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伝染都市アジュール  作者: 六波羅朱雀
プロローグ
1/35

00.始まりの都市

中学生の時に書いた作品です。文庫へ応募するにはやや短いので、ここらで供養を。

とはいえ、いずれ他作品も書いて「都市シリーズ」として確立させたいのです。

ひとまず、完成までもう作られています。すぐに全話(30ちょっと)投稿しますので、お楽しみください。


──【伝染都市アジュール】。


それはこの国、いや。この星において最初に悲劇の起きた都市。


今からおよそ千年前。


人類を救うために人類が生み出したものが人類に牙をむいた最初の都市である。


全ては2089年9月19日。

南の国メビーリアで謎のウイルスが蔓延し、多くの人々が命を落としたことから始まる。


世界中の人々はその謎のウイルスを恐れ、無限を意味するインフィニティから《インフィニ》と名付けた。


やがて《インフィニ》はメビーリアだけでなく世界中に蔓延を始める。

各国の大統領たちはこぞって研究者を集め、一刻も早くこのウイルスを排除すべく全力を注いだ。


しかし二年が経った頃。

一向に見つからない特効薬とワクチン。

そして止まることなく猛威をふるい続ける《インフィニ》。

 

人々は諦めた。


2092年1月14日。

ウイルスの発現から二年半余りがたった頃。

世界中のトップたち百八十九人は、宗教も、人種も、戦争も、因縁も、国の大きさも強さも。その全てを忘れて同盟を組んだ。

 

そうしてできたのが、【世界同盟ミカエル】。

ミカエルは戦争や災難の時に出現するとされている天使の名である。


この同盟で行うことはただ一つ。

特効薬を探すのではない。

ワクチンを作るのではない。

 

ただひたすらに。

《インフィニ》を喰らう、《インフィニ》を滅ぼすウイルスを作るのだ。


研究が始まって二年が経とうという頃。研究は成果を出そうとしていた。人類の努力の結晶であるウイルスが誕生したのだった。名はまだ決まっておらず、番号で呼ばれていた。


実験に実験を重ねた結果、そのウイルスは人間に無害であるとされた。

 

そして2095年9月19日。

すべての始まりである919騒動から六年目の日。

そのウイルスは小瓶の中より世界に解き放たれた。


その後世界中へ広まったそのウイルスは順調に《インフィニ》を喰らい、死者の数は百万、十万、一万、千、百、十、一。


そしてついに0に辿り着き、《インフィニ》は消滅した。

 

世界に平和が戻った。

 

そのはず、だった。

 

2099年12月9日。

大都市アジュールで一人の女性が不審な死に方をした。

外傷はない。ならば、事件に巻きこまれたわけではないのだろう。

病気ではない。女性に持病はなく、《インフィニ》に感染したわけでもない。《インフィニ》はしっかり滅びていた。

 

では、真実はいかに?

 

結局、女性は普通に葬儀が執り行われた。

 

しかし数日後。同じような不審な亡くなり方の人間が十六人ほど報告された。

 

二十人、四十五人、百十人、五百六十人、千人。

 

世界中にそれは広まり、やがて一週間で四万人の死者を出した。

 

大都市アジュールの市長は専門家やら研究者やらを呼び調査を行った。

 

そうして分かったことは。


人々は皆、ウイルスに感染していた。

それも、《インフィニ》を喰らったあのウイルスに。

 

少しずつそのウイルスは《ラファエル》と呼ばれるようになった。

聖ラファエルの紋章は青色の地に銀の杖と金の旅用の肩掛け鞄。そしてアジュールは青を表す語。


青色の地アジュールに銀の杖ウイルス。

 

《ラファエル》は《インフィニ》を喰らって強いウイルスへと進化していた。そのため、当初は人体に無害であるとされたのにもかかわらず今では牙をむいたのだ。きっと獲物であった《インフィニ》が滅び、人へとターゲットを変えたのだろう。ウイルスとて生物のようなもの。滅びたくなどない。


もう誰にも、止められなかった。

 

そもそも《インフィニ》でさえ攻略できずに無理やり解決した人類に、それを喰らった《ラファエル》を何とかできるわけがなかった。

 

こうして人類は少しずつ衰退の道を辿り始める。

とはいえ滅びたわけではなく、わずかに生き延びた人間もいる。

この千年で人間にも多少の抗体はついて。

ウイルスの薄い場所であれば生きていけた。濃い場所はもちろん最初の都市アジュール。

 


──故に、その場所は【伝染都市アジュール】と呼ばれている。


こんな感じの世界で冒険する少年少女の物語です。そこまで長編ではないですし、ぜひ最後までお付き合いください。

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