血のなかの鉄串
つづきです。楽しく読んでください。
黒い人型は、正に漆黒というふうで、人型に穴が開いているように見えた。
「こ…こんにちは…」
話しかけてみるが、反応する様子はない。
どうするか考えていると、こちらに歩いてきた。
「うわっ!!!!歩いた!!!」
(後ろは壁でこの通路も肩幅より少し広いくらい…逃げられない!)
人型はどんどん近づいてくる。
「どうしようどうしようどうするどうしよう」
考え抜いてみるが、逃げられる未来が浮かばない。
「もうだめだ。相手を殺すしかない!」
決心して、かばんに入っていた2Lの水筒を持つ。
「まずこれが当たるかも当たって死ぬかもわからんがこれ以外に道はない。殺して逃げる!!」
水筒を思いきり振りかぶり、人型に振り下ろす。ガツンとしっかりした手ごたえがある。だが、
人型の動きは止まらない__
(ヤバイ!!!)
人型の手に当たる部分が消えた。と思うと次の瞬間にはわき腹にとてつもなく強い衝撃が来た。
「ヴグッ!!」
骨折したことがなく、わからないが肋骨が折れているようだ。口から血があふれ出て、呼吸しようとすると血が入り込んでくる。
(だめだったな、もう死ぬのか、16にして。)
(それは…いやだ…!!!)
体中のエネルギーを総動員して、ゆっくりと立ち上がる。
足元を見ると、血の中に1mほどの金属製の棒があった。先端が尖っていて、反対側は輪になっている。
(なんだこれ…わからないけど…ありがたく使わせてもらう…!)
足元の棒を拾い上げ、人型のほうを見る。なにも変わった様子はなく、同じ場所にたたずんでいる。
頭に相当する部分をめがけ、棒を突き出す。
「ガアッ!!!」」
ずぶりと肉に突き刺さった感触が手に伝わってくる。向こう側まで突き抜けている。
「止まってくれ_」
黒い人型は後ろに倒れた。
その上に覆いかぶさるように、自分も倒れこんだ。
かすむ視界の中に白い壁から出てくる人の形が見えた。
(またあれか、もうだめだ)
諦めて、目を閉じてしまった。
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