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第六話 墓とトラミタウン

『凱旋のエトワープ』構想企画中

『スレッドとレスポンス』構想企画中

途中、何かあったら頓挫する可能性があります。



『滝壺のダイダン』前回までのあらすじ


この物語の主人公ダイダンが住む滝の渓谷で、

リーダーのトピラーが衝撃的な演説事件を起こす。

「人は産まれながら他者を殺したい生き物なのだ」と言い、その後トピラー含め村中の人々が失踪。

失踪した村人を探すべく友達のケースと動き出したダイダンであったが、体中尖った硬質物に覆われたキリン、通称呪われキリンに遭遇し追いかけられる。

なんとか逃げ切った2人はトンボムシと再会を果たし故郷を旅立つ。

旅の途中雨が降り、ケースに雷が落下した。

ケースを助けようとした矢先、謎の大男ガリルレロによってケースは全身氷漬けにされ、さらわれる。

ガリルレロに体の一部を氷漬けにされてしまったダイダンとトンボムシは猿の群れに負けトロッコに乗せられ鉱山へ。

ダイダンとトンボムシはジンロウという男に会い、トラミタウンという場所がある事を知る。

2人を待っているものとは?


ダイダン  この物語の主人公、水能力が使える。

ケース   ダイダンの友達

トピラー  滝の渓谷という村のリーダー

トンボムシ 眼鏡をかけた本好きの少年

ガリルレロ 氷能力が使える大柄な男

ダイダンとトンボムシは洞窟出口のトイレで用を足していた。

「朝といったらこれだよな」

「そうでしょうか?」

「よし、そろそろ行くか」

「待ってください、手を洗ったら歯磨きしましょう」



「なんだ?この並んで置いてある白い石は

向こうにでっけえ石があるぞ!トンボムシ」


「これは・・・一体なんでしょうね?下手に触らない方がいいかもしれません」


「もう触っちゃった☆」


「ダイダンのおばか!」



すると何か音がした。

カチカチカチカチチッチッチッと、音がする。


「いてっ」

矢のような物体が飛んできた。

「な、なんだ!?」

「一番大きな石に!石に触ったら、何かが飛んできました!」

ガサガサと茂みが音を立てる。


やがて茂みから出てきたのはの薔薇バラ)の花畑であった。


「なんだ?この赤いやつは?花か?」

 

「美しい・・・ですがしかし美しい花には棘があるって聞きます!」

再び飛んできた。

「いててて」

「痛いです

とりあえず、どうにかしませんと!

・・・うん?」


「どうしたんだ?トンボムシ」

「氷ですよ!体が凍ってる部分は棘が当たらないんです!」


「なに?そうか!よし!」


ダイダンは凍った脚を振り回し、棘をはじく。

 

しばらくすると棘が飛んでこなくなった。


「ん?やんだぞ」


「インターバル・・・でしょうか?わかりません」

ガサガサと薔薇の花畑の方から音がする。


「ん?今度は人の気配がします」

トンボムシが何かを掴んだ。

「捕まえました!」

「お、いいぞトンボムシ」


「痛い!放すんじゃ!」


そこにいたのは一人の老婆だった。

モーブ色の服を着た背筋が曲がった老婆であった。

60歳はゆうに過ぎている。


「なにすんじゃ!棘を追加してる最中になのに!

お前さんがたを退治してやる!」


「なにすんだってのは、こっちのセリフだ!

なんで棘ぶつけてくるんだ!」

ダイダンは怒鳴る。


「おまえさんがカゲロウの墓を勝手に触るからじゃろうが!」


「カゲロウ?」


「そうじゃ、カゲロウはあたしの夫じゃ」


「トンボムシ、墓ってなんだっけ」


「本で読んだ知識ですが、恐らく死んだ人が眠って置かれてる場所です」


「どういうことだ?」


「もう生きられなくなった人が埋まって、とむら)われている場所の事だと思います」


「人は生きられなくなっても、いつか復活するとは聞いていたけど・・・そうだったのか」


ダイダンは再び質問する。


「弔うってなんだ?」

トンボムシはズコーとずっこけた。


「弔うっていうのは、悲しみいたむことです」


「そうなのか

 墓ってこんなに大きいものなのか?」

 

「いいや、これは古墳じゃ」


「古墳?」


「そうじゃ古墳じゃ、偉い人の墓は大きいんじゃ

カゲロウはトラミタウンのリーダーだった男じゃからの」


「トラミタウン!?俺たちそこに用があるんだ

それはどこにあるんだ?」


「んん、誰にもわからん者にそんな事、教えるわけにいかん」


「俺たち、ジンロウって人にトラミタウンってとこがあるって教えてもらって」


「なに!?ジンロウに!?・・・そうか・・・そうか、ならこれを手伝ってくれたら案内してやってもよい」


「なんだそれ?」


「墓守のからくりじゃ、

お前さんたち、棘の交換を手伝え」


「手伝いましょう!トピラーだって人を助けてました。トピラーだったら・・・演説事件前のトピラーだったらそうしてました」


「演説事件後のトピラーは信用できないか?」


「ダイダンはどう思ってるんですか?」


「うーん」


「・・・」


「わかんねえ」


「そうですよね」


「なんだ、お前さん達、事件などと物騒な話をしておるが」


「いや、まあ、その」


「細かい事は知らんが100の信用より1の裏切りと言うからの」


「そうなんですか」


「なー、どうすればいいんだ?」


「そうですね!今は手伝いましょう!」


「ほれ、これをこうしてこうしての」


「へー、これで俺たちを攻撃してたのか」


                 ・・・・・

「いやいやいや、しっかしの、こんながきっちょに負けるとはの

改良の余地があるみたいじゃの」


「あ!」


「どうした?トンボムシ」


「この薔薇の棘、僕たちの氷にも少し刺さってます」


「なに!?本当だ!すげえな!婆さん」


「ほほーー!ほほっ、

あたしの薔薇の棘も捨てたもんじゃなかろう?」


老婆は氷に目を向けて再び口を開いた。

「して、お前さんたち、その氷はどうした?

誰かの魔法か?」


「ガリルレロって人に・・・」


「ガリルレロ・・・はて、どこかで聞いたような、誰じゃったかいの」



「墓より南に行くと丘があってな、トラミタウンへはその丘の上へ行くんじゃ」


「へえ、こんな背の曲がった婆さんが丘を上るなんて、やるな」


「ほっほっほ、ほれ、ここらで朝飯じゃ」


老婆は包みからハンバーガーとポテトを取り出した。

生地と生地の間には肉とトマト、トレビスが挟まっている。


「腹ペコだぜ」

「食べましょう」



そして食べ終わると、再び丘を上る。


老婆は言った。

「さあ、トラミタウンじゃ」


目の前には門と石垣が立ちはだかっていた。

門番が立っている。

帽子を深く被る男は、こんぼうを振り回しながら言った。

「誰だ!そこの小僧2人!見知らぬ!人間を!この町に!入れることは!でき!ない!」


「ダイダンだ」


「トンボムシです」


「ダイダンにトンボムシ?聞かない名だな」


「ジンロウという人に言われて来たんです」


「なに!?

・・・しかし!しかしだな!証拠はあるのか?

証拠は」


「あ」


「無いですね」

トンボムシは困りながら答えた。


「ほっほっほっ、こやつらの通行はわしが許す」


「これは!

これは!これは!失礼しました!

どうぞ!お通り!ください!」

ブンブンとこんぼうを振り回しながら言う。



「やったぜトンボムシ」


(この門番、大丈夫かな?

色んな意味で)

トンボムシは心の中で思った。


ダイダンとトンボムシは、トラミタウンの入口に近いトイレの場所を教えてもらった。


「じゃあ、あたしゃもう行くからの」


「ああ、楽しかったぜ、婆さん」


「ありがとうございました」



しばらく歩くと町の中心に行くにつれて坂道を下り階段を降りる。


「町の奥に行くにつれて坂道下っていくぞ」


その先には、噴水広場があった。


「はー、滝の渓谷と違うな」

「町の中心は低い位置にあるみたいですね」


腕を上げている1人の男がいた。名をボトルと言う。

広場の噴水からだけでなく、色んな足元から水を発生させていた。


噴水広場ではゴム製や革製のズボンを履いた人や水着を用いた人達がおり、もも裏、背中に水を当てられ宙を舞っていた。


「ん?見慣れない顔だなお前ら」

ダイダンとトンボムシに気づいた1人の男が言った。


男は上げていた腕を下ろす。

すると噴水の勢いは弱まり人々は地に降りた。


「えー、もうおしまーい?」


「すまんな、ちょっと待っててくれな

ほれ、飴だ、雨は降らねえが」


「雨・・・そうだ、昨日雨が降った時、力がみなぎったんだ

おい、あんちゃん、その能力、俺と同じか?」

ダイダンは問う。


「かもな」

男は答える。


「じゃあ、俺にもそれ!できるか!?」


「ダイダン、口調が門番の人に似てますよ、似ちゃってますよ」


「すぐにはマスターできないだろうな」


男はそう言いながらアドバイスを試みる。


「俺はボトルっていうんだ、お前たちは?」


「ダイダン」


「トンボムシです」


「どこでこの町を知ったんだ?」

ボトルはダイダンとトンボムシに問う。


「鉱山の洞窟の入り口でジンロウって人に聞いたんだ」


「なに!?そうだったのか」


「なあ、さっきの下から上に水が出てくるのどうやってたんだ?」


「噴水のことか?」


「ああ、多分それ。

どうやってたんだ?」


「ふふふ、それは秘密だ、企業秘密だ」


「えー」


「えー」


「ジョーダンだ」


「・・・」


「・・・」


「まあ、俺と同じ能力ならできるかもな」


「コツを教えてくれ」


「イメージは大事だな」


「イメージか」


「イメージですか」


「通常、水というのは上から下に行くものだな。

コップや桶の水、雨もそうだし川もそうだ」 

ボトルが説明する中、ダイダンが叫んだ。

「滝もだな!」


「! 

ああ、そうだな」

ボトルは驚いた様子で答えた。


「しかしこの技は下から上に水が出るイメージだ

まずは両腕をぶらんと下ろす」


「下ろしたぜ」


「下ろしました」


「そしたら腕を外側に広げ両手も広げる」


「やったぞ、それからどうやるんだ?」


「イメージしながら手を広げていく」


「んんんんんんんんんん、無理です、僕にはできません」


その時、ダイダンの目の前で水が集まり、少しだけ荒っぽく水が下から上へと噴き出た。


「やった!やったぞ!」


「おお、初めてにしては上出来だ」


「やりましたね!ダイダン!

僕には出来ませんでした」


「まあ、あれだな、向き不向きがあるっつーか、

出来ない人も何人だっている」


「ねーまだー」

子供達が噴水の技を持つ男、ボトルを待っていた


「じゃあな、お前たち」


「ボトルのあんちゃん、ありがとう」


「ボトルさん、ありがとうございました」



「ボトルか、ボトルは自分の技でお金を稼いでいるのかな」


「さあ、でもきっと、恐らくそうなんでしょうね」


「この技を猿どもにぶつけて俺の武器を取り返す!」


「ダイダンの武器・・・鎌を取り返すんですね」


「ああ」


「ま!それにはまずこの歩きづれえ氷をどうにかしたいな

にしても、寝る時すら靴履きっぱなしだったから疲れた」


ダイダンはベンチに座り、靴を脱ぎ、足の指を広げた。


「くっさいわね」


「!?」

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