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完全最終章:「星に願う白星花」

白星花を雪と二人でみてからちょうど二ヶ月が経った。


雪が星になってからちょうど一ヶ月だ。


季節は少しずつ春に近づいているはずなのに、


僕の心の中だけは、あの日の雪が降り続いているようだった。


雪の部屋のベッドの横の棚を掃除していると


彼女が最後まで大切にしていたノートと、白い封筒が置かれていた。


よくみると、


封筒とノートには、彼女の小さな字で――


『黎へ』


たったそれだけ書いてある。


けれど、その文字を見るだけで、胸の奥がじんと熱くなった。


俺は封筒から読むことにした。


そして、ゆっくりと封を開けた。


中には、一枚の手紙と、小さな白星花の押し花。


『黎へ。


この一ヶ月、いや、黎と過ごした時間、本当に幸せだったよ。


たくさん笑って、たくさん泣いて、


“生きている”って、”生きていていいんだ”っって、感じられた。


白星花の願いがくれた時間は、


ほんの少しだったけど、


でも私にとっては、永遠だった。


ねぇ、黎。


黎が知りたいっていってた、銀木犀の花言葉。


教えてあげる!本当は教えるか迷ったんだけどね〜、


銀木犀の花言葉は


「初恋」


なんだ!実はね、私にとって黎が初恋の人だったんだ。


そしてね、私白星花の花言葉も調べたの。


白星花の花言葉――


“記憶と祈り”


記憶は黎と過ごした日々、


祈りは、これからを生きる黎への想い。


だからもう泣かないでね。


私はちゃんとここにいるし、ずっと黎を見守ってるよ。


あの日、記憶をなくした私が初めてあった日と同じ雪のように。


――ありがとう。大好きだよ。


雪より。』


気づけば、手紙の文字が涙でにじんでいた。


押し花をそっと手のひらに乗せると、


光を受けて、小さくきらめいた。


あの日、雪と見上げた夜空。


あのときの“白星花”が、またここに咲いた気がした。


俺は屋上に上がった。


雪が記憶をなくして初めてあった、あの場所へ。


風はまだ冷たかったけど、


空は澄みきっていて、星たちがやさしく瞬いていた。


そして、雪が大切にしてたノートもめくった。


そこには、たくさんの二人の思い出や雪の思いがたくさん書いてあった。


俺はスマホで雪のメッセージを開いた。


すると、雪から一通の動画があった。


俺はかかさず再生した。


「あー、、ちゃんと聞こえてるかな?


黎、この動画を見てる頃には私はもう星になっちゃってるかな。


黎はちゃんと生きてる?ちゃんと御飯食べれてる?ずっと泣いたりしてない?笑


黎のことだからなぁ〜ずっと泣いてそうだなぁ笑


泣くことは悪くないけど、そんなにずっと泣いてたら私かなしいな、


私が記憶をなくしたときみたいに、自分のこと責めたりしてない?


黎は自分のこと責めたりしちゃうから心配だなぁ。


私が星になっちゃうのだって、黎のせいじゃない。記憶をなくしたのだって黎のせいじゃない。


誰のせいでもないんだよ。だから、大丈夫。黎はちゃんとしたおとなになって、


なりたいっていってたお医者さんにだってきっとなれる。私が保証する!笑


私はずっと黎のことだいすきだし、絶対忘れないよ。


黎も私のこと忘れないでいてほしいな…


ずっと一緒に入れなくてごめんね…


だいすきだよ。」


懐かしい優しくて暖かい声。


優しい笑い声、暖かくてまぶしい笑顔。


最後の方は頬が涙で濡れていて、声が震えていた。


気づけば、俺は涙が溢れ、服が濡れていた。


屋上から空を見上げ、呟く。


「……雪、聞こえる?

 

俺、まだちゃんと前を向けそうにないけどさ。


 でも――ちゃんと生きるよ。雪の分も。ちゃんと生きる。


 雪がくれた記憶と祈りを、


 胸の中で咲かせながら。」


その瞬間、空からひとひらの光が降りてきた。


雪の結晶のように、花びらのように。


どこからか雪が頷いてくれたきがした。


僕はそれを見上げながら、


そっと笑った。


「……ありがとう。雪。」


白い光は夜空の中でゆっくりと溶け、


やがてひとつの星になった。


その星は、


まるで銀木犀のように、微笑むように、淡く瞬いていた。


――“白星花は、心を映す花”。


今、僕の心には確かに、


雪が咲いている。



―星に願う白星花

春の風が頬をなでる。

白星花の咲く丘の上で、僕は空を見上げた。

あの日の雪と同じ光が、空のどこかで瞬いている。

「雪、見てるか?」

そうつぶやくと、やわらかな風が髪を揺らした。

――まるで、彼女が「うん」と笑ったみたいに。

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― 新着の感想 ―
第一章を読んだら次々と読みたくなって、気づいたらもう 終わってて、そのくらい良い話でした!( ; ; ) また新しい作品楽しみにしてます!!!
2025/11/07 17:54 ゆっちゃん
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