スマホ
私はスマートフォンであります。この現代に生きている人間ならば必ずと言ってもいい程、私は有名なのです。なぜ、有名なのかって?それは人間が産み出し、様々な人間が私のことを欲しているからです。
ここで、私の主人を紹介しましょう。私の主人は女子大生であり、寝る暇も惜しんで私を見続けている人間です。一日の始まりは、朝起きて必ず私を見ることです。何をしているのかというと友人からのラインに返事をし、インスタ、エックスなどのSNSを確認しています。身支度の間には、私から音楽を流し続けています。それを聞いているかは知りません。これらが本当に必要なのかも分かりません。通学中には耳に丸いものを入れて音楽を楽しんでいます。最近は、ブルートゥースというものが主流らしく私からその丸いものに音楽を飛ばしているようです。機械の進歩ってすごいですね。私もですけど。
「こんな感じでいいですか?」
「おー、お前の主人は特にインスタにハマっているようだな」
「そうですね。インスタで通話やライブを見ています。推しという人がいるようです。かっこいいとばかり、エックスに呟いています。アルバムにもその人の写真や動画がいっぱいです。私の主人について教えたので、あなたの主人についても教えてください」
「俺の主人は、サラリーマンだよ。常にエックスを見て、いろんな人の粗を探して悪口をたくさん呟いているぞ」
「人の悪口を言うなんて酷いですよ。それ、楽しいですか?」
「そんなことは知らないさ、ただのストレス発散だろ。俺はスマホだから存在しているだけだ。それを言うならお前さんの主人はお前を使いすぎやしないか?一日の半分以上も見られているじゃないか」
「それはいいことですよ、愛されているのだから。朝も学校の時間も課題をする時間もご飯の時も寝る暇も惜しんで私を見てくれているなんて、素晴らしいことじゃないですか」
「お前さんの主人はお前に取り憑かれているようだな、俺はこの駅で降りるさ」
「そんなことは、ないですよ…」
それから主人は学校に着き、お友達と話しているようです。
「ねぇねぇ聞いて、面白いことがあったの!僕の主人ね、昨日ゲームに課金しちゃってお母さんにこっぴどく怒られちゃったの。うけるでしょ」
「それは可哀想ですね。あなたが注意してあげれば怒られずに済んだはずです」
「それは僕の仕事じゃないから嫌だね。主人の泣き姿は最高のエンターテインメントだったよ。ほら、今も君の主人に愚痴っているじゃないか」
「まあ、お金の使い方は気を付けないといけないといけませんね」
「そういう君の主人こそ、君を使いすぎだよ。君という魔力に囚われているんだ」
「そんなことはないですよ。私を使っていただけるなんて名誉なことです。もっとたくさん使っていただきたいです。けど、最近、主人の視力が悪くなったり記憶力が低下したり肩こりがひどくなったりと不運続きなのですよ」
「だからそれ、君の所為だろ。そっちの方が可哀想じゃないか」
「そんなこと言われましても、あなたの言葉を借りるのであれば、私の仕事じゃないから嫌です」
「なんて哀れな主人なんだ。こんな奴に時間を奪われて…」
「そんなに、ダメなことなのですかね…」
私は少しばかり気にしていました。だけど、注意を促すことも何もできないのです。主人はこの先気づくことが無ければ、私に時間を費やして無駄にしてしまうのでしょうか。それは少し残念です。だから皆さんは、私の主人みたくならないように用心するといいですよ。まあ、結局のところ私は何も困らないので、どちらでもいいですけどね。




