彼氏と長続きしない女と友人
「また別れたの?」
私は目の前の友人のもう何度目か分からない別れ話に呆れながら言う。
大学の食堂。
いつも通りの友人とのランチである。
私の目の前には身内びいきを抜きにしても絶世の美女。そんな彼女はいつも通り不服そうに言う。
「だって、無理だったんだもん。」
からんからんと彼女が混ぜるアイスカフェラテの氷が音の立てる。
その憂い顔は絵画のごとく美しい。
「マジで妥協しないといつまでも同じこと繰り返すよ。」
何回言ったか分からない言葉を繰り返す。
「わかってるけど…。」
彼女は少し言いづらそうに周りを見渡す。
「誰がお前の話なんかに興味あると思ってるの?」
「そ、そうだよね。」
少し顔を赤く染めながら彼女は言葉をつづけた。
「やっぱり、ビンタしてってお願いして間が開く男は萎えちゃって…。」
やっぱ、それ?私はため息をつきながら彼女を見た。
この女は極度のドМだ。
さらに破滅願望も併せ持つやばいやつ。
「大抵の人間は唐突にそんなこと言われてもできないって。」
私の一般的な意見にしかし彼女は腹立つことに口答えをする。
「でも、私はそういう人間だから…。萎えちゃうともう気持ち向けられないんだよね。」
「うっさわ。お前の性癖に合わせるほどの価値なんかないからな?」
彼女はうつむいて震えてる。けど、そんなことはどうでもいい。私は言葉をつづける。
「毎回いつの間にか彼氏作ってで、別れて毎回私に愚痴るのやめてくれない?興味ねーんだわ。大体そのどうせ続かない彼氏に時間割いてるのせいでしょ?私がお願いした内容が遅れるの。」
「それは…。」
「口挟むな。」
ひゃい!と無能は返事する。時間の無駄なので話をつづける。
「あのさ、別に無理なことお願いしてるわけじゃないじゃん?私が欲しいの買いたいから。お金頂戴って言ってるだけでそっちは私の口座に振り込むだけじゃん?それもできないの?」
返事はない。ただただ気持ち悪い顔を向けてくる。
ばちん!!大きな音が学食に響き渡った。
ざわざわと雑音が響くが関係ない。
「ねぇ?聞いてる?」
私の問いにはいとにやけながら答える。
「まさかだけどお金ないとか言わないよね?」
「いえ!そんなことは!」
そうと私は少し息を入れて彼女に囁いた。
「もし、なくなったら素直に言いなさい。いい闇金紹介するから。」
私の言葉に彼女はこくこくと頷く。
私はすっと席を立つ。
友人の愚痴を毎回聞かされるのは勘弁してもらいたい。