表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の王子といばら姫  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/27

第十話

 ドライハルの長老の別邸を後にして、うさぎの尻尾亭に戻った。

「どうだった?順調かい?」

 テルザおばさんが真剣そうに、僕の顔を覗き込む。

「うん、順調順調。明日からズグー乗りの特訓だけど、大丈夫だと思うよ」

 ツシールの優し気な瞳を思い出す。

「そう、じゃあ、晩御飯を食べたら片付けはいいから、気持ちの整理をするといい」

「そうだね。おばさん、ありがとう」

 そう言い、晩御飯を急いで食べて自分の部屋に向かった。

 少しの緊張と恐れの混じった、複雑な気持ちのままで。ベッドに横になり、うつらうつらとしていたら、眠りに落ちた。


 …我を…強く…求め…願え…希望を…見せ…

 …さすれば…そなたの…力と…我は…助けと…なるであ…

 …我は…希望の…なりて…そなたの…希望を…叶え…

 

 夢か…また僕は夢を見ていたらしい。以前に見た夢のようだけど、ただただ頭の中に不気味な声が響くだけだった。見えるものは一切なく、僕は夢の中で、黒い靄のようなもので包まれていた。

 何なんだ一体。気づかず薄っすらとであるが冷や汗をかいていた。


 変な夢を見たせいで頭が少し重い。1階に降りて洗面所で顔を洗った。少し気分が晴れたような気がする。

「おはよう、アッシュ。良く眠れ…なかったのかい?」

「ちょっとね。大丈夫。テルザおばさん、ありがとう」

 心配させるといけないので、本当のことは言えない。

「朝食の準備は出来てるから、まずは腹ごしらえだ。たくさん食べておくれよ」

 おばさんの手料理は、優しい味付けで美味しいので大好きだ。

「遠慮なくいただきます」

「召し上がれ」

 そう会話を交わし、僕は夢中で朝食を食べた。お腹に入れた事もあり、不安な気持ちも和らいだような気もする。

「ごちそうさま。じゃあ、行って来るね」

「ああ、行っておいで。ズグー乗りの特訓だったね。無理して怪我するんじゃないよ」

「大丈夫、大丈夫。ドライハルもいるし、ツシールは大人しいから。それに僕はもう、ツシールが大好きになったんだ」

「ツシールって、何だい?」

「僕のズグーの名前だよ。優しい目をしたズグーなんだ」

 おばさんは、ちょっとほっとしたかのようである。

「じゃあ、大丈夫だね。行っておいで」

「うん、行って来ます」


 ギルモンド家の別宅は町のやや端だが、今から行けば昼前には着ける。肩に掛けた鞄には、おばさんが用意してくれた、お弁当が入っている。前に通った通りの道を進み、予定通り昼前には別宅に着いた。特訓は昼過ぎからなので、前庭にある椅子のような石に座って、お弁当を食べて人心地ついた。

「おう、アッシュ。予定通りだな。うん、関心関心。じゃあ、始めるとするか」

 そう言いながら現れたのは、ドライハルである。ドライハルが指笛を吹くと、ズグーがすっと現れた。ツシールの子、サシーだ。

 ドライハルみたいに吹けないけど、僕も指笛を吹いた。音もなく、ツシールが現れた。

「良かった。来てくれたんだね、ツシール。嬉しいよ」

 そう、ツシールに話し掛けると、「キュイー」とツシールとサシーが、示し合わせたかのように鳴いた。

「よろしくね、ツシール」


 そうして、本格的な特訓が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ