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カオスワールドな教室

次の日、教室に入ると一部がカオスワールドと化していた。


「ねぇねぇ、白城っていつコウと仲良くなったのー?」

「えっ…?」

「あー、それ俺も気になってた」

「確かにコウって初対面の人でも余裕で話せるようなやつだけど、白城と喋ってるとこ最近まで見た事なかったし」


何かあったのかなーって気になってさ、と白城の前の席に座るリョウ。そしてその隣でジーっと白城を見るレンと、窓枠に腰掛けて三人の様子を見ているソウ。


え、何あの空間…。


クラスのヤツらも少し離れながら様子を見ているようだった。近くにいた藤川に聞いてみると、藤川が教室に入った時には既にこの状態だったらしい。藤川はクラスの中でも早く登校するヤツだから、かなり長い時間あの状態なのだろう。白城も周りも可哀想すぎる。

俺は溜息を吐いて、カオスワールドに近づいた。


「はよ。朝から何してんだよお前ら」

「はよ!いやー、昨日コウが何で仲良くなったか教えてくれなかったから白城に聞いてみるかなーって」

「あほか、白城ビビってんじゃん。傍から見たら尋問だったぞ」

「えっ、白城ごめん!そんなつもりじゃなかったんだ…」

「いえ、大丈夫ですから…」


リョウにチョップをかます。するとシュン…、と頭に犬の耳が見えた。本当に尋問するつもりなど無かったのがわかる。白城もそんなリョウの様子にアワアワしている。


「もー、だから言ったでしょ。コウに怒られるよーって」


そう言ってリョウの頭を撫でるレン。もうしちゃダメよー、なんて言っている。


「いやいやいや、お前も同罪だろ!」

「え、そう?」

「そうだよ!そこで傍観してるソウもな!お前らのせいで教室にカオスワールド爆誕してたんだよ!」


ビシッとソウを指差し、レンに言う。人を指さすのは良くないが、今だけは許してくれ。こうでもしないとこのマイペース野郎には通じない。


「ほら、レンも謝れよ」

「ごめんね、白城ちゃん」

「ソウも」

「ごめん、白城さん」

「はいっ!あの、本当に大丈夫ですから中島くんも桑原くん達も気にしないでください」


片手を出してごめんとするソウと、コテンと首を傾げながら謝るレンに、白城は胸の前に出した両手を振った。

これ以上は余計に白城に気を使わせてしまいそうなので、ほんとにごめんな、とレンとソウの腕を掴み白城から離れた。


俺達が白城から離れたことで教室はいつも通りの空気を取り戻し、賑やかになっていった。



はぁぁ、と溜息をつき自分の机に伏せる。


「コウどうしたの?幸せ逃げるよ?」

「そうだぞー」

「どうやらお疲れみたいだね」

「あぁそうだな。お前らのせいでな」


レンは指で俺をつつき、リョウは俺の上にのしかかり、ソウは俺の頭を撫でる。


「お前ら白城に迷惑かけんなよ...。あとリョウ重い」

「え、俺そんなに重い?」

「そうだけど違う。論点そこじゃない」

「だって気になったんだもーん」

「それで許されたら警察は要らんよ、レンくん」

「そうだぞ。昨日聞いた時にコウが教えてくれなかったからじゃないか」

「だからっていきなり白城に詰め寄るのは違うだろぉ」


ダメだこいつら。話にならん。ソウに至ってはわかっていててやってる。タチが悪すぎだ。


てか、レンはいい加減つつくのやめろ。ちょっとずつ痛くなってきた。

リョウものいてくれ。重い...。

ソウはそのままで。これは寝れる。


元々寝不足なうえに朝から迷惑な出来事で疲れた俺の頭は、睡眠という名の休息を求めている。ソウの上手すぎる撫で方で俺の瞼がもう閉じようとしていた。


しかしそんな俺に対して無慈悲なチャイムは、ショートホームルームの開始を告げるのであった...。


寝かせてくれよ…!





結局その後も、十分休みに寝ようとしては誰かしらに声をかけられ、昼休みは昼練を切り上げようとしたタイミングでユウスケに1on1を仕掛けられた上に俺が勝ったにも関わらずもう1回を何度も繰り返され、かと言って授業中に寝る訳にもいかず、現在七時間目のロングホームルームのスタートにして俺の睡眠不足によるイライラは頂点に達していた。


ロングなんて正直寝ててもいいんじゃないか?と言うか寝かせてくれ。昨日のことがあって今日はそもそも寝足りないんだ...!


チラッと白城を見ると今日もまた必死に何かをノートに書き留めているようだった。


昨日の続きでも書いているのだろうか...?


俺はふと大元の寝不足の原因である昨日のことを考え始めた。


白城には忘れろと言われたが、あいにく俺は無駄に記憶力が良い所がある。無駄にと言うのは日常生活のなんでもないようなことはよく覚えているが、授業内容だったりテスト勉強中に解いた問題の解法など重要なことはきっちりと覚えていないからだ。必要なことに完璧に生かしきれないのが難点なのだ。ちなみにこの記憶力ゆえ、俺のいちばん古い記憶は二歳の頃のことだったりする。


話は戻って、忘れろと言われたノートのことだが、パッと見えた内容が昨日から俺の頭の大部分を占めて離れない。どこかで見たことがあるような気がしてならなく、何かがずっと引っかかっているのだ。

このハッキリとしない何かが気持ち悪い。痒いところに手が届きそうで届かない、そんな感じだ。


それにあのノートには文字だけでなく、楽譜も書かれていた。長さ的には二、三小節ほどのものだった。俺の記憶が間違っていなければ、あのコードは小室進行だ。JPOPで多用され、耳コピピアノでもよく使われている。


昨日の夜、楽譜の周りに書いてあった文字と楽譜の調を考えていた時に、一つ心当たりのある曲があった。


ムーサの曲の一つである「蝶姫」


歌詞が独創的で、これまでに聞いた事のない曲調が特徴の曲だ。


もしあれが「蝶姫」だったとして、あれは白城がムーサを研究していただけなのか、それとも全く違うことだったのか...。


その事がずっと頭から離れないのだった。




「じゃあ、来週からのテスト明けにある球技大会の出場種目決めを始めたいと思います」


その声によって思考の海に沈みかけていた俺は、急に現実に引き戻された。


あぁ、そういや朝に担任がそんなこと言ってたな。


教壇の上に立った体育委員の二人が球技大会についての説明を始める。


競技は男子がサッカーとバスケットボール、女子がドッジボールとバレーボール。

人数は自由。ただし少なすぎる場合は違う競技に移動してくれるとありがたい。

各種目の部活動に所属している人が出場する場合、部員がコートに出られるは二人まで。ただしクラスに部員が固まっていた場合は例外とする。これについては状況に応じてハンデをつける可能性がある。また部員はひと目でわかるように、部活で使用しているチームTシャツやユニフォームを着用すること。それから試合の審判の手伝いもお願いしたい。


そういった内容だった。


うちのクラスはいい感じに割り振れそうだが、サッカー部が固まっている三組は大変そうだな。バスケを全員サッカー部で埋めたとしても、まだ四人ほどサッカーに回ることになる。

でもまぁ前後半でわけたら良い感じにはなるか。出場回数が少なくなったヤツはドンマイだな。


「コウはやっぱバスケか?」


俺の前の席にソウが移動してきた。

聞いていなかったがどうやら男女で分かれて決めろとの指示が出たらしく、俺の隣の席で体育委員である久瀬の周りに集まってきたらしい。


「できるならな」

「コウなら誰も文句言わんと思うけど」

「俺サッカーがいいー」


できることならバスケがいい。他クラスはユウスケやハヤトあたりは確実にバスケにするだろうな。


俺は別にサッカーが嫌いという訳では無いが、何せ兄が上手いため少々遠ざけてきた節がある。スポーツ全般得意だが、サッカーかバスケならバスケを取る。


「サッカーやりたいヤツは?」


久瀬が聞くと十人ちょっと手が上がる。


「……十三人か。残りの八人はバスケでおっけー?」

「おう」

「いいぞー」

「じゃあこれで決定な」


種目決めは案外早く終わった。じゃあかいさーん、とみんなワラワラと散らばっていく。


バスケは八人か…。一人一試合は必ずフルで出ることになるけど、まぁ体力あるヤツばかりだし何とかなるか。


俺達六組には俺以下男子バスケ部員が居ないため、必然的に審判は俺に回ってきた。アオトのように中学はバスケ部員だっりミニバスをやっていたヤツも二、三人いるが、俺が審判を請け負う分、そいつらには試合で活躍してもらうとする。


「コウだけ別になっちゃったね」

「俺ぜってぇシュート決めるから空き時間応援来いよ!」

「へぇへぇ」


レン達は希望通りサッカーにしたらしく、リョウなんかは既に燃え始めている。


少々暑苦しい。

てかコイツ球技大会の前に期末考査あるのわかってんのか...?


俺がジトーっと見ると、リョウはキョトンとしていた。


うん、今は考えるのやめよう。後が面倒くさそうだ。


俺は思考を放棄することにした。横を見るに、ソウも同様のようだった。


その後、休み時間のように四人で話していると、女子も決め終わったようで体育委員二人がまた教壇に上がった。みんな顔だけは前に向ける。


「今決めたこと、後でクラスのグループに送っておくので確認しておいてください」


そう言って締めると、二人は自分の席に戻って行った。それと同時に移動していたヤツらも自分の席に戻って行った。


全員が席に着いたのを確認すると、担任が口を開く。


「じゃあ残り二十分弱自習な。来週から期末始まるからしっかり勉強しろよ。それと私物の持ち帰りも計画的にな。ロッカーに置いて行っても良いけど、テスト勉強に使うものはちゃんと持って帰れよ。じゃ、後は静かに自分のことをするように」


その言葉を合図に全員が自習を始める。

そして俺も提出課題を進めていくことにしたのだった。




嫌な予感がするが、それは知らないことにしておくということも追記しておこう。

私、根っからの関西人でして日本語って難しいな、と最近つくづく思っています。


関西弁が使いたい!けど全員には伝わらない!


そんな葛藤をしながら書いております。

気をつけてはいますがもし、ここが読みにくい!わからない!などありましたら教えてくださいませっ。

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