嘘を吐いているとは思えなかったからだ。

「話せるんだ?」

必死に何かを考える憂にツクヨミはふざけたように問う。

憂は「しまった。」と言う顔をして口元に手をやるが、すぐにたどたどしい言葉をつないだ。

「うん。」

憂はなにか間が悪そうな顔をした。

「稀吹には言わないでほしいんでしょ?言わないよ。」

その言葉に憂いは顔をしかめた。 

「あなたはなにを知っているの?」

憂は全てを知っているかの様に語る男に再び恐怖を覚え尋ねた。

「何でも知ってるよ。憂が昔、稀吹を好きだったことも。稀吹が急に冷たくなったわけを知りたがっていることも。だって稀吹の願いを叶えたのは僕だから。」

憂はその言葉を聞き、ツクヨミと名乗る男に掴みかかった。

「稀吹を、私が好きだった稀吹をかえしてよ。」

涙を必死に堪えていた憂にツクヨミはいった。

「僕は稀吹の願いを叶えただけだ。稀吹の願いを教えてあげるよ。それは、『異世界の作成』。」

あまりに突拍子もない言葉に憂は言葉を失った。

「なんでそんな…。」

「幼い稀吹は僕にこう言った。このままじゃ憂が壊れちゃうからあいつらのいない別の世界にって。そういったよ?どうする?このまま稀吹のコトを嫌いのまま離れ離れに生きていくの?」

ツクヨミは俯いたまま動かない憂に不気味な笑顔で問うた。


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