土属性を極めし菊地、転生して菊池になったため今度は水属性で無双します!第14話『菊池、覚醒する』
【前回までのあらすじ】
水属性使いにとって天敵でもある、雷属性使いの狂戦士『雷鳴の黒騎士テラディン』と戦う事になった菊池。彼の水属性攻撃は全て弾かれ、テラディンの雷魔法が菊池を襲う!
これまでかと思ったその瞬間、黒騎士テラディンは砂埃の中に無傷で佇む菊池の姿を見た!!
「そんなわけがない……『雷属性』は『水属性』の天敵……たとえLV99の水属性使いであっても、LV一桁の雷属性に致命傷を負わせられる事も少なくない……これは自然の摂理なんだ……ならなぜ……なぜこいつは、今立っていられるんだ!」
雷鳴の黒騎士テラディンが叫んだ。
「これが答えさ」
俺が右手を地面にかざす。その瞬間、土の壁が俺の前に聳え立つ。
「これは、土属性の最高位魔法『大地の城壁』! なぜ水属性のお前がそれを!?」
テラデインは驚愕の声を上げる。
「どういう事だ、菊池!?」
火属性使いの熱血男子メラミンが、口の端から流れ出た血を拭って叫んだ。
「あなたは水属性使いじゃなかったのですか、菊池くん!?」
風属性使いの眼鏡巨乳美女のエアリーは、ズレた眼鏡を直しながら問う。
「菊池のアニキは、多属性の使い手だったでやんすか!?」
舎弟キャラの草属性使いヤンボーが、出っ歯を尖らせ、唾を飛ばしながら喚く。
「おいおい、おしゃべりしてる場合じゃねーだろ?」
俺は狼狽する仲間達の声を片手で制して、鋭い目で雷鳴の黒騎士を睨みつける。
「ありえない! ありえないっ!!」
黒騎士テラディンが右手を振り下ろすと、幾つもの光の矢が空中に出現し、俺に向かって降り注いだ。
ズバババン!
ズババババババババン!
その雷を、俺は土属性魔法で壁を作り出して防ぐ。
黒騎士テラディンの言葉を借りるなら、『土属性』は『雷属性』の天敵だ。
ましてや俺は、前世で土属性を極めし男『菊地』!
こんなチンケな雷にやられはしない!
「はぁ……はぁ……なっ!!」
砂埃の中に、無傷な俺の姿を見た黒騎士テラディンは、顔を引き攣らせた。
「もう終わりか?」
「黙れ! 黙れぇ!」
「今度はこっちの番だ。お前のその残り少ない魔力、自分の身を守るために使ったほ方がいいと思うぜ?」
俺は右手を空に掲げ、左手で地面を指し示す。
空中には水の玉が生まれ、地面からは土が隆起する。
水属性の利点は変幻自在な事だが、攻撃力は若干心許ない。対する土属性は鈍重ではあるが、高い攻撃力を誇る。
この二つの属性魔法を掛け合わせれば、2つの利点を活かした究極の技と成る!
「菊池! 何だその技は!!」
「菊池くん! あなたは一体……!?」
「やっぱり菊池のアニキは最強でやんす!」
仲間たちの声が、二つの魔法の共鳴によってかき消される!
「いっけえええええ! 究極双属性魔法『最強神菊池が生み出せし天地創造の土石流』
土と巨岩を纏った水流が黒騎士テラディンを襲う!
「ぐわあああああ! ば、ばかなあああああああ!」
「くだけちれぇぇぇえええええ!」
「ぐあああああああああああ! きくちいいいいいい!」
もみくちゃになりながら、断末魔の叫びを上げる黒騎士テラディン!!
その声は土砂と共に遠ざかっていく……
「すごい……さすが菊池くん、好き」
眼鏡で巨乳で生足でミニスカートでエロボイスで俺の事が大好きな風属性使いのエアリーが、俺に駆け寄り頬にキスをした。
「やれやれ、困ったもんだぜ」
二の腕に巨乳を押し付けてくるエアリーの頭を撫でながら、俺は全てを飲み込み、押し流し、地平の彼方へと消えていく『ファイナル•ウェーブ』に、目を細めるのだった。
『土属性を極めし菊地、転生して菊池になったため今度は水属性で無双します!』は今回で終了となります。幕田先生の次回作にご期待ください。