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彗星

その少女は彗星の如く、突然現れた。


きっかけは某有名な動画配信サイト。

一人の有名芸能人が個人ブログで絶賛したことが火種となり広まった。

顔も名前もわからない、イラストだけの画面と共に聴こえてくる歌声。

まだ少しだけ拙さの残る、それでも芯はあって力強さも透明感もある七色の声。

これまで誰も聞いたことのない、初めての声。


一本の、たった四分程度の動画が世間を驚かせた。


動画のタイトルは「カエサル」


世間は瞬く間に彼女の歌声の虜になった。

それほどまでに衝撃的な、発展途上の才能の塊。


投稿者は「カエサル=皇帝」の意味でつけたのだと思う。その歌声で人々の心を征服してしまう彼女は、まさに歌の皇帝だ。

けれど、彼女には「皇帝」より「彗星」の意味の方が良く似合う。

紀元前に1度だけその姿を現したと言われるカエサル彗星。

そんな彗星の如く現れ、その才能で人々の心を奪う輝きを放つ彼女には、これ以上ふさわしいものはないだろう。






音楽界ではそれなりに有名なオーケストラの指揮者である父。国内外の多くの賞の受賞経験のあるチェリストの母。そんな二人の間に生まれたのが兄と姉と俺の三人だ。


音楽家の二人の子だから、俺たち兄弟も音楽家なのだろうと考える人は多い。

確かに姉はそうだ。チェリストではなくヴィオリストだが。姉も母と同様、現役高校生ながらこれまで多くの賞を受賞してきた。


だが兄と俺は違う。

兄は芸術なんてこれっぽっちの興味もなく、脳筋でサッカーバカだ。小学生の時に始めてどっぷりハマった兄は、高校もサッカーの強豪校に進学した。高校でのサッカーに満足したのか、現在はフィールドに立つことはなく、大学でスポーツ科学を学んでいるらしい。

俺も小学生の頃からバスケを続けている。県内のベスト16に入るチームで、部員数もプレイヤーだけで三十人近い中、一年生からベンチに入れてもらえるくらいには上達した。試合に出れるかは別として。


親戚や知り合いからはなぜこんなスポーツバカがこの両親から?と疑問に思われることが多いが、そんなのは本人の自由だろう。


別に俺は兄と違って音楽に興味が無い訳では無い。自分が演奏するのは好まないが、聴いたり作曲する分には好きだ。

生まれた時から良い音楽を聴いて育ってきたんだ。両親のおかげで絶対音感は持っているし、中学生の時も音楽の授業で苦労したこともない。

ただ俺はプロにはなろうとしていないだけだ。




そんな俺が数年前、プロを意識した出来事があった。


確か中学二年の秋頃だったと思う。

突如、某有名な動画配信サイトに投稿された動画。

それが「ムーサ」が投稿した「カエサル」だ。

技芸や文芸、音楽等を司るギリシャ神話の女神ムーサ。

そんな女神の名を冠する彼女が作詞作曲した「カエサル」には人を動かす力がある。

そうでなけりゃ世間はあんなに騒がない。


現に俺もその一人で、初めて彼女の歌を聴いた時、彼女の楽曲をプロとして手がけたいと思った。

そして彼女を自分の手で、歌姫にしたいと。


大層な夢なことぐらいわかっている。しかし噂で聞いた話では彼女は俺と同学年で、現在高校一年生だそうだ。同学年の彼女が自力で上り詰めたのだ。自分にだってわずかには、ゼロに等しいかもしれないが可能性はあるのではないか。


顔も名前も明かしていない、謎に包まれたままの彼女に俺が会うためには、俺も彼女と同じぐらいの知名度がないとだめだ。彼女に見合う技量がないとだめだ。

そのためにできることは何かを必死に考えて、悩んで、行動してきたんだ。


けれど高校一年生の冬、そんな俺の先の見えない人生計画は、思ってもみない形で狂っていった…。






初めましての方も、二度目ましての方もこんばんは

この度は「皇帝に捧ぐ恋歌」を読んでくださり、誠にありがとうございます


この作品は私のちょっとした不満から生まれた作品ですから、私がこんな話が読みたいと思っていたことを詰め込んだものになっています

不満と言っても誰が悪いとかではなく、単なる私の運のなさなんですけどね...アハハ…


私の好きが誰かの好きにもなりますように!

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