表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の王子といばら姫  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/27

第九話<相棒>

 ズグーは基本大人しい動物だ。俊敏で2本の角がその特徴でもあった。4足歩行であり、背丈は人間の大人より、やや大きい。全身には体毛があって、暑い季節は栗毛色の短毛で、寒くなると銀色の長毛になる換毛種でもあるらしい。

 僕はこれから出発までの2週間で、ズグーを乗りこなさないといけない。だけど、大きかった。知ってはいたけど、目の前のズグーは僕の知っている、うさぎの尻尾亭の客の連れるズグーや町でたまに見かけるズグーより一回り大きい。つぶらなつぶらな瞳がじっと僕を見詰めている。

 実はこんなやり取りがあった。

 朝の内に荷をまとめて、まずはドライハルの家である長老の家に向かったのだ。それを僕と当の本人以外は知らない。

「こんにちは。アッシュです」少し遠慮気味に門扉向かってに言った。

 反応は直ぐにあった。

「おう、アッシュ。来たか。心の準備はいいようだな。早速だが、ズグー乗りの特訓をするぞ」

「うん、よろしくね」

「任せておけ。じいさんの別宅に預けてあるから、まずはそこに行こう」

 ドライハルは、何故か自慢げにそう言った。その後を町のやや端にある別宅に向かってついて行った。僕は知らないので、初めて訪れる場所だ。


 そして、その自慢げな理由が、広々とした平屋造りの別宅の前庭にいた、目の前の大きなズグーだった。ドライハルは、その手綱を握っている。

「ねえ?ドライハル?その…ちょっと大きいよね?僕の知ってるズグーより大きいんだけど?」

 大きなズグーの手綱を握ったドライハルは、やはり自慢げに見える。僕がおかしくて間違っているのだろうか?

「うんうん、大きいだろう?ここまで大きなズグーは、中々いないぞ」

 やはり、自慢げである。

「いや、大きいよ。というか、大き過ぎない?僕にこんな大きなズグーを乗りこなせると思っているの?」

 ドライハルは何やらニヤニヤしている。そして、こう言った。

「ズグーはな。相性ってものがあって、ズグーは人の…そうだな。人の良し悪しを読む動物なんだよ。だから、大きさは関係ない。俺が思うに、お前なら大丈夫だと思うぞ。それに、ズグーは大きければ大きい程に乗り心地は良いのだ」

 そう言い、ドライハルは『ピュー』と指笛を吹いた。その時、大きなズグーの後ろから、一頭のズグーが現れた。そのズグーは頭をドライハルにピタッとくっつけている。

「こいつに先に懐かれてしまってな。これは子でその大きなズグーは、こいつの親なんだよ。だから、一緒がいいと思ったんだ。こいつの名はサシー。大きなやつは親のツシールだ。呼んでやれよ。喜ぶと思うぞ」

 ツシールと視線が合った。よく見ると、優しそうな瞳が僕を見詰めているのがわかる。

恐る恐る「ツシール、僕はアッシュ。これからよろしくね」

 つぶらな瞳が笑ったかのように見えた、瞬間にツシールは「キュイー」と鳴いた。か、可愛いな。ツシールは頭を摺り寄せて来る。本当に可愛い。それに寄せた頭の体温が温かい。心からそう思った。これならきっと大丈夫。晩夏で出会った、ツシールの全身は栗毛色の短毛で覆われていた。

「じゃあ、特訓は明日からだな。また昼過ぎにここに来い」

「わたった。よろしくね、ドライハル。それと、ツシールもよろしくね」

 ツシールは理解してくれたのか「キュイー」と一声鳴いた。

 そんなこんなで僕のズグー乗りの特訓が始まった。それがこれからの相棒とも言える、ツシールとの出会いでもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ