表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の王子といばら姫  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/27

第二十五話

 僕達を出迎えた女性が微笑んでいる。歳の頃は何歳だろう?10代の少女にも見えるし、20代後半にも見える。僕が今までに見た事のない風貌で、この国では見かけた事のない面差しだ。何となく猫を想像させられる女性だった。艶やかな黒髪を結って頭の後ろで束ねている。それに僕達が来る事を予見していたような発言も気になった。少し考えていると…

「お二人さん、旅の証書をお持ちよね?私はこの店の主のマキア…マキア・イシタハよ。まずは、身なりを確認しようじゃないか」透き通ったような声で言われた。

 僕は懐から証書を取り出すと、ドライハルも同様に取り出していた。

「これでいいですか?」そう言い差し出した。

 女性は受け取り、何やら考えがあったらしく、予想外の事を言った。

「アッシュ・ノイタルか。あんた、これ名も姓も偽名…まあ、いいわ。赤髪のお兄さんは、ドライハル・ギルモンドね。うん、こっちは本物だわ」そう言い、一人で何やら頷いて納得している。

 確かに、僕は『アシュレイ』が正しいらしく、姓はわからなかったので、テルザおばさんから『ノイタル』の姓を借りていた。これは、おばさん始め、長老ドイスムが姓がわからないとこの先困るだろうからと、おばさんの姓を名乗るようにと、証書もそれで出してくれた。

 でも、どうしてそれがわかったんだろう?僕の偽名だけじゃなく、ドライハルの名前が正しい事もわかっていたような事だったけど。

 そして、それが何となくわかったのは、先に述べた告占がどんなものかを教えてくれたからだけど、その前に色々とあった…


「まあ、まあ、お二人さん。そんな怪しい者を見るような目付きはおやめなさい。全部説明するわ…その前に…う、ちょっと臭うわね。まずは、湯あみよ、湯あみ。お入りなさい」

 そう言われれば、僕達は…自分だとわかんないけど、ちょっと臭うのかな?確かに旅路の途中では、川や湖で少し行水するだけだったし。でも、そんなに…と思い、ドライハルの様子を伺った。 

「ドライハル、僕達、そんなに臭うかな?」

ドライハルは、自分の腕の臭いを嗅ごうとして「そうかも…」全部言い終えるまでに止められてしまった。

「皆、お二人をお願いね。湯あみよ。ご案内して」マキアが言い両手を叩いた。楽器の演奏が再開しらたしく、不思議な音色が囁くように鳴りだ出した。

 店の奥から「へい、がってん」男達が出るや、僕達は拉致されるように店の奥に連れて行かれた。

 男達は、皆筋骨隆々で、抵抗しようにも何ともならない。

「ちょ、ちょっ待っ…」

「おい、何だ、何…うわっ…」

 抵抗する術なく連れ去られた。

「がってん。がってん。湯あみでやんす。湯あみでやんす」

 男達に連れ去られる。店の奥へ奥へと…突き当りに大きな木製のドアらしきものが見えた。

「お入りになって下せえ。お背中お流し致しやす。ささ、お入りになって下せえ」

 もう、どうにもならならしいので、腹を決めた。確かに、ちょっと臭うかも。湯あみをすれば、身も心も綺麗にに旅の疲れも落とせそうだと思ったから。

 木製のドアを開けようとしたら、男の一人に止められた

「あっしらにお任せ下せえ」そう言いドアを開けてくれた。

 本当に何が何やらで、どうにもならないらしい。開けられたドアから入る。ドライハルもちょっと警戒しながら入った。


 しかし、僕達は想像していなかった光景を見る事になった。湯あみなんだけど、ただ湯を掛けるだけの部屋ではなかったからだ。広々とした部屋で、部屋の外には庭みたいなものも見えて、そこには小さな池のようなものまで見えたからだ。外が見れたのは、庭に接する壁に大きな硝子がはまっていたからだ。ここまで大きな硝子は見た事無い。

「庭は当店自慢の天然温泉でやんす。まずは、お身体を洗って下せえ。お背中お流し致しやす。ささ、壁際へどうぞ」

 壁際には、洗い場みたいなものがあり、桶みたいな椅子?みたいなものがあった。座ればいいのかな?戸惑っていると「お着物お脱ぎ下せえ。お座り下せえ。ささ、どうぞ」ドアを入って直ぐに、棚があり、籠のようなものがあるので、ここで脱ぐらしい。あれは椅子で、座るらしい。

「わかりました」観念した。

 ドライハルは…「そう…だな」同じく、観念したようだ。

 衣類を脱いで籠へ入れた。そして、洗い場だろう壁際の椅子に座った。

「綺麗に致しやす。綺麗に致しやす。お背中お流し致しやす」

 そして、男衆が元気よく何やら歌い出した。それは、どこか懐かしいような不思議な、どこかの異国の言葉の僕の知らない歌だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ