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はじまり
久しぶりに見たあの人は、身長が伸び体格も良くなっていた。
相変わらず髪はサラサラだし、つり目だって俺の知っているものと変わらない。
会えたことへの喜びと、今まで必死で抑えていた気持ちが溢れ出そうでどうにかなりそうだ。
そんなとき、彼の後ろから。
トラックのライトが見えた。
中学の頃、その人とは出会った。
問題児である俺に対しても普通に接してくれたし、怒ってもくれる良い奴だった。
そんな人の隣にはいつも彼女がいた。
二人はお似合いだったが、付き合っているわけはないそうだ。
周りも冷やかしで付き合っちゃえば、などと言っていたが二人とも気にしているように見えなかった。
あと少しで中学を卒業するというタイミングでその人は遠くへ引っ越してしまった。
彼女は前からそれを知っているようだった。
それから数年たち、社会人となり同窓会の知らせが届いた。
行くかどうか迷っていた所に昔から苦手な奴から連絡が来てしまったせいで強制参加となってしまった。
そこで再会したのがその人だ。
―--その日、その場所にいなければ。